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かんたん求肥と初夏のおやつ
見上げれば曇り空。
そろそろ梅雨かと思うような雨降りが少しずつ増えてきました。
初夏はいつだって爽やかで心地よくて、
ずっとずっとこのままでいて、などと思うせいか悲しくなるほどに急ぎ足です。
そんな、過ぎ往く初夏を愉しめるおやつには、
白玉粉で作る求肥が良く似合います。
鍋で練ると柔らかさが長続きしますが、
レンジでも充分美味しく
思い立った時に、やる気になりやすいのです。
ゆずの皮や生姜の風味をつけた求肥もおいしいし、
あんみつや和風のパルフェに加えても、
アイス以外に好きなあんこやフルーツを包んでも。
出来立ての求肥は、
赤ちゃんの肌のようにふわふわ。
手で伸ばせないほどにやわやわです。
一晩おくと、扱いやすくなります。
食べやすく切りわけ、ラップに包み冷凍しておけば
気のむいたときにいつでも頂けます。
作り方は後ほどご紹介しますので、
白玉粉と時間が余った時に、お試しください。
求肥を使ったひとつめは
バニラアイスを包んで…
雪見だいふくのようなおやつを。
まったく同じではつまらないし、
チョコペンを使って、にこにこ雪見にしました。
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スマイルマークを描いていると、
面白くなくても
つられていつしか自分の口元も緩んでしまいます。
そしてそのスマイルをぱくり、と食べれば
描くよりもっともっとニコニコに。
そういえば震災後しばらく、
笑顔のクッキーやらパンケーキやらをやたらと作ったりしていたのを思い出しました。
二つめは鮎をかたどったお菓子です。
これは、ステイホームの頃によく作りました。
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*レンジで求肥そして若鮎
材料
(求肥:作りやすい分量)白玉粉90g、砂糖110g、水180cc、片栗粉適宜
(皮:10尾分)卵L玉2個、砂糖120g、小麦粉120g、水大さじ4
作り方
1、求肥を作る。耐熱ボウルに白玉粉と砂糖を入れて、
水を2回に分けて加え、泡立て器でかき混ぜる。
ラップをかけてレンジで2分加熱し、激しくかき混ぜ、さらに1分加熱する。
ふたたびかき混ぜ、片栗粉をひいたバットに平らに流し、
上からも片栗粉を振り、冷蔵庫で冷やす。
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2、皮を作る。ボウルに卵を割り入れて溶き、砂糖と水の半量を加え泡立て器で混ぜる。
スポンジを作るように泡立てずに、なめらかになれば大丈夫。
ふるった小麦粉をさっくり混ぜて残りの水も混ぜ、20~30分冷蔵庫で寝かせる。
3、フッ素加工のフライパンを温め、2、の生地を細い楕円形に流して弱火で焼く。
生地を真ん中に落としてお玉の後ろで両側それぞれに引っ張るようにのばすと均等に広がる。
4、焼いていない方の面が乾いたら、端と端を合わせるように、ふわりと折る。
それをラップフィルムで軽く包んで、折った形を安定させる。
冷めたら細く切った求肥をはさんでとじ目を押さえるように形作る。
5、焼いた金串を押し付けて、目やひれのかたちをつける。
※金串は長さがあり、持っても熱くなったりしないので、火の管理はしてあげながら
お子さんと一緒に鮎の顔を描くのも、
いろいろな学びがありそうです。
ケーキ作りが動なら、この一連の作業は静、と思います。
和菓子だから、でしょうか。
心が研ぎ澄まされる、までは言い過ぎでしょうが、
求肥をなめらかに混ぜ合わせたり、
生地をしばらく寝かしておいたり、
掌で優しく丸めたり、
弱火でじっくり生地が焼けるのを待ったり、
金串をまっかっかに焼いて、じゅ~っと鮎の模様を一本ずつ書いたり。
そうしているうちに
頭の中が少しずつすっきりと、クリアになって来るのがわかります。
あんこを炊いているときにも
お寺の精進料理、たとえば胡麻豆腐などをじっくりと練る修行に通じるかもしれないなと感じました。
思えば震災や感染症など、自分ではどうにもならない心痛を、そのやわやわな心地で和らげてくれた、求肥のお菓子。
余計なことを「考えない練習」につながるのかもしれません。
今日は母の日。
折しもこの鮎菓子は母の大好物です。
そんな親しい人への、初夏の贈り物にも。