恋人と別れて考えたこと
先日、1年半付き合った彼氏とお別れした。
あっけなかった。電話1本で、1年半の関係が終わった。
こんなこと、はじめての経験で、たくさん泣いてたくさん考えた。
だんだん、冷静に状況を見られるようになった。
それを忘れないよう、記事に残してみようと思う。
別れの原因
はじめてできた彼氏で、仲もよかった。
バイト先の後輩で、向こうからの猛アプローチの末付き合うことになった。
なぜ、この決断に至ったかというと、忙しさのすれ違いだ。
彼は1つ下なので、私が就活が終わってさあ遊ぶぞという時期(今)に、今度は彼の方がしばらく忙しくなる。そして、彼に時間ができた時にはもう、私は社会人になっている。
実際、最近は全然予定が合わず、連絡もほぼなかった。
そしてついに、向こうから「会えないのに恋人関係を続けるのが申し訳ないから」と別れることを提案された。
たしかにそうなのだ。冷静に見て、ここからお互いの忙しさがかみ合わない。相手の自由をそれなりに制限する関係である「恋人」でいるには、不合理だと思う。私もうっすらとそう考えていた。
でもそれでも続いていける人たちだっている。私には、それを乗り越えるだけの気持ちや覚悟が足りなかった。
気持ちの揺れ
ここ最近、私の中で、彼に対するイライラが募っていた。
私が就活で忙しくなり出したタイミングで、だんだん連絡頻度が減ってきた。会う回数も減ってきた。私の就活が終わった後もそんな感じだったのだが、わがままなのは承知だが、昔は誰よりLINEの返信が早かっただけに、幻滅してしまった。
付き合って1年以上経ち、関係性の慣れや、お互いの生活の変化などで、だんだん嫌な部分が目につき始めた。ノリが合わないところ、私が興味を持てない趣味、そもそもの価値観……。いいところばかり見つかっていたのが、嫌なところが増えてきてしまった。
それに拍車をかけたのは、私の気移りだった。
私には彼と付き合う前から、ひそかに推していた人がいた。こちらは、大学で授業のクラスが一緒だった人(B君とする)。
一目見た時から、彼のなんとなくの雰囲気やセンスに惹かれていて、「隠れファン」としてB君を見ていた。それきりの関係だった。
しかしタイミング悪く、私が彼氏と付き合った以降に、どんどんB君とも仲良くなる機会があり、ついにこの前は2人で遊びに行ってしまった。彼氏には「男友達」として説明し了承済みだったが、B君は私のことをどう思っているのか。
初め、B君と仲良くなり始めたころ、急に遊びに誘われた。どうやら脈あり???っぽいのですごく悩んだ。彼氏と付き合い始めばかりで、やっと安定の幸せを手にしたばかりなのに…さすがに行けない…!と断ってしまったが、その後も変わらずに友達でいてくれた。
ただ、私はずっとこれを断ってしまったことを後悔していた。好きになってくれた彼氏と、両片思い的な友達。この2人の間で、ずっと葛藤を抱えながら過ごしてきた。
就活で傷ついた心を癒してくれたのは、B君の方だった。
彼氏はまだ就活を経験していない。それなのに、長々と解決策ばかり説いてきて、「何が分かるんだ、共感してほしいだけなのに」と内心思っていた。
一方B君は同い年。就活は私よりうまくいっていたが、つらさも共感できた。愚痴に付き合ってくれたり、冗談みたいな夢でも本気で信じて励ましてくれた。それをきっかけに一気に仲が深まってしまった。
B君への気持ちは、100%恋愛感情ではないけれど、100%友情だけではない気がする。
そしてそれは彼氏にも当てはまる。恋愛感情も友情も、白黒割り切れるものではない。グラデーションで出来ている。恋愛に関わらず、人への気持ちっていくつもの感情が混ざり合っているのは当然だと思う。
どうしてもB君と彼とを比べてしまう。人生に新しい風を吹かせてみたくなってしまう。
だいぶ気持ちが傾いたタイミングで、別れ話が来たのだった。
愛情表現
彼は忙しさ以外にも、関係性について思うことを言ってくれた。「愛情表現が少なくて、本当に僕のことが好きなのかって思っちゃうときがある」。
私がずっと向き合えなかった部分。言葉が、すごく重く心にのしかかった。
もともと、当時私は片思いが失恋したばかりで、もう誰にも好きになってもらえないのかと恋愛疲れしていた時に、思いもよらぬところからアプローチされたのが始まりだった。
そのため、初めから愛情の大きさには差があった。それがずっと悩みの種だった。「好きか分からない」。でもいい人だし気兼ねなく話せるし、自分のすべてを肯定してくれる。幸せになれそうと思った。
今までの片思いのように自発的な恋愛感情ではないから、冷静で安定した「好き」だった。それを「好き」だと納得できなくて悩んでいたけれど、冷静さの中でも浮かれていたし、幸せを感じていた。彼の存在は、私の人生の中で今までにない関係性で、毎日新鮮だった。
ただ、片思いと妄想だけで20年生きてきた私は、リアルの恋愛経験なんて0に等しい。大学生になり彼氏ができ、ようやく異性と話すことに慣れてきたくらいだ。
そんな中身中学生のやつに、「愛情表現」はハードルが高いものがあった。
そもそも電車内とか公衆の面前でベタベタできるカップルが理解できなかった。彼氏が出来てもそれへの嫌悪感は消えなかった。
恋人同士の甘い雰囲気に憧れはする。けれど実際に、現実で自分がするとなると抵抗感がぬぐえなかった。具体的な段階は書かないが、1年半経ってもカップルらしいことができなかった。申し訳ないとは思いつつも、彼から聞いてくることも減ってしまったので、気を遣ってくれているのか、諦められたのかと思っていた。
結局、彼だから無理だったのか、経験不足で勇気を出せなかったのか、はたまたそういうセクシュアリティなのか…。彼に愛情がなかったわけではないし妄想の中ではできた。興味もあった。だから、勇気が足りなかったのかな。
コミュニケーション不足
私(たち)ができなかったことはコミュニケーションだったんだなと、振り返って思う。ケンカもしたことがなく、友達のような軽さで話せる。そのくらい仲がいい反面、お互いに思っていることが度々あったはずなのに、それを言えなかった。向き合わず、見ないようにしていたのかもしれない。本当のコミュニケーションは、できていなかった。
対立回避の関係は、優しいようで自分で自分たちの首を絞めていたのかもしれない。
彼が電話で言った言葉でもう一つ、心に来るものがあった。「大切にするだけじゃダメだったんだな」。
お互いが優しすぎて、大切にしすぎて、相手の奥深くまで踏み込めなかった。難しい。とっても難しい問題だなと実感した。
友達ともケンカなんてしたことがない。家族ですら言い争うケンカは稀だ。そんな優しすぎる世界で長年生きてきてしまった。
恋愛はコミュニケーションの究極系だと感じた。言いたいことを自由に言えるような人間じゃない私には、恋愛なんて到底無理なものに感じてしまう。そして、相手に責任を負う関係だということも。自覚が足りないまま、足りていないことに目を瞑ってここまで来てしまった。
ますます恋愛へのハードルが高くなっている。恋人関係ってこんなに重いものだったんだ。真面目に堅く考えすぎなのは分かっている。
でも、今回の経験で、これからの人生ですごく大事なことを学んだ気がしている。
今後
結局、お互いの思っていることを本音で伝えあい、落としどころを見つけていく……には遅かった。もう学年の壁で、タイムリミットが来てしまった。どっちにしろ、もう気持ちが冷めつつあったので、こうなる運命だったのかもしれないが。
心の中では「もう終わりかな…」とか「新しい風吹かせてぇ」とか思っていても、いざ「別れる」となるととても辛かった。電話で彼から聞いた時、涙が止まらなかった。
申し訳ない気持ち、やるせない気持ち……いろいろな感情がごちゃ混ぜになって、苦しくて……でも、感謝の気持ちが大きかった。
初めてこんなに私のことを好きになってくれた人。たくさん大切にしてくれたこと、面白くて笑いあったこと、たくさん出かけてたくさん食べて……どれもずっと消えない思い出だ。楽しかった。ちゃんと、好きだった。
別れというより変化
ただ、お互い別に嫌いになったわけじゃない。というかバイトの同僚なので普通に定期的に顔を合わせる。
それに、常々「別れたら金輪際会わない」ような別れ方に疑問を持っていた。まだ経験が浅すぎなのでぬるい考えなのかもしれないが、大喧嘩やDVとかでない限り、人の縁を切ってしまうなんて辛いと思ってしまう。
「友達に戻ろう」はよくない!とはよく聞くが、ネットの情報だから従うんじゃなくて、自分で失敗から学んだ方が断然いい。それじゃなきゃ納得できない。
だから私は最後にお願いした。「第一希望に内定決まったらお祝いさせてほしいから、近況報告はしてほしい」。エゴだけど、本当に夢を応援していたから。見届けたい。恋人関係じゃなくなったとしても、もう他人ではないから。
こうして、「同僚以上友達未満?」のような関係で、私たちの仲は続いていくことになった。恋人関係は解消だけれど、一生の別れではない。関係性の変化。
そして、早速バイトで直接顔を合わせた。初めは緊張したし泣きそうになったが、いつもの調子でふざけた話や就活の話をすることができた。少なくとも私は。
まだ泣いてしまう時もあるけれど、なんとかなっていくように思える時もある。今はまだ「今までの延長線上」感が強いが、この先、この関係性に慣れていくのだろうか。
新しい恋にはまだ手が出ない。B君ともこれからも会ったり遊んだりするし、むしろフリーになったのだから罪悪感も抱く必要はない。でも、しばらく恋人なしでもいい。もう、流れに任せてみてもいい。
この決断が、私と彼との関係にも、それぞれの今後の人生にも、いい未来をもたらしてくれることを祈る。
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