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半夏生の蛸
日本での昔ながらの神事や暦には、
稲作をどれほど大切に思っているかがしのばれることが多いのですが、
田植えを終えるという今のこの時期、特に強く感じます。
6月末には、神社に設けられた大きな茅の輪をくぐって、収穫までの後半年の無病息災を願う
夏越しの祓(なごしのはらえ)と言う習わしがあります。
また、7月2日は半夏生、というそうです。
はんげしょう、っていい響き。
おもに農家だと思いますが、
この日にたこを食べる習わしがあるそう。
夏至からこの日までに田植えを済ませたあとで、
たこの足のようにしっかり苗が根付き、吸盤のようにたくさん実るのを祈ったとか…。
最近は魚売り場でも、蛸のところに半夏生の説明書きが添えられていたりします。
たこはタウリンも豊富ですから、
田植えの労をねぎらう日に、ぴったりでしょうね。
我が家もいつしかこの時期に
稲を植えてもいないのに、蛸だけ便乗しています。
この急激な暑さのせいか、日々の疲れか、
どうも元気が足りないぞと思い、
よく冷やしたたこぶつを、一日早いけれど頂きました。
おろしたきゅうりを混ぜた酢を添えて。
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たこに合わせて
この時期によく作るのが、夏のおでんです。
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夏おでん…といっても、作り方は同じで、
違うのは、出来上がりをよく冷やしたり、仕上げに梅を利かせたり、のほかに
あたりまえですが、具に夏らしいものを。
定番の大根、卵、昆布、ちくわぶなどに加え、
トマト、とうがん、とうもろこし、さやつき枝豆、ズッキーニ、オクラ、茹でたヤングコーンなど夏野菜も。
干し椎茸やふき、焼いたなすなども合います。
煮汁にゼラチンや寒天を溶かして、ジュレにしたりも良いです。
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煮込んだあとでよ~く冷やすので、
汁気を切って、冷え冷えをこの時期心配なお弁当にも持っていけます。
さあ、今年もあと半分。
暗いニュースはひとまず横に置いて、
みなさんに、嬉しいこと楽しいことがたくさん訪れますように。