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マーシャ戦記 宇宙港奇襲作戦
宇宙空母カツラギのカタパルトから次々と零式機動歩兵が発艦してゆく。
その数36機。これで第一次攻撃隊を編成し、ラージノーズグレイの宇宙艦隊が停泊する小惑星ザルニアにある宇宙港へと奇襲攻撃を仕掛ける作戦だ。
前方には同盟星ジャノス艦隊を発艦した30機の戦闘機が先導している。
攻撃隊の指揮を執る弱冠16歳のアロワロウ少尉の機動歩兵に空母カツラギから通信が入る。
「アロワ君。機体に問題ない?」
カツラギの艦長を務めるツキノミツイシ大佐だ。
「ええ宇宙仕様のバーニアのお陰で加速、旋回性能が改善されています」
「そう。あなたにとって初陣ね。緊張は?」
「ええかなり。しかし何度もシミュレートしましたし寧ろ楽しみであります」
「それは危険ね。いい、遊びじゃないのよ。今回の作戦は一撃離脱戦法。グレイの母艦にビーム砲をぶっ放したら一目散に引き返すのよ。雑魚や港への攻撃はジャノス星人に任せて」
「了解です。戦力に余裕があっても離脱するんですね」
「そうよ。恐らく奇襲になるはずだからすぐに反撃はないと思うけど。無用な戦闘は避けるの。とにかく生きて帰って来て」
「了解」
アロワはスロットルレバーを上げて加速した。
会敵までおよそ10分。
突如アロワの僚機が光を放ち爆発した。
「一体何が起こった!」
「隊長!ジャノスの奴ら裏切りやがった!」
港まで後5分に迫った時、周囲に無数の戦闘機群が出現。アロワ隊を包囲した。それに呼応するかのように先導していたジャノス軍の戦闘機隊も反転、攻撃を仕掛けてきた。
「くそっあいつら。何としても生きて空母に帰るんだ」
アロワはビーム砲を連射しながら退避行動に移った。
その頃ツキノ艦隊は後方に出現したグレイの宇宙艦隊から激しい砲撃を受けていた。
「左砲戦ヨーイ。テー!」
カツラギは艦隊戦に備えてビーム砲が装備されている。
「2時の方角にある小惑星帯に逃げるのよ……大丈夫。ここを切り抜ければマーシャ艦隊が救援に来るはず」
【続く】