和梨の蜜煮とあったかスープ
蝉の声も名残の猛暑もようやく鳴りを潜め、
秋虫の声があちこちで暗闇を彩るように。
これから、日毎に夜が長くなっていきます。
心も身体も軽くなり、
やっとくる秋のお持たせを二種作ってみました。
和梨のコンポート。
1つはシンプルに白ワインとミントの葉で、
もう1つは、実は火鍋の残りものなのですが
ナツメとクコの実に、八角やシナモンなどのスパイスを少しだけまとわせました。
洋梨より風味さっぱりな分、煮汁も優しく、
フルーツスープやゼリー寄せにも使いたくなります。
*梨の蜜煮 ミント風味
材料ー作りやすい分量
梨大2個、白ワイン1/3カップ、きび砂糖80g、水2カップ、ミントの葉ひとつかみ、レモン1個、好みで黒粒胡椒少々
1.梨は四つ割りにして皮と芯を除き、さらに縦に食べやすく3〜4等分にスライスする。皮はペーパーに包んでおく。
2.ホウロウなどの鍋に梨と砂糖を交互に入れて、ワインと水を注ぎ、上に紙に包んだ皮を乗せて強火にかける。好みで粒胡椒を加えると大人の味に。
沸騰したら中火に変え、15分ほど煮て火を止め、味を含ませる。
3.粗熱が取れたら皮の入った紙の包みを外し、ちぎったミントの葉とレモンの絞り汁を加える。
*梨となつめのスパイス蜜煮
材料ー作りやすい分量
梨大3個、干しなつめ6個、クコの実大さじ1強、水3カップ、きび砂糖120g、シナモンスティック1本(パウダーなら一振り)、八角1個、クローブ5〜6個
作り方
1.はミント風味と同じ。皮を包んだ紙に、スパイスを一緒に包むと後が楽です。
2.ホウロウなどの鍋に梨と砂糖を交互に入れて、ナツメとクコの実も加え、水を注いで、上に紙に包んだ皮などを乗せ、強火にかける。沸騰したら中火に変え、15分ほど煮てそのまま味を含ませる。粗熱が取れたら皮の入った紙の包みを外す。
スパイスはパウダーでもかまいません。
少しずつ様子を見ながら五香粉を使うことも。
五香粉といえば、
中華街のお土産でよく勧める、十三香粉というのがあります。
五香粉は八角、シナモン、中国山椒に陳皮、クローブですが、これにさらに生姜やアニス、フェンネルなど8種の薬効が加わり、一振りで餃子にスープ、唐揚げやあんかけなど、どんな料理にも深みを与えてくれるミックススパイス。
Amazonでも取り扱っていました。
この蜜にも、ほんの少し混ぜています。
和梨でもう一つ。
梨のスープを煮ました。
なんとなく元気の出ないときや、
疲れた夜におすすめです。
日本の梨は、
独特のシャリシャリ感が魅力。
コンポートをつぶしてスープにし、時間差で刻んだ梨をトッピングにすると、さっぱりとした味わい。
とろり、まったりとした芳醇な香りの洋梨とはまた違ってこれも良いな、といつも思います。
きび砂糖に黒糖を混ぜたので、黒く仕上がっていますが、白砂糖だともう少し薄い色のスープになります。
*梨のスープのレシピ
梨2個は、1/2個を残し、ほかはざく切りにして、砂糖大さじ3と500ccの水とともに火にかけ、柔らかくなるまで中火で煮る。
ポテトマッシャーやフォークで粗めにつぶし、甘みを調節し、
残しておいた梨は小さめの角切りにして時間差で加え、さっと煮る。
生姜汁も小さじ1加える。
シナモンやカルダモン、粒胡椒などのスパイスを振って。
くだもののスープは冷たいものが多いのですが、
巨峰、りんご、いちじく、みかんなど
秋冬においしくなるものは、
あたたかくしても、ほっとするいい味になります。
しょうがや、胡椒などのスパイスを合わせるとより温まり、
和梨はちょっと韓国風にも思える味に仕上がります。
初めてくだものをスープにすることを知ったのは、
森茉莉さんのエッセイにあった
巴旦杏(はたんきょう・プラムの一種)の美しい色のスープでした。
巴旦杏は種が取りにくく、煮ないとうまく離れないので、砂糖漬けにしてから煮始め、種が離れる頃に漉して頂く、という作り方だったと記憶しています。
当時大学生だった私には、
作ること、食べることをこんな風に自由に愉しむ暮らしがとても新鮮で、強い憧れを抱くようになったこと、
梨のスープを飲みながら、懐かしく思い出しました。
あらゆる事がまだ曖昧模糊としていた自分の中の何かに、
小さな気づきをくれたもののひとつでもあったのかもしれません。