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回転寿司でよく流れているJポップの「お琴アレンジ」「和風アレンジ」ってなんなんだろうか?

私と妻はよく回転寿司に行くのだが、馴染みの店ではJポップが和風のアレンジで流れており、雰囲気を醸成している。

回転寿司という和食に対して、Jポップがお琴などで和風にアレンジされている。この前行ったときには、浜崎あゆみさんや安室奈美恵さんの楽曲がお琴でアレンジされていた。

子育て世代・親世代の感性を刺激しているとでもいうのだろうか。

原曲が回転寿司屋でそのまま流れていたら、なんか雰囲気が違う。ところがそれがお琴アレンジされたら、なんか妙に回転寿司屋の雰囲気にマッチしてしまうのである。

冷静に考えると無茶苦茶な話だ。ただお琴アレンジにしただけで、途端にマッチしてしまう。私たちは妙に納得して回転寿司で寿司を頬張り始める。

お琴アレンジにはいかなる魔力があるのだろうか? 謎である。

そして多分、あらゆる時代のJポップがお琴アレンジされれば、回転寿司屋にマッチしてしまうのではないかという危惧すらある。

例えばYOASOBIとかSnowManとかでもぜんぜんマッチするだろう。お琴アレンジさえすれば。俺は目が霞んでSnowManが何人いるか毎回よくわからなくなるのだが、その楽曲をお琴アレンジすれば回転寿司屋にマッチすることは直感的に理解している。

きっとJポップじゃなくたって、洋楽でもクラシックでもなんでもいいだろう。お琴アレンジさえすれば回転寿司屋に合ってしまうのではないか? 例えば漢 a.k.a. GAMIやZAZENBOYSとかでもQUEENとかでもヨハンセバスティアンバッハでも滝廉太郎でも、どこかの民族音楽でも、なんでもいける気がしてくる。

皆さんもぜひ好きな音楽のお琴アレンジを頭の中で流してみて欲しい。そして、それが回転寿司屋さんで流れているのを想像してみて欲しい。いかがだろうか。妙にマッチするのではないだろうか。もし全然マッチしないお琴アレンジがもしあれば、それはそれでめちゃくちゃ面白いので是非教えて欲しい。




さて、お琴アレンジにどんな魔力があるか私はずっと考えていたのだが、最近逆ではないかと考え始めた。つまり回転寿司屋という場所性がそうした引力を持っているのではないかという琴だ。

すなわち、お琴アレンジが主因ではない。回転寿司屋という環境の方が特殊なのではないかという琴だ。

冷静に考えると、回転寿司という業態はかなり特殊だ。いつか私は回転寿司のSF性を語りたいと思っているのだが、あそこは技術革新の最先端だ。

皿が流れてきて皿で会計をする。そんな店他にあるか? 当初は普通の寿司屋しかなかったのに、寿司屋が高級故に庶民的な存在として回転寿司屋が登場してきた。ところが回転寿司屋内部でも安いところと高級志向のところがでてきたり、逆に普通の寿司屋が「回らない寿司屋」などとレトロニム化したりしている。そんな業態他にあるか? 特殊だ。

コロナ以降、回転寿司屋はさらにタッチパネルを進化させている。なんか新幹線みたいなので高速で運ばれてくる。あれどうやって計算してるんだ?

そのうちそこらに置いてある皿に稲妻が走って頼んだ寿司ネタが電脳世界で処理されて現実世界にダウンロードされるようになるのではないかとすら思う。

昔からある寿司ってのが、ここまで進化してきた。

そしてまだ、その余地は残されている。

ということで、伝統でありかつ最新である回転寿司という業態は、特殊で異常な場所なのだ。

その特殊性・異常性が、お琴アレンジを引き寄せているのではないか。

お琴アレンジが不思議なのではない。回転寿司屋が不思議な場所だから、お琴アレンジという伝統なんだか最新なんだかよくわからない、文化のどこに所在しているのかよくわからない音楽が妙にマッチしてしまうのだ。

より根源的におかしいのは、回転寿司屋の方なのだ。

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