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小説(しょうせつ)

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noteに掲載している小説や脚本をまとめたマガジンです。
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2023年8月の記事一覧

童話|『シャンゼとリミと弓使い』

作:元樹伸  ある大きな森の中に、とてもちいさな村がありました。  村にはリミという心のやさしい娘が住んでいて、彼女は木こりのお父さんといっしょに、毎日森へと出かけました。  リミは小川の岸辺に腰かけて歌を唄い、お父さんを応援するのが日課になっていたのです。  森にはいろいろな動物や木々、そして妖精が住んでいて、村の人たちにたくさんのめぐみを与えてくれました。  風の妖精シャンゼも、この森で生まれました。  シャンゼという名前は、森の神さまが祝福とともに贈ってくれ

掌編小説|『三寒四温』

作:元樹伸  二月十日。この日は自分にとって、人生初のデートだった。  相手は同じ大学の学生で、サークルのみんなとよく一緒に遊ぶようになった女の子。この日、外はまだ寒かったけど、空気は澄んでよく晴れていた。  一緒に映画を観た後、駅近くのカフェでお茶をした。彼女が浮かない顔をしていたので、自分からいろいろ話題を振ってみたけど、話は全然盛り上がらなかった。  それから彼女は僕と視線を合わせないまま、普段からよくつるんでいる別の男の話題をもちだした。  僕とデートいるの

青春小説|『彼女の味方』

<ChatGPTによる紹介文> 『彼女の味方』は、数学研究部(数研)という部活動を舞台にした青春小説です。数研は、一般的な数学部活動とは異なり、部活動の中心はゲームで遊ぶことで、特に「毛獣のジャングル」というゲームが話題になっています。 物語は、主人公の斉木が新入生歓迎会で部活動の紹介を行う場面から始まります。数研は、ゲームを通じて新しい仲間との絆を築くことを目指し、今年こそ女子部員を迎え入れたいという熱意が感じられます。 ーー中略 作品は、数研という変わった部活動の雰

青春小説|『水曜日の放送当番』

<ChatGPTによる紹介文> 「水曜日の放送当番」は、中学生の主人公が学校の放送委員になったことから始まる青春小説です。 彼は毎週水曜日に放送室で紙山さんと一緒に放送業務を担当し、それが学校生活の中での特別な瞬間となります。天気予報を見逃して遅刻したり、突然の豪雨と雷に見舞われるなどの出来事が展開されながらも、主人公は放送室で紙山さんとのおしゃべりを楽しむことができます。 学園もののパニック漫画さながらの緊迫感と、青春の情熱や友情の絆が心温まる物語として描かれています。

青春小説|『スイカと彼女と保健室』

<ChatGPTによる紹介文> 「スイカと彼女と保健室」は、青春の成長や恋愛、友情のテーマを掘り下げつつ、リアルな描写とユーモアを織り交ぜた素晴らしい物語です。登場人物たちの感情や変化が読者に共感を呼び起こし、一気に引き込まれる魅力があります。作者はキャラクターの内面や人間関係を丁寧に描くことで、読者に物語の深みを感じさせています。また、恋愛模様や葛藤がリアルに描かれる一方で、ユーモアを織り交ぜた軽やかな展開もあり、読者を楽しませてくれます。 全体として、「スイカと彼女と保

ホラー小説|『絡新婦(じょろうぐも)』

<ChatGPTによる紹介文> このホラー小説の冒頭は、青春と恋愛の要素を巧みに組み合わせつつ、不気味な雰囲気を漂わせています。亜由美と伊月の関係性に変化が生じ、不思議な縁や過去の謎が示唆されます。 穏やかな海の景色と同時に不穏な気配も感じられ、読者は興味と疑問を抱くでしょう。物語の展開やキャラクターの秘密が明らかになる過程に、読者はどのような恐怖が待ち受けているのか、期待感を抱きながら読み進めることでしょう。 ーーChatGPT ◇ ◇ ◇ ここから本編がはじまります

掌編小説|『寿命タイマー』

作:元樹伸  ボクはその日、知ってしまった。  世の中に流通している家電の寿命はすべて決められている。どうやら製造メーカーが寿命タイマーというものを仕組んでいて、その期間で必ず壊れるように設定されているというのだ。  でもこんな謀略が許されていいわけがない。だからボクはさっそく、このスマホをつくっている会社の窓口にクレームの電話を入れた。 「スマホに寿命タイマーを仕込んでいるなんて酷い話だ。今すぐにでも取り除いてほしい」 「お客さま、当社の携帯電話にそのようなものは

掌編小説|『チンチン電車』

作:元樹伸  僕の街には今でもチンチン電車が走っている。  チンチン電車とは街中を走る路面電車のことで、車掌と運転手の間で行われる合図として鳴らす鐘が「チンチン」と聞こえるのでそう呼ばれている。僕たちが小学生だった頃も、チンチン電車は同じ場所を走っていた。  当時、小学四年生だった僕の登校班に美代ちゃんという女の子がいた。彼女も僕と同学年で、とてもおっとりした感じの子だった。 「美代ちゃんは少しのんびり屋さんだから、ちゃんと見てあげてね」と母親に言われていたので、僕は