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一人語り:別れてから立ち直るまで


久しぶりの再会

その日は、二人にとってお祝いになる予定でした。
約2か月ぶりくらいになるだろうか、
仕事続きで会えない日々が続いていた中で久しぶりの再会。
仕事は辛かったけど耐えられた。
この大きな仕事が終わったら結婚を約束していたから。
会えない日々で喧嘩もしたけど、久しぶりに彼女に会える。
それだけで嬉しかった。
仕事も一段落して、まとまった休みももらえた。
やっと2人の幸せが本格的に動き出す、
浅はかな自分はそう思っていました。

突然の宣告

「別れよう」
突き付けられた言葉。
お祝いでも何でもなかった。
彼女からは、労いなどひとつもなかった。
代わりに今まで我慢して溜まっていた不満をぶつけられた。
そこで私が彼女をどれだけ傷つけたのかを思い知らされた。
彼女に触れようとしたが、明確に拒絶をされた。
用意していたプレゼントも家の合鍵も全て突き返された。
泣いてすがる私の言い訳は何も届かなかった。
すでに彼女は私の知っている彼女ではなくなっていました。

自分を責める日々

もう一度話し合いを求めたが、お互いの主張が交わることはなかった。
夢だと思った。
今でも人生で一番辛いことだったと思う。
大好きな祖父母が死んだときもこんなに辛くはなかった。
何であの時、しなかったんだろう。
何であの時、気付かなかったんだろう。
寝れなくなり、食事が食べられなくなった。
今頃、他の男に抱かれていると思うと吐き気が込み上げてきた。
上司からも心配されて1週間仕事を休むことになった。
今やそれなりの役職になって、部下もいるアラフォーのおっさんが失恋で傷心休暇、笑い話にもならない。
でも周りの目線なんて気にすることさえ出来なかった。
彼女を傷つけた、俺が彼女を傷つけた。
俺が彼女を不安にさせなければこんなことにならなかった。
全部俺が悪い。
SNSなどにあがるクズ男の特徴が全部自分に当てはまるように感じる。
でも、◯ぬ勇気なんてない、とことん自分がクズでみじめに感じました。

復縁に狂う日々

彼女を絶対取り戻す。
YouTubeやSNS、書籍に至るまで復縁に関する情報に手を出した。
1日中スマホを眺めながら知識を吸収した。
復縁コンサルタントなどで無料相談も受けた。
「冷却期間を半年くらいとってください。」
半年?今すぐ彼女を取り戻したいんだ。
自分に不都合な情報は全て排除した。
占いもした、二人の氏名、生年月日の相性から復縁の可能性があるとの結果を聞いて安堵した。
神社にもお参りにいった。
またスマホにかじりついた。

すぐ連絡しろ、連絡はするな。
冷却期間をおけ、冷却期間はいらない。
次に行け、まだ行くな。
あきらめるな、あきらめろ。
やるな、やれ。

様々な情報と助言。
何が正しくて、何が正しくないのか。
もう自分でもわからなくなっていた。
復縁がしたいのか、したくないのかもわからない。
ただこの苦しみから解放されたかったのだと思います。

懺悔と解放

ただ苦しみから逃れたい一心で、心のケアを受けた。
落ち込んだりすることは甘えだと考えていた時期もあった。
まさか自分がこんなところにくることになるなんて。
相談は匿名で1時間。
相談という名の懺悔だった。
自分がしてしまったこと、自分がしなかったこと。
自分が傷つけてしまったこと。
全てを吐き出した。

「頑張ったね、あなたも相当苦しかったんじゃないの?」

その一言に涙が止まらなくなった。
だれかに言ってほしかった言葉。
ずっと我慢してた。
ずっと頑張らないといけないと思っていた。
完璧に出来ない自分が許せなかった。
これだけ声をあげて泣くのはいつ以来だったのだろう。
もうお互い楽になろう。
別れ話から1か月、自分の中で復縁を諦めた時でした。

気付きと感謝、最後の別れ

復縁から解放されて初めて気付いたことがあります。
自分の復縁が独りよがりだったこと。
相手の気持ちを尊重していなかったこと。
相手の気持ちに寄り添っていなかったこと。
ただただ自己中だったこと。
もし、簡単に復縁出来ていれば、きっと気付かなかったかもしれない。
また同じことを繰り返して彼女を傷つけたかもしれない。
その後、彼女の家に置いたままの荷物を取りに行きました。
別れを受け入れたとはいえ、自分の気持ちもまだ整理できてなかった。
綺麗な別れ方なんてできなかった。
やっぱりやり直そうなんてドラマのような奇跡もなかった。
もっと話したい、謝りたいのは自己満でしかないのはわかっていた。
機械的に荷物を受け取り、「元気で」というのが精いっぱいだった。
じゃないと自分の気持ちがぶれそうだった。

あれから

未練を残したくなくて彼女との思い出はほとんど捨てた。
スマホの写真も連絡先も全て削除した。
あれから1年以上が経つ。
今もなんだかんだ生きてて仕事をしている。
当時はわからなかった時間薬というのもやっと効果が出てきた。
それでもふとした瞬間思い出す。
急に連絡来ないかなとか復縁出来ないかなとか想像する日もある。
こうやって記事を書くくらいだから未練もまだまだある。
それでも今はどこかで立ち直っているであろう彼女の幸せを願うばかりだ。

これは、若い子が経験する青春の甘酸っぱい思い出とは、全く違う。
婚期もとっくに逃したアラフォーの中年のおじさんが失恋をしてウジウジしている少しジメジメとした思い出。
どこにも需要はないと思っているけれど、
どこかに吐き出したい思い出。
やっと前を向き始めたおじさんの思い出。
男は名前を付けて保存というなら、それはそれでよいかもしれない。
こうしてたまに振り返ることができるのだから。

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