あなたが好きなのはカレーじゃなかったの?食糧難の未来を救う「昆虫食」を受け入れられない #05
夫の4年4ヶ月の毎日連続カレー生活での出来事を時系列に記していこうと思っていたが、今回は直近のことを少し。
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最近夫は、「ヴィーガン」と「昆虫食」にお熱が続いている。
弊社オフィスはキッチンを併設しており、その冷蔵庫には、ゆ っ く り ではあるが着実に調理済みの昆虫が増えている。
先週も夫は単独で、地球を愛し、探究するレストラン「ANTCICADA」に2種類のコオロギから出汁をとったラーメンを食べにいき、いたく感動して帰ってきた。
なにやら店頭販売もしているようで、昆虫食のお土産を買ってきたらしい。
だが、その話を私は仕事の片手間に聞いていたので、何を買ってきたのかは理解していなかった。
ー ある日のこと。
弊社のキッチンは夫の城(カレー研究用)なので、わたしがオフィスの冷蔵庫の扉をあける時といえば、カフェオレ用の牛乳を取り出す時だけ。
普段、冷蔵庫に何が入っているかは把握していないのだが、先日何気なしに開けるとこんな瓶が鎮座していた。
一見するとシンプルでお洒落なパッケージ。
蓋の素材もマットな黒だから、モノクロデザインで統一されてて好きよ。
でも、でも…。
「WORM」の文字。
触覚のファサファサ具合のシルエット。
冷蔵庫から瓶を取り出し、恐る恐るのぞいてみたが、瓶には『茶色い液体と混ざり合った個体』が詰められていて、明確な姿形は見えない。
だが瓶の底にはしっかりと、消費者庁が定めた食品表示法に則った内容が記載されていた。
蚕(カイコ)って、甲殻類なんだ…。
原材料よりも、こっちが気になった。
甲殻類なの??そもそも蚕って芋虫みたいな生き物じゃなかったっけ…???
いろんな疑問が頭をよぎるが、今まで蚕の繭を見たり触ったことはあっても、幼虫についてはスルーしていたので、どんな生き物なのかちゃんと思い描けない。
蚕って、モスラのような派手な色の蛾だったっけ?てことは派手な色の芋虫?でも、甲殻類??
芋虫の姿は、諸手を挙げて見たいわけではないけれど、知らないままのモヤモヤに蓋をできるほど、この瓶の存在感は薄くない。
結局、自身の知識欲に負けたわたしは、検索を始めた。
まず「蚕」で検索すると、予想していた「うわーーーーーー気持ち悪いーー」という反応は完全に覆された。
あれ。 ちょ…めんこい。
しょっぱなに出てきたのはモフモフした白い小動物のような成虫の姿。
Ozawa Eikoさん、なんてきれいに蚕を撮影されているんですか…すご。
体も羽も真っ白でフワフワな姿から「天使」と呼んでいる人もいるし、なんならYouTubeで蚕の成虫に『お手』をさせて萌え死んでいる人も存在した。
とはいえ、めんこいのは成虫だけで、幼虫の姿は白い芋虫 (お姿はリンク先をご覧あれ)だった。残念ながら、じっくり直視したいお姿ではなかったので、サッと確認するだけにとどめたが、成虫の姿はイイ…。
想像の100倍かわいかった。
うっかり脱線したが、蚕は甲殻類なわけではなく、エクジソン(Ecdysone) というホルモンを持っていて、これが甲殻類アレルギーを発症させてしまうらしいので、この注意事項を記載したのね。なるほどなるほど。
昆虫に一番近い存在はエビやカニなど甲殻類なのです。故に、昆虫食には甲殻類アレルギーの可能性が含まれています。甲殻類アレルギーを簡単に説明すると、エビやカニといった甲殻類を食べるとき、あるいは触れたときのアレルギー反応を指します。アレルギー反応を起こすと、アナフィラキシーが起こる場合もあります。
( ↓ より引用。)
そして瓶に目を戻す。
この瓶には、めんこい姿になる前の 白い幼虫達 が佃煮になっているのよね…。
原材料のピスタチオは、柿の種のピーナッツ的な存在なのかな。
カルダモンが入っているから、爽やかな風味が鼻腔をくすぐるのかな。
豚肉を使ったチャーシューの煮汁で煮てるなら、醤油とみりんの中に肉の脂が溶け出した甘みと芳醇な香りが染み込んでいて美味しいんだろうな。
などと、美味しい味の想像はできるが、、幼虫の姿がまぶたの裏にチラつく。
2020年5月20日から無印良品がEC限定で「コオロギせんべい」を発売して即日完売するなど、日本でも注目され始めている昆虫食。
世界的な人口増加による食糧危機が目前に迫っていることや、大規模な工業型畜産が森林破壊や気候変動の原因となっていることなど、今現在スーパーで売られている肉が100g/200円程度で入手できるうちには気づきにくいが、目をそらすことのできない実情が じ わ り じ わ り とミストのように世界を覆っている事は認識している。
しかも、虫は栄養価も高く、不飽和脂肪酸やミネラルも含んでいて、残すところなく食べられて、昆虫は牛や豚の1/4に飼料で育ち、水も殆ど必要なく、生育速度も早い。
海老や蟹などの甲殻類に近く、味も似ているから日本食に向いているらしい。
あら、いい事づくめ。内容だけ見たら最高な食材。
もう昆虫を食材としてスーパーで気軽に買う未来がすぐそこに見えるようだ。
ANTCICADA代表の篠原さんは「虫が肉や魚の代替品っていう考え方が嫌で、本気で美味しく作ることを目指してます。虫が美味しい、じゃないと、虫に失礼だと思っています」とおっしゃっていたと。
うん、うん、そうですよね。
理解できるし、納得もしているけど。
以前違うお店からお土産で持ち帰った「コオロギの唐揚げ」を弾ける笑顔でつまんでムフムフしている夫がいるけど。
それを精一杯色彩調整して美味しく見えるようにしてみたけど。
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瓶は冷蔵庫の中にそっと戻して
扉を閉めた。
食べる心の準備は
まだまだ、1μmもできていません。。
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