見出し画像

恋愛劇

 天気は雲一つない青空。快晴日和。気温は三五度以上。猛暑日。湿度は八〇%。高温多湿。昨日から熱中症警戒アラートが発令。そんな日に友人グループと共に海水浴。本当は友人グループに誘われてもないのに無理矢理来てしまった。本当は泳げないのに。グループにいる彼の人が気になるだけなのに。グループ内の視線が気になる。彼の人にはお姫様候補が多いことも彼の人が誰にでも優しいことも分かってる。彼の人が王子様みたいに見えることも分かってる。そして、彼の人のお姫様候補にすらなれないこと。お姫様候補ではなく海辺を舞台にした恋愛劇を盛り上げるための脇役であることも。心が痛くなるほど、嫌だというほど何もかも分かってる。
 友人グループが海の中ではしゃいでるのをパラソル越しから確認。水温がぬるま湯の温度。恋心の温度は暑いのか寒いのか分からない。計測不可能。彼の人との恋愛劇に参加するのが辛い。誰にも告げず涙を流さず脇役を貫き舞台から降りた。


いいなと思ったら応援しよう!

びいどろ壜
スキ・フォロー・コメントだけでも嬉しいです。 サポートもしてくださったらピョンピョン跳びはねて感謝します。

この記事が参加している募集