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こげちゃ丸
2021年3月27日 19:20
「明日、雨を降らせてね、と注文しておいたんです」雨宿りをしていた本屋の軒先で、隣に並んだ知らない女性。急に言われた奇妙なセリフに少し怖いな、と思いながら聞いてしまった。「だれにですか?」「もちろん空にですよ」ザーッと降る雨の音が大きくなる。かなり個性的というか、不思議な人だ。さりげなく靴の幅ひとつぶん、ぼくは彼女から離れた。--*--今日は久しぶりに仕事が早く終わって、
ささいな笹
2020年10月14日 12:46
オレンジ色のカーブミラーの真下、田舎特有の煙った匂い、家々を線結ぶ郵便バイクの音が響く、昼間の住宅街。地面に倒れ込んだ躰をイタタと起こすと、なんと、白い猫になっていました。カーブミラーと同じ色の小花が低木に咲き乱れて芳しい、十月の午後三時のことでした。先ほど、愛した男にとどめをさしました。そうせずにはいられなかったのです。お昼ご飯に温かいきつね饂飩を作ってあげました。あなたはそういう