薫り

秋の風の薫りが好きだった

あの頃は特に

少し切なくてさみしい薫りを

身体の深いところで感じていたんだ

愛情とか

憂鬱とかは

いつだつて

ちょうど良いところに

いてほしい

遥か空に

のびていく

鱗雲が

夕方の色彩を

取り戻していく

淡いピンク色

ぼくのこころが

生きていることを

取り戻していく


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