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2020年8月の記事一覧
『エピローグ』 #ナイトソングスミューズ
でも、ほんとうは
彗星は、あなたであって
わたしだった
暗くて冷たい、とおいとおい雲のかなたからある日
わたしたちは旅をはじめた
わたしたちは、ずっと 旅をしていた
彗星の尾っぽにつかまって、わたしたち 旅をしてきた
そして 今、
燃え尽きた彗星は塵となり 残るのは、ふわり宇宙に
揺られ漂うふたり
宇宙の片隅で、肩を寄せあって そう、やっと
辿りついたのね
つかんでも逃げていく
世界でたったひ
彗星が見えなくなる前に
またひとり、私がカッコ良いなぁと思った女性が 重い器を抜け出して空へと還った。一足先に彗星の尾っぽにつかまって青い地球を眺める権利を得たんだろう。空に行っちゃったら、美しいことしか見えなくなっちゃうのに。ずるいなぁ、でもいいなぁ。
◈
私自身は癌、という病気そのものに’感情’は持っていない。それは癌を患われている方やご家族の方には腹立たしいことかもしれない、「医師になったのなら何かしろ」と。
あの夏が掛川駅を通過した
いつも短い夏が、この夏はさらに短い。
禍のこともあるし、それ以前に締め切りとダンスを踊り続けてるためでもある。まあ、そんなこと言っても仕方ない。
人生の半分はトラブルで、あとの半分はそれを乗り越えるためにあるのよ。そんな台詞が浮かぶ。あれは『八月の鯨』だったっけ。
べつに、いま現実的なトラブルの渦中にあるわけでもないのだけれど、自分が生きてること人生がある種のトラブルだとしたら、まあそうなん