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多動傾向のある生徒を静かにさせるには
担当しているクラスのひとつが非っ常〜にうるさく、よく席を立つ子が2〜3人いる。他にも机を叩いている子や、ひたすら話している子など、まともに相手をしているとかなりイライラする。そうすると真面目な生徒に悪いなとも思うので、対策を考えた。
生徒がうるさくするときはいつか
多動傾向は立席する子が目立つけど、よく観察すると色々な種類の多動傾向があるんだな……と妙に納得しながら、彼らが多動傾向を出す時と出さない時を観察してみた。すると授業がおもしろいときは多動傾向が収まり(集中している)、それがないと顕著に出てくる。なのでこちらがある程度授業を面白くすればいいのだなと思った。手間は増えるけど、手間と授業中自分がイラつくのを天秤にかけるとイラつく方が私は嫌だ。これでサビ残増えるなあ……。
対策1:授業をおもしろくする
ということで、ひとしきり怒った次の日、授業内容を工夫したらびっくりするくらい集中して静かになった。(その前日も工夫はしていたのに!)
彼らはある意味わたしの提供するサービスへの一番正直な評価者なので、うるさいということはつまらないということなのだ……。自分がイラつきたくないので全部の授業に手抜きはないのだけど、それでもつまらないと評価させる。身につまされる。
対策2:生徒に役割を与える
とはいえ、ある程度その内容も終わるとまたうるさくなるので、多動傾向が顕著な数名はこちらから指名して席を立たせるようにしている。プリントを配らせるとか、動画等の視聴覚教材の設置を手伝わせるとか、そんなところ。そうすると生徒もちゃんと仕事をしながら他の生徒と話して楽しそうにしているので割と目立たない。他の生徒から「お前多動だもんな〜」といわれ、「えへへ(得意げ)」といった感じ。
あとは生徒個々がプリントをしたりすればいいので、授業の最後の20〜10分くらいはこちらで見て回ることにしている。
叱っても静かにできない
今回のことでしみじみ思ったのは、彼らは叱っても静かさを保てるのはせいぜい3秒くらいなのだと思う。長くて7秒くらい。10秒持たない。叱るのは道理や筋として大切だと思うが、叱っても言うこと聞かなければ別の方法を試すしかない。しかも別の方法を試した後の方が生徒がいうことを聞くので、教育って「北風と太陽」なのだなとしみじみ思う。(叱り方にも寄るとは思う)
多動は悪いことなのか?
この多動の生徒がいることで助かっていることもある。前述したプリント配布の生徒ように誰にでも気さくに話しかける子が多いく、話しかけ方が嫌味じゃなく自然なのがすごくいいところだと思う。教室で浮いていたり小さくなっている子にも「やっぱり〇〇くんすごいな〜!」「得意だよねこれ!」なんて多動傾向の子は話しかけてくれるので、言われた方もはにかんで笑っていることが多い。特に不登校傾向のある子達がこの多動の子たちから話しかけられたことをきっかけにクラス内で打ち解けて始めることも結構ある。彼らの多動特性をうまく活かせばこちらもめちゃめちゃ助かることが多い。
衝動的に動いてしまって学習する機会が減る
それと今回思ったのは、多動傾向の子は衝動的に動いてしまう間に学習の時間が減ることになるので、そりゃ成績が下がりやすくなるだろうなということだった。動いてる間勉強してないんだもん。なので彼らの学習の機会や時間をなるべく減らさないように工夫するのが教員側の役割の一つなのだと思った。サビ残は増えるけれども。
授業がわからないからおもしろくない→おもしろくないから動いてしまう→動くと学習しないからさらに勉強がわからなくなる。この悪循環に生徒がハマってしまわないように工夫すれば、自分が授業中にイラつく機会も減るだろう……(という願望に過ぎないが)。生徒の将来のためでもあるけど、まずは自分のために工夫したい。それが文字通り明日の自分の幸福度につながってくる。