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VTuber楽曲紹介と魅力について(後編)

 どうもです。

 今回は、音楽記事になります。内容は表題の通りで、VTuber楽曲の紹介と、その魅力について。以下の記事の続きになるので、是非こちらも読んでからまた後編に戻ってきてくれると嬉しいです。むっちゃありがたい事にnote公式にもご紹介頂きました。

 では、早速ですが、厳選に厳選を重ねた後編の25曲を紹介していきます。最後には、VTuber楽曲の魅力について書きます。

 ※初心者向けの紹介記事になるので、造詣が深い方には知ってる曲ばかりになるかもしれません。その場合はサラッと流して貰っても構わないので、共感等して頂けたら、是非シェアして広めてくださると嬉しいです。



#26「魔女(真)」/ V.W.P

(作詞:カンザキイオリ・たかやん、作曲:カンザキイオリ、編曲:rionos)

 クリエイティブレーベル「KAMITSUBAKI STUDIO」所属のバーチャルシンガーである花譜、理芽、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜の魔女達が集結したバーチャルアーティストグループ。因みにV.W.PはVirtual Witch Phenomenon の略。結成は突如…2021年3月13日にYouTubeにて全編無料配信された、花譜のセカンドワンマンライブ「不可解弐Q2」で初めて登場し、上記の「魔女(真)」を含む全4曲を披露してみせました。このグループ結成発表にファンは、驚きと嬉しさ、その他諸々でもう訳わからん感情になったはずです。少なくとも自分はそうでした。
 この曲、元になっているのは花譜の「魔女」と云う曲。仮想世界にいる新しいアーティストの可能性や、バーチャルとリアルの狭間で揺れ動く心情を歌っているんですが、魔女5人が揃った事で(真)へと生まれ変わったものです。5人の歌声の個性と相乗効果、メッセージ性と雰囲気が一体になり、力強い歌唱を魅せる。何度聴いても心が震えるし、目頭が熱くなります。
 V.W.Pは、この曲の派生となる“魔女の系譜曲”を4曲リリースしており、年内にはアルバムリリースも予定されています。今年4月16日に豊洲ピットにて開催されたワンマンライブ「現象」にも参加しましたが、このグループ圧倒的です。「音楽」に特化したグループとして、楽曲とそれに伴ったライブクオリティ・パフォーマンスに関してだけ云えば、彼女達が間違いなくトップにいると確信しています。加えて、リアルとバーチャルの垣根を音楽面から融解させる様なアプローチも印象的。少しでも何か響くものがあれば是非、会場に足を運んでみて欲しいです。


#27「海に化ける」/ 花譜かふ

(作詞・作編曲:カンザキイオリ)

 2018年10月18日に活動開始。「KAMITSUBAKI STUDIO」所属。こないだの2022年3月に高校を卒業したばかりの18才です。次世代アーティストの最先端を走るバーチャルシンガーとして、YouTubeやInstagram、TikTokなどで活動しています。2019年1stワンマンライブ開催のために行われたクラウドファンディングではわずか83秒で目標達成、最終的に4,000万円の支援を集め、ライブ当日には「#花譜不可解」がTwitter世界トレンド1位と話題になりました。その後も、VTuberイベントへの出演や、ワンマンライブを重ね、アニメや映画のタイアップ曲もリリース。豪華クリエイター陣とのコラボなど、怒涛の勢いで活躍の場を拡げていきました。
 上記の曲は、2021年6月30日にリリースされたシングル曲。同年6月12日のワンマンライブ「不可解弐Q3-魔法の無い世界-」で初披露されました。"後悔なんて消してやらない。 強くなんてなってやらない"と、成長と後悔の狭間で迷う全ての人に捧げる曲となっています。体の奥底の感情が純度100%のまま声に変換された様な歌声、消えてしまいそうだけど力強い線香花火の様な表現力、彼女の魅力であるこの2つが伝わりやすい曲だとも思っていて。加えて、実はこの曲、1600万以上再生された人気曲「過去を喰らう」のアンサーソングであり、彼女の真価と進化を再認識できた曲でもあります。今年8月24日には3rd ONE-MAN LIVE「不可解参(狂)」が日本武道館にて開催。是非、彼女の晴れ舞台を観測してあげてください。


#28「食虫植物」/ 理芽りめ

(作詞・作編曲:笹川真生)

 花譜に続いて、2019年10月18日に「KAMITSUBAKI STUDIO」の発足とともに活動開始。当時17才、現在は大学に通っています。彼女もYouTubeにカバー動画を投稿しているんですが、花譜と違う特異性は、海外のヒット曲が主である事。英語の歌、韓国語の歌が純粋に好きな彼女。歌う為に英語や韓国語が使いたい訳ではなく、そもそも学問やコミュニケーションツールとして好きなことも大きいそうです。幼い頃から英語は学んでいるとの事。日常的に他の言語にも触れているからこそ、難なく歌いこなしてしまうのは一つの武器と云えますね。
 上記の曲は、2020年1月3日に発表した2曲目のオリジナル曲で、同年7月頃にTikTokで爆発的なヒットを引き起こし、MVの再生回数は同年10月時点で2000万回を突破。現在は3600万回以上となっています。虫を食べる植物の総称である食虫植物の特性を愛に例え、愛されたいと願う気持ちが綴られたリリック。曲として作り上げた笹川真生氏の技量にも驚きですが、独特なクセになるリズムで、絶妙な抑揚でのらりくらりと歌いこなす理芽も凄い。声質的には花譜と近いものを感じますが、理芽には妖艶なニュアンスがあるので、それも光る楽曲です。今年6月25日にはXRライブ「IMAGINARY WORLD」を同じレーベル所属のte’resaと開催。気になった方は是非。


#29「居場所」/ 春猿火はるさるひ

(作詞・作曲:たかやん、編曲:橘井健一)

 理芽に続いて、2019年11月15日に活動開始。YouTubeにVOCALOIDを中心とした「歌ってみた」を多数投稿。ただカバーするのではなく、"RAP VERSION"が主である事が彼女の特徴です。投稿した楽曲の中には100万再生以上を達成しているのもあります。中でもカンザキイオリさんの代表曲とも云える「命に嫌われている。」はライブでも花譜とコラボし、素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれました。実は彼女、春猿火として活動を始めるまでラップなんて一度もした事が無かったそうです。不安もありながら、誰にも出来ないレベルで「裏側」で努力をし続けてきた彼女の軌跡が歌として「表側」に届けられてきました。
 上記の曲は、1stフルアルバム『心眼』に収録されているオリジナル楽曲。力強さの中に、優しさや愛が溢れてるリリックが暖かく、「ずっと独りでさ 心細かったんだよ」とあるように、自分の"居場所"がないと感じる人達へ向けて、手を差し伸べてくれています。これは「KAMITSUBAKI STUDIO」が掲げているモノとも通ずる、バーチャルとリアルを繋ぐ架け橋のようなイメージで歌われており、彼女自身も歌うことでしか自分の"居場所"を感じることができなかったそうです。この曲が聴く者の"居場所"になればいいなって云う想いがふんだんに込められ、彼女のパワフルな歌声や突き抜けるような高音にもその想いが確かに乗っかっていますね。


#30「シリウスの心臓」/ ヰ世界情緒いせかいじょうちょ

(作詞・作編曲:傘村トータ)

 春猿火に続いて、2019年12月9日に活躍開始。自らの歌と創作で物語を生み出すことをコンセプトとし、歌、ボイス、絵、ストーリーなど、様々なものを製作しています。YouTubeにはVOCALOIDを中心とした「歌ってみた」を多数投稿し歌唱力を魅せる傍ら、イラストレーターとしてアートワークやグッズも担当。「今までは作品を完成させて終わりだった。」そう語るほど純粋に創作に打ち込む生粋のクリエイターであった彼女ですが、大勢に作品を発信する機会は殆ど無かったそうです。ヰ世界情緒として活動していく中で、誰に届けるためにつくるのかを考えるようになり、作品を通して気持ちが繋がっているように感じられたのはやはり感動的だったと云います。
 上記の曲は、1stフルアルバム『創生』に収録されているオリジナル楽曲。彼女の投稿した動画で最も再生(380万回以上)されているMVでもあります。この曲の様に、彼女の曲は映画や劇を見ているみたいな感覚になるモノが多く、独創的な楽曲世界へと引きずり込むパワーはとんでもないモノを秘めているのが魅力。歌声には力強さと儚さ、そして少女のようなウブさを保ちながらも得体の知れない色気をも孕んでいて。モールス信号の音色を奏でる歌い方なんかは唯一無二と云える彼女の才覚が顕れています。マルチクリエイターとして、今後も活躍分野を拡げていってくれる事でしょう。


#31「the last bullet」/ 幸祜ココ

(作詞・作編曲:DIVELA)

 ヰ世界情緒のデビューから少し期間が空いて、2020年10月25日に活動開始。5人目の魔女として、彼女のデビューによりV.W.Pも結成。デビュー4日目に投稿した歌ってみた動画「ECHO」にて驚異の歌唱力を披露し話題に。31日には初のオリジナル曲「harmony」をリリース。2021年5月8日にストリーミングカバーライブ「あられライブ」を開催し、嘗てドラマーとしてバンド活動をしていた彼女はパワフルなドラムスキルも披露。アルバムもリリースし、同年12月29日には満を持して1stワンマンライブ「PLAYER」を開催。元々リアルタイムで花譜ら4人のデビューを見てきたファンだった彼女が、4人を大好きな気持ちと諦めかけた音楽活動を続けたい気持ちを持ったまま、負けじと唯一無二のアーティスト像を作り上げてきました。
 上記の曲は、そんなロックシンガーとしての矜持を示すような、力強く疾走感溢れるオリジナル曲。初めてのオリジナル衣装での3Dお披露目となったMVと共に、シンガーとしての実力を魅せてくれました。伸びやかで艶のあるロングトーン、且つ語尾に凄い切れ味があるのが魅力的で、聴く者の心を掴む迫力があります。「僕が歩いた道を辿って 立ち向かうんだ」と云う歌詞は彼女自身の歩みを謳っている様にも思います。音楽とその世界を愛して止まない彼女が今後、更なる活躍を魅せるのはもう約束された様なものでしょう。ロック好きの方には特にハマって欲しいです。


#32「革命バーチャルリアリティ」/ VALIS

(作詞・作編曲:カンザキイオリ)

 2020年3月23日に活動開始。「KAMITSUBAKI STUDIO」から派生したクリエイティブレーベル「SINSEKAI STUDIO」に所属。正式名称はVirtual Artificial Living Intelligence System.ドールのような風貌で、体にはネコのような耳と尻尾が生えている「神出鬼没のバーチャルサーカス団」としてパフォーマンスをする6人組のバーチャルガールズグループ。このグループの強みは、「リアルとバーチャルを行き来する」をコンセプトにアバターとオリジン(中の人)の姿の両方でパフォーマンスができる事。クラウドファンディングで目標金額300万円を大きく上回って1000万円近くの支援が集まり、無料公開を果たした1stワンマンライブ「拡張メタモルフォーゼ」でオリジンのお披露目に至り、業界の主流を崩して魅せました。
 第9弾オリジナル楽曲で上記の曲も、オリジンver.があるので、見比べてみて欲しいです。操り人形をイメージしたコミカルな動作が組み込まれたキレのあるダンス、それでいて安定した歌唱力までも魅せます。元々ポテンシャルがありながらも「挫折した過去を持つ」子達が集められたグループ。彼女達が「再び表舞台に立って活躍したい」と云う想いを汲み取り、それを前提に置きプロジェクトを進めてきたと云います。「平行線を吹き飛ばせ 革命ならここにある」「私たちが君の人生に革命を起こすから」と歌詞にもある様に、全てを覚悟の上でのこの活動は、"平行線"を超えた"革命"に他ならないです。並々ならぬ根性と決意を持っているこの子達が、この業界にまだ何かを起こしてくれるんじゃないか、そして、それに感化される子達が登場するんじゃないかと思わざるを得ません。


#33「まってるよ」/ 存流ある

(作詞・作編曲:MIMI)

 「SINSEKAI STUDIO」所属。2021年6⽉に突如デビューした次世代型バーチャルシンガー。キャラクターデザインは世界的にも有名なイラストレーターである"米山舞"氏が担当。複雑な感情を音楽で言語化するために、ふわふわと日々思考している女の子。YouTubeでは「歌ってみた」などを中心に投稿しています。囁くようなウィスパーボイスと、ピアノのように繊細で透明感のある歌声が持ち味です。
 オリジナル楽曲もデビューして間も無くリリースしました。上記の曲は、3曲目となるオリジナル曲。キラキラした音が非常に心地よい、でもどこか切なさも漂うエモ・ポップチューン。MVからも感じられる通りノスタルジックな感じもあるんですが、綴られた想い、メッセージ性もまで含めると現代的。「そのままで いればいいよ 変わらなくて」を前向きに捉えられる人が画面の向こうにいるはずだと願っている様に思います。こないだ6月19日には活動1周年を記念してYouTube Liveで全編無料カバーライブ『むーんらいとLIVE』を開催をしました。いつか現地でのライブも楽しみです。


#34「スロウリー」/ 明透あす

(作詞・作編曲: ポリスピカデリー)

 「SINSEKAI STUDIO」所属。存流に続いて2021年8⽉にデビューしたバーチャルシンガー。彼女もキャラクターデザインは"⽶⼭舞"氏が担当。いたずらに空想し、考えるよりも直感で⾏動してしまう、天真爛漫な⼥の⼦。彼女もYouTubeでは「歌ってみた」などを中心に投稿しています。存流とは対照的にハリのある大人っぽい声で、予測不能の声色と天性のリズム感を持っているのが魅力です。
 上記の曲は、初のオリジナル楽曲。横揺れの心地よいグルーヴ感が強烈に印象に残る1曲で、耳にも残る。彼女の透明感がありながらも、優しき鋭利さがある歌い方が影響している様に思います。音空間としても、サビでダブラーによる声の広がりが深みに連れてってくれる様で本当に気持ちいい。「変わる必要もない やがて交わるんだから」と云う歌詞は、先に紹介した存流の楽曲とも通ずる想いがある気がしますね。これ位の良い意味での気負いの無さが丁度いいのです。存流と明透、2人組の3Dモデルも出来上がっている様で、デュエット曲「新世界へ」も映画の様なただならぬ雰囲気を纏っています。


#35「光の向こうへ」/ HACHI

(作詞・作編曲:澁江夏奈)

 2019年7月よりバーチャルライブ配信アプリ「REALITY」にて活動を開始し、2020年3月にVSingerプロダクション「ライブユニオン」の発足と共に所属、YouTubeでの活動をスタートしました。歌のカバーを始めとし、「ハニカムステーション!」と題した毎週金曜の歌枠配信なども行い、歌動画が中心。ファンからは"はちたや"の愛称で親しまれています。
 そして、2020年7月には音楽レーベル「RK Music」との専属契約を発表し、自身初のオリジナル曲且つデビュー曲となるシングル、上記の「光の向こうへ」をリリースしました。初めて聴いた時、本当に衝撃的でした。歌声が綺麗すぎて。澄み切った高音に、伸びやかなロングトーンからはボーカリストとしての才能やスキルの高さと共に、彼女の想いや熱が確実に乗っかっています。と云うのも、この曲は彼女自身の体験を元に制作されたそう。「明日が来るのが嫌で、眠りたくなくて、でも時間は段々過ぎていって…。そんなじわじわと来る不安をかき消してくれたのが"音楽"だった。だからこそ、自分と同じ夜を過ごす人にそっと寄り添えるような、そっと背中を押してあげられるような歌を」そんな願いを込めてこの曲を歌いあげています。『あなたの心に寄り添う歌を。』と想いを掲げ、"感情系VSinger"とも言われている彼女。これまでクラウドファンディングで約1600万円を集め1stライブを開催した他、外部による数々のVTuber音楽イベントに出演するなど、VTuber音楽シーンにおいては既に欠かせない存在となりました。今後の活躍にも期待しかありません。


#36「アルストロメリア」/ 凛々咲りりしゃ

(作詞・作曲:凛々咲、編曲:朱々音)

 2020年8月19日に活動開始した、個人勢のアンデッド系Vsiger。YouTubeにて「歌ったみた」や歌枠、弾き語りを中心に活動してきました。海外のファンからはヘビの異名で知られています。と云うのもイライラした時などに「シューッ」っと声を立てる癖があり、それがヘビの舌の音に聞こえる事に由来。また、海外ファンが多いのは、前編で紹介したMori Calliopeの「失礼しますが、RIP♡」のRemix動画がキッカケ。当時はまだ新人だったMori Calliopeが歌ってみたコンテストを実施したところ、凛々咲の歌ってみたがCalliopeの配信でピックアップされたと云う訳です。その後は海外ファンの為に、日本語禁止配信や、海外のVTuberとのゲーム配信が増えていきました。また、2021年には英語を勉強するとして一時活動を休止したこともあります。偉すぎる…。あとは、ホロライブの雪花ラミィの大ファンらしく、こちらもRemix動画を提供していました。
 上記の曲は、彼女の2ndシングル。自身で作詞作曲を手掛けているのが凄いところで、どこを切り取っても彼女の曲。JPOPとFuture Bassが好きだと語る彼女らしい、Kawaii Future Bassな仕上りで5分と少し長めの尺に重いが詰め込んであります。カッコイイ要素もあり、特に2:07~の転調が堪りません。作曲センスありすぎる。そして、凛々咲と云う名前の通り、凛々しく咲いた花の様に美しく優しく華やかな歌声を響かせます。「この傷もこの想いも 愛して強くなりたい」と云う歌詞もですが、時に力強さすら感じるこの楽曲からは未来を信じるパワーを貰えます。


#37「Behavior」/ 花鋏はなばさみキョウ

(作詞・作編曲:ポリスピカデリー)

 2018年8月31日に活躍開始した、17歳の高校生アイドルVsinger。「KAGAYAKISTARS」の2期メンバーとしてデビューし、現在はそこの後進である、音楽系を中心にしたバーチャルタレント事務所「Re:AcT」に所属。「自分の歌でみんなを元気にさせたいという願い」を胸に、80本近くものカバー動画を投稿し続け、真摯に歌と向かい合ってきました。アルバムもリリースし、VTuber音楽フェスにも出演するなど活躍してきましたが、2022年1月1日より体調不良と準備期間の為に活動休止。少し心配もありましたが、その約4ヶ月後の2022年5月8日、復活ライブで新3Dモデルと新曲「Under」を携えて素晴らしいパフォーマンスを魅せてくれました。
 上記の曲は、2020年2月12日にリリースされた記念すべき1stEP「Myosøtis」に収録された曲で、新衣装での初MVでもあります。オシャレな雰囲気でリズムが余りに心地良い。特にサビの洗練されたメロディは美しく、聴いた者の耳に確実に残していくセンスと技量は流石ポリスピカデリーさんと言わざるを得ません。そして、これを難なく歌いこなし、聴かせて魅せる彼女もまた凄い。カバー動画を聴いて頂ければ解るんですが、どんなジャンルの曲でも歌いこなせる歌唱力と表現力が特徴で、彼女に歌えない曲は無いのでは…と思える程。活動休止中に迷いも恐れも飲み下して、次のステージへと歩みを進めた彼女の強さは間違いなく本物でしょう。今後も綺麗な歌声を多くの人に響かせて欲しいです。


#38「スローモーション・ジャーニー」 / 諸星ツキナ

(作詞・作曲:アザミ、編曲:アザミ・アシノ)

 2020年11月6日に活躍開始。音楽系VTuberのアシノさんと鷹森ツヅルさんがプロデュースするアイドルプロジェクト「アネモネプロジェクト」所属。「夜道を照らすような、優しく寄り添えるような、誰かの希望になれるようなアイドル」を目指して、YouTubeにて歌枠を中心に活動してきました。が、本当に残念な事に2022年3月31日に「ANEMONE PROJECT」が解体、彼女も同年4月30日を以て活動を終了するとのお報せがありました。僅か1年半の活動でしたが、オリジナル曲もリリースし、VTuber界に確かな足跡を残していってくれました。
 上記の曲は、2ndシングル。星空の様なキラキラとしたサウンドと、そんな夜空を漂う浮遊感ある音像が魅力的。忙しなく過ぎる毎日、スローモーションで流れる様な一息つける瞬間が恋しくて堪らなくて、着飾らない自分で貴方に想いを届けたくて、そんな想像が捗る歌詞になっています。言い回しも素敵。サビで開放される美しい高音には彼女の感情が乗っかり、こちらの胸を掴んでくれます。隙間を縫っていく様な繊細なブレスにも優しさが添えられ、本当に心地良い。是非、深夜に聴いて欲しい1曲です。


#39「Dominion」/ 江戸レナ

(作詞:Bue Mogari、作編曲:GHIN・Bue Mogari)

 2018年12月27日に活躍開始した、個人勢のVsinger。江戸時代は音音城からタイムスリップしてきた歌姫で、江戸レナの歌パワー"えどれなりん"で人類を救済するため現代にやってきました。日本語も英語も流暢に話すことができ、歌声も幅広く、様々な曲を歌いこなしてみせます。歌ってみたや歌枠を中心に動画を100本以上投稿しており、今回紹介している様なVTuberのオリジナル楽曲を歌うことも多いです。また、当初は別の姿で活動してましたが、2019年11月のクラウドファンディングを経て、和装の天下逸品モデルへと変わりました。その後もいくつもの新衣装を公開、単独ライブの実施、アルバムのリリースなど活動は順調かの様に思えましたが、2022年1月26日に開催したワンマンライブ「江戸レナ大祭」をもって無期限活動休止に。理由としては、歌について「己の未熟さと向き合い、多くを学ぶ必要があると考えたからです」と説明しています。
 上記の曲は、初のベストアルバム「PURPLE」の為に書き下ろされた新曲で、彼女の集大成であり代名詞とも云える楽曲。神々しく力強いロックサウンドに、和テイストな雰囲気、お洒落な洋楽EDM、和サイバーパンクとも云える様な唯一無二の世界観を演出しています。そこに彼女の本格派な歌唱力と表現力が加わり、度肝を抜くカッコよさに。ラップも見事。ダンスも上手でビジュアルも相まって可愛さまでも提供。もう無敵感が凄いです。ラストライブでも「また未来で逢いましょう」と言葉にしてくれた彼女、パワーアップした姿で帰ってきてくれる事を心から願っています。


#40「余命宣告」/ 波羅ノ鬼ハラノオニ

(作詞:波羅ノ鬼、作曲:閻魔P)

 2019年5月に活動開始し、2019年6月に開催されたVRライブイベント「第2回アルテマ音楽祭」で鮮烈なデビューを果たした個人勢のVsinger。YouTubeにオリジナル曲やカバー動画を、Twitterには毎日弾き語りの動画を投稿している他、Vsingerとしては異例の路上ライブも定期的に行っています。いつも自分の気持ちを押し殺して生きてきたと云う彼女ですが、歌っている時だけは抑え込んでいた気持ちをさらけ出す事ができ、「私はここにいるよ」と自分の存在を証明できるから、アーティストとして歌を歌いたいと活動を始めたそうです。路上ライブも、誰かに歌を聴いて欲しい、思いや声を少しでも誰かに気付いて欲しくて始めたと云います。
 上記の曲は初のオリジナル曲で、この曲もまた彼女が歌う理由、証明そのものになっています。嘗ての彼女と同じ様に嘘をついて生きてきた人に捧げる「もうそんな偽りの自分なんて捨ててしまえ」というメッセージに、きっと力強く一歩踏み出す勇気を貰った人もいたはず。彼女の背景が示唆されてる様に映るMV、「怖くても歌うだけ 何度だって」と云う歌詞に宿る彼女の等身大の想いが特に良いですね。ハスキーな独特の声質も魅力的。そんな彼女ですが、残念ながら2022年6月26日を以て無期限活動休止する事を発表しました。その日には夜20時からオンラインライブを行うとの事。少しでも気になった方、是非見に行ってあげてください。


#41「Neon Super Future Girl」/ 式部めぐり

(作詞・作編曲:K*C*HACK)

 2020年2月1日に活動開始した、個人勢のVTuber。愛称は"しきめぐ"。キャッチフレーズは「紫式部に憧れる平安のこじらせ系文学少女」で、紫式部の才能への尊敬と、自身の不器用な性格を名前にも込めてるそうです。勿論、百人一首も好き。「月みたいなアイドル」を目指しており、夢は桜の季節に東京タワーでライブをする事。人気に火が付いたと思われるのは、SHOWSTAGE(SHOWROOMが運営しているVRライブ配信サービス)で単独ライブをする権利の争奪戦で見事優勝したエピソードでした。その後はソロでのシンガー活動、音楽ライブ出演を始め、TV出演、全国規模でのオーディオ機器とのタイアップなど幅広く活躍の場を広げてきました。
 上記の曲は、2021年10月31日にリリースされたオリジナル曲。2021年10月9日に開催された「暴力的にカワイイ(通称暴カワ)」にて先行披露されました。暴カワみたいなクラブミュージックイベントでもピッタリなキラキラな音色が気持ちいいkawaii future bassで、聴いてるだけで本当にハッピーになれます。「最後は笑いあって めぐり会えるから」と云う歌詞も彼女にピッタリで、ここで終りじゃなく憧れた場所までまだまだ駆けていくよって云う希望も感じられる曲になっています。あと、6月末までクラウドファンディングを行っていますので、覗いてあげてください。既に250%ストレッチゴールを達成し初のワンマンライブも決まり、今後の活躍も楽しみです。


#42「PINK,ALL,PINK!」/ 名取さな

(作詞・作曲:桃井はるこ、編曲:Haraddy)

 2018年3月16日に活動開始。個人勢のVTuberで、ピンクのエプロンをつけたナースの服装の通り、肩書きは「ば〜ちゃるな〜す」。主な活動内容は雑談やゲーム実況、自信が得意とするお絵かき配信など。配信中に創作したキャラクターをさなちゃんねるキャラクターズと名付け、グッズ化までに至った事も。また、配信では意図的に荒い口調を混ぜたり、ネットスラングの使用率が高かったりする事から、友達のような親近感を与え、ファンを魅了しています。キズナアイがパーソナリティを務める番組「のばん組」の年末特番「のとく番」での、視聴者による人気投票企画「バーチャルYouTuberランキング2018」では1位を獲得。その後もイベントやTV番組に出演し、人気VTuberとなっていきました。2020年3月7日には自身初の単独イベント「さなのばくたん。 -バースデイ・サナトリウム- Powered by mouse」が開催…される予定でしたが、コ〇ナの影響を受け中止に。
 本来そこで披露されるはずだった曲が、上記の曲です。併せて新しくなった3Dモデルも。その日彼女は自身のチャンネルで配信をし、悔し涙を流しながらも、大勢のせんせえ(ファンの総称)からお祝いされ、最後には笑う彼女の姿がありました。可愛さやひたむきさなど、“名取さな”をそのまま曲に落とし込んだかの様な、コール必至の超王道のアイドルソングに仕上っているこの曲には、もうオタク大歓喜。楽しくて仕方がないし、むっちゃ元気が出ます。なお、翌年の同日には川崎チネチッタで圧巻の初ライブイベントを披露し、雪辱を果たしています。この事からも根強いファンが多く付いており、VTuber界に居なくてはならない存在となりました。


#43「天獄」/ d.I.V.a.ディーヴァ

(作詞・作編曲:KAKERU)

 2021年2月12日に活動開始した"天ノおと"と、"惡ノろく"によるボーカルVTuberユニット。個性豊かなVTuber達が住まう「Vメゾン」所属で、人間的には20歳ぐらいだと云う天使と悪魔。2人とも、特技が歌なだけあり、歌枠が定期的にあり、あとはそれぞれ得意なゲーム配信が主です(天ノおとはAPEXなど、惡ノろくは音ゲーやパズルゲー)。
 まだ新人とされる2人ではありますが、デビューから丁度1年後の2022年2月12日にオリジナル曲をリリースしました。メランコリックな雰囲気、ダークファンタジー世界に光を灯す、ビジュアル通りのアイドル系でありながら確かな歌唱力を魅せる、そのギャップがカッコイイ曲。2人のハモりも綺麗でどこか儚げ。彼女達の存在の様に対(つい)が際立つ歌詞の中、「確かなものなんて何も無いだろ」を後ろ向きに捉えるか、前向きに捉えるか、はたまたそれ以外か。彼女達の様なVTuberがどういう存在か考えれば、答えは自ずと視えてくるはずです。


#44「反響∽波形Synchronicity」/ LiLYPSEリリップス

(作詞:華憐、作曲:Gaku、編曲:Gaku・弍式)

 avexのバーチャルアーティストプロダクション「AVALON」に所属。高慢で直情的な姉の"暁みかど"と、冷静で毒舌な妹"暁おぼろ"からなる双子バーチャルアーティスト。2020年9月に開催された「Life Like a Live!(通称えるすりー)」でお披露目を果たし、YouTubeでは毎週「太陽と月が交わる刻」に「歌ってみた」動画投稿などで活動しています。翌年にも「えるすりー2」や「Virtual Music Award(通称ブイアワ)」といったオンライン音楽フェスにも出演し、着実にキャリアを積んできました。自分も、2021年末に開催された「ブイアワ2021」で、彼女達を初めて見たんですが、上記の曲も披露してくれて圧倒されたのが記憶に新しいです。
 これは初のオリジナル曲でMVもあるんですが、間奏での喋りから少し人間性も解るし、ライブクオリティが凄いので、敢えてライブ版を貼りました。このライブはデビューから僅か一年半、2022年5月29日に開催した初となる単独オンラインライブ「-双星歌劇- 反実仮想ARCHETYPE」のモノ。音楽プロデュースには美少女ゲームなどへの楽曲提供で知られる電気式華憐音楽集団の起用し、立派なゴシックメタルを鳴らし、ダークポップな世界観を演出。サウンドと相性の良い声質で、高い歌唱力とダンスを武器にした2人のパフォーマンスのシンクロ度合は一級品。飽きる事のない中毒性ある仕上りになっています。この後もこの系統の楽曲を持つVTuberを紹介しますが、V界隈はもっと軽率にメタル曲出していいんですよ?メタル好きにオタク多いし、親和性高いので(笑)


#45「アンダーワールドウタウタイ」/ Kotone

(作詞・作編曲:堀江晶太)

 2018年4月27日にYouTubeとニコニコ動画を投稿し始めた、“500歳の神”を称するVTuber“天神子兎音”。京都の由緒正しき神社に祭られていた神ですが、人間達に忘れ去られ崇められなくなってしまった事を機に、人間達は何に夢中になっているのかと調べてみて解ったオタク文化の魅力に惹かれ「YouTubeに動画を投稿して皆を笑顔にする。そしてエンターテインメントの神になる!!」と心に決めVTuberを始めました。"不動の11位"と呼ばれるマリオカートのプレイスキルや、トークで頻繁に噛む事などから、信者(ファン)には"ポンコツ噛み様"呼ばわりされる時期なんかもありつつ、地道に活動を続け、2020年11月11日に所属会社がユニバーサルミュージックになること、同年12月23日に「Kotone」名義でメジャーデビューを発表し、2021年7月28日に満を持して1stアルバム『RESIST』をリリースしました。
 上記の曲は、そのアルバムに収録された曲。かなり骨太なギターリフに、エレクトロサウンドも取り入れる、この音楽性がもう雑多なジャンルをロックに貪欲に取り込む日本のラウドロックそのもの。そこに堀江晶太節炸裂のメロが乗るんだからもう強い。やたら耳に残るサビメロや、"子兎音様!"みたいなライブを意識したフレーズも魅力的。そして何より彼女のパワフルでエネルギッシュな歌声が光ります。メリハリの付け方、ブレスの使い方も上手なので、パワフルなのに凄い聴きやすい。そんなカッコイイ彼女ですが、動画配信だと京都訛りな関西弁が聞けてむっちゃ可愛いのです。確かな歌唱力に強い楽曲も本当に揃っているので、いつかワンマンライブを開催してくれる事を願って自分は応援を続けています。


#46「Defiant Deadman Dance」/ えのぐ

(作詞・作編曲:丸山漠(a crowd of rebellion))

 2018年2月21日に活動開始。鈴木あんず、白藤環、日向奈央、夏目ハルの4名で結成されたVRアイドルグループ(結成当初は5人で栗原桜子が引退)。バーチャルアイドル事務所「岩本町芸能社」所属。主にニコニコ生放送、YouTube Live、Showroomで生配信を行っており、VR空間を利用したバーチャルライブや世界初のバーチャル握手会など精力的な活動をしてきました。そして、同年11月28日にユニバーサルミュージック EMI Recordsより、1stシングル「ハートのペンキ」をリリースを果たしました。その後も、リアルアイドルと並ぶ活躍っぷりで、世界最大規模の女性アイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」に3年連続出演するなど確かな実績を残しています。
 上記の曲は、2021年8月29日に開催した「enogu one-man Live 2021 Summer -不撓不屈-」で初披露された楽曲で、その後デジタルリリースされました。作詞・作曲を手掛けるのは、ラウドロックシーンで大人気の新潟出身のメタルコアバンドa crowd of rebellionのGt.丸山漠。もう期待通りで、えのぐ史上最もヘヴィでヘドバン必至のメタルコアに染まっています。激しく疾走感溢れるメロディに乗るエモーショナルな歌声が見事。「屍のように生きるくらいなら、砕けちった方がマシだ」と云う歌詞には彼女達の辛い下積み活動を乗り越えてきたパワーをサウンドと共に感じます。「仮想を現実に変えるアイドル」として活動を続ける彼女達もまた、リアルとバーチャルの垣根を融解させてくれる存在として貴重なのは確かです。


#47「ISOWARAIRANI」/ 覇優雅はゆうがエミ

(作詞:タエコメタル(仮)、坂本マニ真二郎、作編曲:坂本マニ真二郎)

 2019年11月に活動開始。歌や三味線を学ぶため「山葵音楽学校」に通学中で、師匠から三味線を学びながら日々活動中。海外の音楽をリスペクトしながら、和のテイストを上手く掛け合わせたシナジー的な要素を表現していきたいという想いがあり、三味線とロックやメタルを融合させた音楽を鳴らすというのが一つの大きな特徴です。朝に雑談配信も始めるなど、2021年以降はより本格的に活動を展開しています。
 上記の曲は、彼女の想いが見事に体現された様なオリジナル楽曲。台詞パートの後にはダンサブルな電子音が入り、一気にそれを裏切る様なパワフルでヘヴィなメタルサウンドを鳴らしていく変則っぷり。三味線による哀愁さも加わり、仕上りとしてはクールなモノになっています。彼女の歌い分けも器用でとても良いです。3分未満で若干の物足りなさはあるのもの、ここまで多様なジャンルを詰め込み、またVTuberにリアルアーティストも絡んだ楽曲は、そう多くはないはずでインパクトは十分。今後も要注目です。


#48「Augmentation」/ KMNZケモノズ

(作詞:KMNCREW(NINO&LITA)、作編曲:Moe Shop)

 2018年6月11日に活動開始。LITA(イヌ耳金髪)とLIZ(ネコ耳ボブカット)からなる、FictyとWright Flyer Live Entertainmentの共同プロデュースによるバーチャルHIP-HOPガールズユニット。これまでYouTubeや配信アプリ「Realty」上での定期的な生配信や、有名曲のカバーなど、精力的に活動を行ってきました。それぞれのチャンネルで基本的にはLITAがポップス、LIZがボカロやアニソンの曲という形で幅広い楽曲をカバーしており、シティポップなどのストリート文化とボカロやアニソンを育んだインターネット文化、その境界を飛び越えてどちらも聴かせてくれるのが彼女たちの魅力。また、ストリート風の意匠をあしらったオーバーサイジングな着こなしとケモミミの生えた可愛らしいルックスも人気を集めた要因の一つです。
 上記の曲は、2ndシングル。作詞はKMNZの活動をプロデュース・サポートするスタッフであるKMNCREWケモノクルーが、トラックメイカーは、フランスの音楽プロデューサー・DJである"Moe Shop"が担当。「仮想と融合し拡張された新しい街」をテーマにした、近未来都市を思わせるようなお洒落でカッコいい、ダンストラックになっています。2人は声質もスタイルも異なるのに、ユニットで歌うと不思議と調和を取り始め、ビジュアルからは想像もつかない見事なラップをも披露してくれます。深みを感じさせるリリックも良いですね。バーチャル文化とストリート文化を繋ぐ橋渡し役として、今年も活躍してくれるはずです。


#49「D.I.Y.」/ BOOGEY VOXXブギーボックス

(作詞:BOOGEY VOXX・七条レタス、作曲: D.watt)

 ボーカル担当・キョンシーのCi(シィ)と、ラップ担当・フランケンのFra(フラ)からなる、バーチャルアンデッドユニット。2020年3月、みきとP「ロキ」のカバー動画でデビュー。それ以降、現在まで毎週金曜日19時にカバー動画を投稿し続けると云う真摯な活動を見せ、勢力を拡大。最新の流行を追う層にリーチしつつ、選曲センスもまた彼らの音楽性を輝かせることに一役買っていました。関与した楽曲は130曲オーバー。
 そして、同年5月に初のオリジナル楽曲である、上記の「D.I.Y.」をリリースし、爆発的にその名を轟かせました。あまりに強い、強すぎる。これ聴いてテンションブチ上がらない奴は本当に生きてる?と問いたい。Ciのパワフル且つ艶のある、時にはコブシも効いたボーカル、そして緻密且つ高速でフロウにのせるFraのラップ。ユニットにしかできない芸当が多く詰まっていながら、彼ら自ら手掛けたリリックにも、皮肉や毒を効かせた上でちゃんと前向きなメッセージ性を持たせています。"とにかく行動しろよ"と。それがどれだけ大事か、全て「D.I.Y」=「Do It Yourself」してきた彼ら自身が証明しているのが強い。先の活動以外にも、自己資金による3Dモデル制作およびワンマンライブも開催。1stアルバムのリリース。そして、今年7月3日からは全国ツアー「#BLACKVOXX_TOUR」も開催されます。「最強の個人V」として今後も目が離せません。因みに、前編で紹介した、Mori Calliopeとはお互いの曲でフィーチャリング。「CROWN」と「Graveyard Shift」どちらも必聴です。


#50「REIGN」/ 電音部(帝音国際学院)

(作詞:AZK、作曲:Toki、編曲:AZK、Toki)

 今回の記事の秘密兵器であり、大本命。このコンテンツを知ってる方からすると反則では…と思われますが、どうしても紹介したかったんです、この最強コンテンツを。電音部は、DJをテーマにした物語や、新進気鋭のクリエイターによる最先端で上質なクラブミュージックを展開しているメディアミックスプロジェクト。“いろんなカルチャーと遭遇できる”をポイントとし、メインイラストレーターには世界的にも有名なMika Pikazo氏を起用(アートワークには他のイラストレーターも多数参加)、楽曲は多くの実力派トラックメーカーがプロデュース。物語としては小説や漫画を展開しています。楽曲はクラブミュージックが主で、そのジャンルの細分化よってエリア(グループ)を5つに分けています。
 上記の曲は、フューチャーコアやハイパーポップなどを得意とするシブヤエリアの楽曲。ここにVTuberがいます。3人のキャラの声を当てているのが、にじさんじ所属の健屋花那、シスター・クレア、星川サラなんです。VTuberには中の人がいるので、構造がエグイことに。ただコレによりにじさんじファンを取り込める。しかも、曲を聴いて頂ければ解ると思いますが、本当に適役すぎてバチッとハマってる。曲自体も本当にヤバすぎる。ボルテージを上げていく曲展開が見事。サウンドも治安悪すぎ、凶悪ドロップまで完全装備で、フロアを一瞬で沸かせる反則っぷり。
 2022年3月にはパシフィコ横浜で昼夜二部公演を成功させるなど、人気を集めてきてはいるんですが、正直もっと伸びて然るべきコンテンツだと思っています。もっと音楽解る人いるでしょ、と。80曲近くある中で外れ曲一切無し、現地で何度も体感してますがライブパフォーマンスも圧倒的。今後はオタク以外の層や海外ファンを取り込んで、コンテンツが更に大きくなる事を願っています。そして、いつか必ずこの「REIGN」をクソデカ会場のクソデカ音響で雄叫び大合唱できると信じています。改めて云います、電音部が"最強"です。



―――以上、後編の25曲でした。

後編では、確かな歌唱力持ったVTuber(Vsinger)や、普通に音楽として良い!と思って貰える様な楽曲を中心に選出してみました。単純に音楽がいいから、と云うキッカケでVTuber沼に足を踏み入れてくれるのは嬉しいので。


#VTuber楽曲の魅力

 まず、音楽はやっぱりライブが一番の晴れ舞台であり、魅せ場であり、作品だと思っています。その大前提の元で話を進めていきます。主な魅力は大きく2つ。(※ややオタク寄りの思考部分が混ざるのはご容赦いただけると幸いです)

①ライブで披露する曲に”強固な文脈”が発生すること
②バーチャルだから”こそ”できるライブ体験を作れること

 ①は、VTuberの特色とその活動スタイルに起因しています。キャラクター性(設定)と中の人によるドキュメンタリー性の混一によって完成するVTuberならではの個性。この個性と云うか性質がそのまんま“強固な文脈”となってVTuber自身の楽曲に乗ると云う現象が発生します。「歌ってみた」でもこの現象は発生しますが、何と言ってもオリジナル曲でこそ強く純粋に現れるんです。それが伝わる様にこの紹介記事も書いたつもりです。オリジナル曲はその子の背景から日々の言葉、表情…etcを汲んで制作される訳ですが、作詞を自身で手掛けるVTuberもいる様に、歌詞が一番分かり易いかと思います。そして、その歌詞を理解する為にやはりそのVTuberの解像度を上げたくなるものです。
 つまり、何が言いたいかと云うと、VTuberの楽曲はそれを支える背景に限界が無いのが強いんです。日々の活動そのものが(長い目で見ない限りは)終わらない物語である作品足り得る以上、文脈はそこに生まれるし、グループやユニットだと縦横の繋がりも生まれます。
 そして、来るライブで披露する、“推しがこの日このタイミングでこの曲をこの為に歌う“にどれだけ文脈が詰まっていて、感情を爆発させられるかは、日頃の積み重ね次第だと云う事を強く言いたい。だから、ファンは日々推しの配信を見て、コメントを打ち、スパチャを投げ、メンバーシップに入り、感想やファンアートを描き、グッズを買い、クラウドファンディングで支援して、イベントに参加して、各々が推しへの解像度を上げていく。勿論これ以外の理由も多くあると思いますが、どれにしたって自然と愛も強くなるものです。ライブで披露される楽曲が最高の状態であり、それを最高の自分で享受するに越した事はない訳で、そう考えると活動を共にする事に意義を見出すのはそんなに苦ではない気がします。
 何よりVTuberの物語は観測するファンがいないと始まらない訳で、そのリアルタイムの物語を双方向的に共有するから、結び付きは強固になるし、そのまま楽曲を共有する導線も生まれます。逆に楽曲が持つ物語性によって、その子の存在を作り出す時だってあります。活動を続ける事が双方にとってどれだけ重要なモノか、人によっては生活の中心になるくらいの存在へと変わっていくのも頷けますね。素早いレスポンスがあったり、自己プロデュース力が高かったり、メディア露出を高めなくてもある程度はファンベースを築けるのは、VTuberの強みだとも思います。
 あと、VTuberとして活動している子の殆どが、アバターと云うガワがある事で本音を伝える難しさがぐっと下がるんだと思います。リアルの世界で言葉にならなかった感情も、別の姿をまとえば正直に表現することができて。だからこそ、自然と歌声に乗せられる感情も純度の高いものになる。VTuberで無くてはならない理由が、物語がここにも確かにありますね。

 ②についてですが、最初に言っておきたいのは、音楽に求めてるものや熱量だけで云えば、今も昔も未来もきっと変わっていないと思います。勿論良い意味で。ただライブ体験の在り方としては間違いなく変わっていくはずで。現にコ〇ナの影響を受けて、オンラインライブが当たり前の様になってきました。これを一番味方に付けたのはVTuber音楽シーンのはずです。
 元を辿れば前編で紹介した輝夜月のVRライブが革命的。ただどうしてもファンとアーティスト双方の熱量が一体になって感じられる空間を求め、形は変わっていった気がします。それに、”画面の前”という言葉にオタクは弱いので、オンラインライブを観た後はやっぱり現地のフィジカルライブに行きたい!推しに会いたい!ってなるのが大多数な気がします。
 なので、リアルとバーチャルを融解させ、線引きを許さない様な作りで、どうすればライブ体験がより良いものになるか、どうすればその曲の良さを最大限に届けられるかと、ライブの在り方が進化してきたと思います。
 例えば、「KAMITSUBAKI STUDIO」は常に新しい体験を提供できる様にと実験的・挑戦的な姿勢が目立ちます。AR演出によってリアル会場にアーティストが登場して生バンドと共演する。最新のだとV.W.P 1st ONE-MAN LIVE「現象」ですね。画面の向こう側から“こちら側にやってくる”感覚を覚え、ステージ上だからこそ魅せる表情や動き(ダンス)に心を動かされます。


 他ですと、キズナアイ×OculusによるXRライブ『Kizuna AI Virtual Fireworks Concert』も凄かったです。こちらは逆に“画面の向こう側にいく”感覚。リアルじゃ有り得ない、ダイナミックなカメラワークとド派手なバーチャル演出の数々を可能にしてみせました。

 このようなライブを完成させる為には多くのクリエイターが関わっており、故にクリエイティブな側面を強く押し出していけるのは、やはりインターネット文化を下地にしたバーチャルならではの強み・魅力だと思います。同時に、こうしてリアルアーティストやクリエイターが混在する事でここでもバーチャルとリアルの境界線を曖昧にしたのは間違いないでしょう。バーチャルだと踏み入れられない領域もあるから、融解させていく様なアプローチが訪れたのはある意味必然だったのかもしれませんし、ここの切り口にも物語が自然と発生していくものです。紹介した中だとVALISの様に。

 最後に、2つ魅力を述べましたが、どちらにも共通して云えるのは、やはり聴く者に届けたいメッセージ性がブレていない事。あとは単純にアプローチやプランニングが違うだけで。今年ホロライブは3rd FesでAR演出と生バンド演奏をするなどライブクオリティに力を入れ始めましたし、逆にKAMITSUBAKI STUDIOや電音部は、メンバーシップ限定配信やラジオ、ショートショートなど解像度が上がる活動に力を入れ始めています。この先で交わるかどうかはあまり重要ではなく、進化し続ける最新テクノロジーも武器としてまた新しい展開がなされるはずだし、それを楽しみにしています。そして、VTuberらしさは残しつつも、それに囚われすぎずより多くの人に浸透する様な音楽シーンにもなってくれたらなと嬉しいなと思います。

 今は以上の結論で落ち着いていますが、今後もアップデートはされるでしょう。VTuber達には才能や表現が日々輝いていて可能性しかなく、未来で見た事ない景色がまだまだ見れると想っているので。
 キズナアイのアーティストデビューを皮切りにVTuber音楽シーンが活発化し始めた2018年7月からまだ約4年しか経っていません。でも、改めて云いますが既に追い切れない勢いでジャンルは多様化し、楽曲も増えていて、ここで紹介したかった名曲がまだ沢山あります。是非この記事をキッカケに、VTuber楽曲から溢れる言葉や歌声、サウンドから"何か"を拾い上げてみてください。直感でシンプルに良いなと、最初の入口はそれだけでも十分です。そして、もしよければそれを頼りに魅力的なVtuberとの出逢いを果たしてみてください。貴方に「VTuberにハマると思わなかった」みたいな日が訪れる事を祈っています。

 ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。少しでもこの記事が良かったと感じていただけたら、スキでの反応やシェアしていただけるとむっちゃ嬉しいです。よろしくお願いします!

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