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ネットの情報を鵜呑みにしてワンチャンを逃した、というお話


『ダメ男を好きになる女はいれど、真面目な人を好きになる女はいない』


無能が損をするという言葉はないが、『真面目な人が損をする』という言葉はある。

なぜ真面目は評価されないのだろうか。




1.大学時代のカースくん

私の世代ではmixiやモバゲーというものが流行っていましたが、友だちのいなかった私は長いことそのような存在を知りませんでした。

ゼクシィとミクシィの違いが分からないレベルです。

しかし大学生の私は、親の規制から解き放たれた時期でありスマホ時代(iPhone3GS)。


『出会い』『彼女の作り方』『モテるために』


などのワードで検索しまくります。

出会い系サイトはサクラが怖いというイメージが強く、SNSでもコミュ障な私は接し方というかノリがイマイチよく分からない。

そこで出会ったのが、『メル友掲示板』でした。

ネット上とはいえ、アナログちっくな選択ですよね。

しかしコミュ障が行き着いた先というのが功を奏したのか、参加者の多くが控えめな女性ばかりでした。

数年後にはヤリモクとかまってちゃんの巣窟となるものの、その時は本当に健全なサイトだったんです。



人とLINEやメールをロクにやってきたことのないカースくんは、真面目な長文でメッセを送ります。

そしたら真面目な長文でお返事が。

コミュ障の共通点ですね。

当時がそういう時代だったのか、コミュ障の集まりだったからなのかは分かりませんが、顔写真なしで出会うのが一般的だった記憶です。

1ヶ月近くもやりとりしていれば、顔合わせをするのは必然。


だってプロフィールに、「真面目な出会いを探しています」って僕書いてるもん。




2.ネットで勉強しまくるカースくん

友達がいない、経験もない私が頼れるのはネットの情報だけ。

告白の仕方は愚か、女の子との会話の仕方も分かりません。

ワンナイトになる仕組みも分からなければ、次に繋がる方法も分からない。

無知と未知ほど怖いものはありません。

うろ覚えですが、主に2つの方針が目立っていた印象です。


・お酒の力とトークで頑張れ
・紳士になって信用を勝ち取れ


別記事で体験談を出しますが、私はお酒が飲めません。

トークも自信がない。

であれば紳士になるしかないでしょう。



曰く、心の距離が近づかなければ、体の距離も近づけられない。

女性は警戒心を持つ生き物。

ゆえに初日は警戒心を解くことを目標とすべし。


理屈には納得できたので、私は鵜呑みにしました。




3.紳士を貫いたカースくん

出会った女の子は、ゴリラでもお相撲さんでもありません。

おとなしい雰囲気の可愛い子でした。

高校以来に会話をした女の子の中で、最も可愛いと言えたでしょう。

しかも意図せず会話の流れで、その子には彼氏がいないことも判明していました。


今でも理由は分かりませんが、なぜか会話が弾んでいたのです。

推測するに、会話が下手だったがゆえに適度な聞き役に徹することができたのと、相手がお酒で饒舌だったのが幸いだったのかと。

世の中の女性は聞き専が多すぎる。

相手がイケメンだと饒舌になるくせに…………

おっと脱線。



今でも忘れられません。

18時過ぎに居酒屋へ入って、気づいたら0時前。

30年近く生きてきて、あれほど楽しく一瞬の時間を過ごしたのは最初で最後です。

私は終電に余裕がありましたが、彼女の終電まではあと10分。

私は「大丈夫か?」と確認します。

すると、「漫画喫茶で始発まで待つから大丈夫ですよ」と。

しかし紳士モードのカースくんは、それで良しとするわけにはいきません。

流れ的に、もう少し話しましょうという空気に感じられました。

当時の私、決まりすぎです。


終電逃す=確変タイム突入 という認識がなかったとは言いません。

ですが私は自分に自信がなく、漫画喫茶で一夜を明かすのは普通のことと、友達がいなかったがゆえの経験のなさが仇となりました。


「今ならまだ間に合うよ。急ごう!」


やや駆け足で帰しました。

今思えば、お酒を飲んでいた女の子を走らせてはいけません。

こうして無事、私は下心をチラつかせることなく、紳士的に女の子を終電で帰しましたとさ。




4.5年後に答え合わせ

私には女の子と接点を持つことができないという呪いがありますが、あの子だけはその対象ではなかったように思えます。

当然、女の子が(おそらく)覚悟を見せていたのに、私はそんなものを無視してしまいました。

つまり、「お前には興味がない」と態度で示したも同然です。

あるいは尊厳を傷つけたとも言えるでしょう。

私は必ず別れた後にお礼メールを送りますが、それに対する返信はありませんでした。



5年が経ち、社会人となった私にも友人ができました。

5年が経っても経験値は当時とそれほど変わらなかったので、今回の話を友人にしたところ、それはだいぶワンチャンあったとのこと。

ワンナイトのワンチャンかはともかく、その後二軒目に行くなりカラオケに行くなりで楽しい一夜を明かせば、付き合えた可能性もあっただろうと。


恋愛とは臨機応変に対応するもので、決してマニュアルなんてものは存在しません。

おしゃべり好きもいれば苦手な人もいる。

ネットの情報を鵜呑みにしてしまった当時の私が悪いのです。


イケメンはモテる。


この真理以外は、全てケースバイケースなのだと学びました。


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