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蛇口・蛇腹・蛇尾 なぜ私たちは蛇を余すところなく熟語として使っているのだろうか?

蛇を使った熟語がなんかいい感じだ

身近な動物は多いし、それを使った熟語や慣用句も多い。その中で異彩を放つのが蛇だ。


1 蛇の身体に関する熟語

1-1 蛇口

蛇の口。私たちは普段ここから水を得ている。井戸や湧き水を得るのが一般だった時代は遠くなった。

こんな身近なところに「蛇」字を使うのはちょっとかっこいい。

1-2 蛇腹

いろいろなものを折りたたんで、山折り谷折り。折り紙でもできるし、プラスチックや金属でもできる。伸縮したり、屈曲させたり。便利で面白い動きをさせる技術だ。

こんなテクニカルなところに「蛇」を使うのはちょっとかっこいい。

1-3 蛇尾

現今では竜頭蛇尾の四字熟語として主に用いられる。しりすぼみの意味に用いられる。

シュッとした蛇のしっぽ。適切な例えとして「蛇」が用いられてかっこいい。


2 蛇の動きに関係する熟語

2-1 蛇行

川や道が曲がりくねっている時に使う。蛇らしい動きがたとえとしてフィットしていて良い。

2-2 蛇心

蛇のように執念深い心。蛇が獲物を追う際のイメージ、ギュッと締め殺すイメージからだろうか。ちょっと怖い蛇の印象がいい感じに熟語になっている。

3 【裏】蛇の身体に関する熟語 

3-1 蛇足

今日述べたいのはこれ!!

私はこの言葉に、株式投資の世界でいう「空売り」(手元にない株式を信用取引で売ったことにして後で買い戻すもの。株価が下がると儲かる)という概念みたいなものを勝手に見出している。

あるいはRTA(あるゲームを一定のルール下でいかに早くクリアする遊び方、競技)などで「無を取得」する裏技で時間を短縮することがいろいろなゲームであることを知った時のことを思い出す。

我々人類は蛇の足を生み出し、会話や思考の糧にしている。

そりゃあ空売りも無の取得もできるわけだ。ないものについて思いを巡らせることすら我々はできる。

そうした際、蛇ってのはとってもわかりやすい。空売りや無を取得する時の初心者向けのキャラだ。他の多くの生き物が足があるのに、蛇はそれがない。なのに結構普通に他の生き物と同じように動いて生き物を捕まえて暮らしているからだ。

4 【身近な異形】としての蛇 我々はヘビを恐れている

私たちの身の回りには犬とか猫とか虫とかいろんな生き物がいる。見てきた通り、蛇は全身あますところなく熟語で使われ、その挙措からの印象からなる熟語もあり、蛇にないものですら想像して熟語にされている。

最後にこの理由について考えてみよう。

端的に言えば、私たちが蛇を恐れているからではないだろうか。

(そして蛇が若干キモいから、というのも理由になるかもしれない。)

たまに飼い猫の後ろにキュウリやズッキーニ的なものを配置し、猫が驚いてぴょんと跳ねるのをティックトックで我々人類は楽しんだりする。

ところが、実は我々人類もまた、ヘビを恐れているのではないだろうか。私たちは猫のびっくりを笑うことはできない。アホみたいに蛇に関する熟語を作っているのは、実際蛇に対する恐れがあるからではないだろうか。

皆さんは農家の納屋で作業していて、いつの間にか蛇が梁に這っていたりぶら下がっていたりして、驚いた経験はないだろうか。あるいは作業していて背後に蛇が迫っていたりとか。

蛇は音もなく忍び寄る。また噛まれたり、毒があるものもおり、実際的な危険もある。

現代社会では感覚が薄くなっているが、蛇は本来恐ろしいものだ。畏怖は信仰をまた生むだろう。ヘビを信仰する考え方もある。床下に蛇がいるとその家は財を得られる、みたいな。

我々は多分、蛇にビビってる。身近ながら、他の生き物と違うムーブで暮らしているからだ。

だから蛇をよく観察し、蛇への印象を強めた。

その結果、蛇に関する熟語が数多く生まれ、そして現代社会でなお使われ続けていると私は考えている。


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