NASAが太古の火星に生命が存在した可能性を示す岩石を発見!わかりやすく徹底解説します!!
NASA(アメリカ航空宇宙局)は7月25日、数十億年前、火星に微生物が存在した可能性を示す岩石を発見したと発表しました。
今回発見された岩石は、2021年2月から太古の火星に存在した可能性がある生命の「痕跡」を探して、ジェゼロクレーターを探査しているNASAの火星探査車パーシビアランスによって7月21日に発見され、NASAの研究チームによって「チェヤバの滝(Cheyava Falls)」という愛称がつけられました。ちなみにこの愛称はアメリカのグランドキャニオンにある滝の名前にちなんでいるそうです。
今回はこのチェヤバの滝についてなぜ太古の火星に微生物が存在した可能性を示していると考えられるのか、わかりやすく解説していきたいと思います。
■そもそも今回見つかったチェヤバの滝はどのような岩石なの?
チェヤパの滝は7月21日、ジェゼロクレーターにある「ネレトヴァ・ヴァリス(Neretva Vallis)」の北の端で発見されました。
ネレトヴァ・ヴァリスは約40億年前には湖だったジェゼロクレーターに流れ込んでいた川の1つに削られてつくられた渓谷です。その幅は400mほどになります。ちなみにジェゼロクレーターの直径は50kmほどです。
今回、このネレトヴァ・ヴァリスで発見されたチェヤパの滝は、大きさが1m×0.6mほどで、矢じりのような形をしています。
NASAの研究チームはこのチェヤパの滝のもつ3つの特徴からこの岩石が太古の火星に生命が存在した可能性を示していると考えています。
■太古の火星に微生物が存在した可能性を示すチェヤパの滝の3つの特徴とは?
上掲の画像はチェヤパの滝の拡大画像です。
まず、白い太い筋が見えますね。これは硫酸カルシウムの筋で、岩の中のひび割れを液体の水が流れた明らかな証拠になります。液体の水は生命にとって欠かせません。
次に白い筋の間に赤い部分が見えますね。この赤い色は赤鉄鉱の色と推測されていますが、この部分から有機化合物が検出されました。有機化合物は生命の構成材料になります。
最後に、赤い部分に黒い色で縁どられた薄い灰色の斑点がたくさん見えますね。サイズは、ミリメートルサイズで、とても小さいです。赤い丸で囲われた部分の中に見えているのはその斑点の1つです。
研究チームはこの斑点を「ヒョウ柄(leopard spots)」と呼んでいますが、このヒョウ柄は化学的な組成から微生物がエネルギー生み出すためにおこなった化学反応の痕跡である可能性があるそうです。地球では岩石にみられるこのようなヒョウ柄はしばしば地下に生息する微生物の化石化した痕跡と関連付けて考えられています。
なおこの斑点の黒い縁取りの部分からは鉄とリン酸塩が検出されています。
以上の3点から研究チームはチェヤパの滝を太古の火星に微生物が存在した可能性を示すものと考えていますが、確証を得るには、これからまだまだ研究を続ける必要があるそうです。
■今後の研究について
この点に関してカリフォルニア工科大学のパーサヴィアランスプロジェクトの科学者であるケン・ファーリーさんは「パーシビアランスが調べられることはすべて調べ尽くしました。(数十億年前にジェゼロクレーターの渓谷で実際に何が起きていたのかを完全に理解するためには)、あとはチェヤパの滝のサンプルを地球に持ち帰って研究室の強力な装置を使って調べるしかありません」と述べています。
実際、パーシビアランスが集めたサンプルは今回採集されたチェヤパの滝のサンプルも含めて地球に持ち帰られる計画になっています。
これからの研究でどのようなことがわかるか、とても楽しみです!
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