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【続いてる写経 800日め】〜写経の前も大切に
本日掲載の写経は、京都の嵯峨野にある大覚寺様のもの。
800日記念としてこれを納経いたします。
先日、河合隼雄先生の『老いるとはどういうことか』を耳読書していたところ、「『写経』する手」との章が出てきました。
そこには、鎌倉時代の説話集『宇治拾遺物語』に「敏行朝臣ノ事」の概略が説明されていまして、
敏行朝臣は能筆家だったので、人に頼まれて写経を代筆してあげていた。
ある時、誰かに引っ立てられ閻魔大王のところに連れて行かれた。
敏行が写経をする前に、魚を食べたり、女と交わった後で手を清めないままにしたので、写経をしてもらった人たちが地獄に落ちた。
その恨みのために引っ立てられた。
見ると写経に使った墨が流れて黒い汚い川となっている。
より一部変更
つまり、写経をお清めせずに書いたから、他の人が迷惑被ったというお話。
不浄な写経への戒めでございました。
河合先生のくくりは、
「写経をしておられる方は、自分がどんな手でそれをしているか、ときに反省されるとよろしいようである」
むむっ。では省みます、自分のこと。
さすがに食べたり飲んだりしながら写経をすることはなかったけれど、どんな状況下でも続けることを優先してきたので、誠心誠意書けないときもありました。
他にもエクストリームと称して新幹線で書いたり、極小ノートに書いたり、ちょっと”ネタ的”なことはやってきてしまったので、そこは反省しようかと・・。
はい、この時点で反省と懺悔します。
以後気をつけます。
ちなみに敏行朝臣とは、藤原敏行のことで、三十六歌仙に入る歌人。
「秋きぬと目にはさやかに見えねども風のをとにぞおどろかれぬる」
の作者でございます。
空海、嵯峨天皇につぐ、能書家とも評されていたそうです。
(なお、この話の中で書いていた写経は「法華経」)
そんな立派な功績がある方が、このような説話のネタになってしまうというのはなぜでしょうか?
『宇治拾遺物語』は他にも有名人を登場させた説話が多数あるようなので、
これは歴史上の人物をキャラ化して、物語を作ったようです。
『ゴールデンカムイ』に、新撰組の土方歳三さんが出てくるみたいなものかな。
と、本来『ゴールデンカムイ展』行ってきた話を書く予定でしたが、800日めだったので、最近仕入れた写経のお話にしました。
『ゴールデンカムイ展』感想は次回。