【続いてる写経 442日め(楷書)】〜『鳥獣戯画展』のひろいもの・その2〜
東京国立博物館の『鳥獣戯画のすべて』展。鳥獣戯画そのものよりも、色んな観点で興味深いと感じた展示がありました。
それは鳥獣戯画を保有する高山寺の開祖、明恵上人ゆかりのコーナー。
この明恵上人、現代風に言ってみれば「不思議ちゃん」??
「あかあかや あかあかあかや あかあかや
あかあかあかや あかあかや月」
の和歌の作者だそうです!
この歌そのものは目にしたことがありましたが、高山寺の開祖だったとは!
この和歌のセンスからも察するに、発想が現代人から見ても斬新すぎる。
いくつかエピソードをあげると、、
・夢日記をしたためていた
夢の重要性を認識し、長年夢日記を書いていたそうです。
その日記の一部が展示されていました。フロイトやユングに先駆けること700年くらい?
とっても個人的な記録が今でも残っているのがまた不思議です。
菩薩様が現れたなどが紹介されてましたが、他にもどんな夢があったのか、詳細を読んでみたいものです。
・髪を剃る代わりに耳を剃り落とす
展示には明恵上人が出てくる絵巻物があり、そこで耳を切り落とす場面がありました。何事ぞ?と詳細を調べると、そこにはお釈迦への熱烈な思慕がありました。
お釈迦様は世俗と離れるために髪を剃り落としたけれども、僧侶はすでに剃髪が当たり前になっています。そこで釈尊の志を表すためには、何を落とせばいいのか考えたところ、、。
眼をえぐり取れば経典が読めない。
鼻を削いだら鼻水で経典を汚してしまう
手を切ってしまったら印が結べなくなってしまう。
しかし、耳であれば切っても音が聞こえないわけではないし、その思いに適う。。
それで耳を削ぎ落としたということです。ゴッホに先駆けること600年、全く意味違いますけど。。
(出典:「魅力のある僧侶とは~明恵上人の生涯と思想、夢の世界に学ぶ~」)
実際に、明恵上人像(高山寺所蔵)も展示されてましたが、若干右耳は存在するもののへこんでいます、、。この彫刻はとても穏やかなお人柄がよくでているのか、こうした上人像には珍しく親しみが湧く優しいお顔でした。
(1089ブログご参照ください)
他にも天竺に憧れて行程表を作ったり、熱心な釈迦フォロワーでありながらも奈良の春日大社様(春日明神)を崇敬したり(といってもこの時代は神仏習合していたんで不思議はないのでしょうが)、なんか面白い!
このユニークな明恵上人という方を知るきっかけとなった展示に感謝です。
あと、今回は紹介されていませんでしたが、高山寺で明恵上人が行った歴史的にも大事な事業がありました。
これも、ほほう〜と思ったんですよ。続く。
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