医者にオカルトを止められた男

「最近調子はどうですか？」
「いや、気持ちが上がったり下がったりしますね。」
「最近気になっていることは何ですか？」
「社会情勢とかですかね。」
「ああ。そうですか。夜眠れていますか？」
「あー眠れたり眠れなかったりですね。」

「最近ホウキが人に見えたり、足元を子どもがかけていくんですけど。」
「ああ。幻視ですね。」
「あと、悔い改めよ。って声ばっかり聴こえるんですよ。」
「ああ。幻聴ですか。」
「あと年が明けてから血のにおいばっかりします。」
「幻臭ですね。」
「先生のまわりに薄いもやがかかっているんですけど。」
「わかります？最近肩甲骨の調子が悪いんですよ。」

「じゃあまたお薬50日分出しときますね。」
「あ、ありがとうございます。」
「ではお大事に。」

そう言って男は割と晴々した様子で、病院を後にした。
　　　　　　　　　　　　　　　　　了