#クリスマス金曜トワイライト
近くて遠い、あなたと私。【#クリスマス金曜トワイライト】
私があなたを意識し出して、もうすぐ2度目の冬がきます。叶わぬ恋、ということは分かっていました。想い人のいるあなたが私に振り向いてくれる可能性なんて、万に一つもありはしないという事も。
それでも。
私は賭けてみたかったのです。あなたが私に振り向いてくれる、その万に一つ。いえ、億に一つの可能性に。
◇・◇・◇・◇
あなたの想い人が、私たちの勤める会社のビル1階で働いているのは知っていました。「
闇と闇のあいだで子どもたちは光を掴む
家出なんて、そんな子どもじみた言葉では表せない。あれは、おとなになってみて初めて分かった、逃避行だったんだね。そう、切ない気持ちを抱えた、初恋の君。
裸足で飛び出したマンションの廊下のタイルの冷たさを、ざらりとした砂を、今でも忘れられずに覚えている。泣きそうに冷たい、気持ちが悪い、それでいてなじみのある触感。けれど、その日はいつもと違った。
ガチャーン!
窓を割って、お母さんが泣き叫んでいる。