親鸞が見た常陸国の光景―茨城県で考えた
1.親鸞を訪ねてきた常陸の人たち
親鸞聖人の言葉を弟子唯円が記録した『歎異抄』。文章のどこを取り上げても有名な節が並んでいるが、その中でも「おのおの十余ヶ国の境を越えて、身命を顧みずして訪ね来らしめたまう御志、ひとえに往生極楽の道を問い聞かんがためなり」は、人の動きを感じることができて当時の姿が目に浮かぶ。
親鸞と会うために、過酷な旅を経て京都までやってきた。彼らはおそらく常陸国(今の茨城県)から来た人たちだろう。親鸞は40代から60代を常陸で過ごした。その時