リアルで「直接脳内に話しかけてくる」知り合いについて、事例ふたっつ!
サークルの先輩のPさんの話
サークルの先輩のPさんはこだわりのある男で、しかもそのこだわりを長期間にわたって継続し、何か達成するべきポイントがあるこだわりであれば、着実にそこに至るような人だ。
かなり変わった人だと思うけれども、その辺りの地力の強さは尊敬するばかりだ。
そんな先輩が、大学のころ言っていたのだが以下のセリフだ。
トロトロの卵の黄身が食べ物の上に乗っかっていることがあるだろう。それを箸で割る。すると黄身が食べ物に行き渡る。卵の黄身はとてもおいしいし卵はありふれた食べ物なので、いろいろな食事にこうした措置が取られやすい。
先輩はここに鋭い目線を投げかけていた。
黄身がその土台になっている食べ物の味を覆い隠してしまうのだという。
私はそれを聴いたとき、はじめは「ああまたなんか言っているよ」と思っていた。
でも、何度も何度も、頭の中でそれが反響し続けて、今もそれを思い出して書いている。
もちろん私はそこまでのこだわりはないので、絶対黄身は割らない! 食べない! というわけではない。でも、丼物の上に黄身が乗っているメニューを見ると、いまでも心のエンジンブレーキが作動する。
同僚のNさんの怖れ
Nさんは高所恐怖症だ。職場ではハシゴに乗って作業することがある。そのため、私は誰がハシゴに登るのを苦手なのかしっかり把握する必要がある。
幸いにも他のハシゴ作業と同じく、ハシゴのかたわらでハシゴの上の人と連携する業務がある。仕事を振り分ければいいわけだ。
高所恐怖症の人が何人かいるので、その作業がある場合はチーム割りの組み立てを考えて、人がいるときにその作業を行うことになる。
Nさんはあるとき自分の高所恐怖症についてこんなふうに語った。
私はこれを「ふーんなるほど」と聴いていた。
さてこの前、高い丘の上にある展望タワーに登ったのだが、この展望タワーは階段が足を乗せる板だけで板と板との間に隙間があり、下がかなり見える。そして、丘の上かつ展望タワーが高く、板の間から見える景色はとっても高い。
私ははじめて高いところが怖くなった。
Nさんのセリフが頭の中にいっぱいになってしまったのだ。
まとめ
こんな感じで、人の言葉には魔力がある。
この人のこだわりだったり怖いところって色々あるよなぁ、と暢気に言葉を聴いていたら、いつの間にかそれが自らの中で形をなし、概念化されて自分の行動様式の中に固着する。自分の中でいつの間にかパッケージになっている。
この2人は、超能力でもなんでもなく私の脳に直接語りかけてきたのだ。
気づいたのだが、挙げた2人は、タイプは全然違うけれども言葉で概念化するのが得意だったり、そうしたことが尊ばれる場所に長年いたりと、言葉にするパワーを培ってきた人だ。
そうした人の用いる言葉には、魔力が乗りやすいのだろう。
「言葉が伝わる」というのは真にはこういうことを指すのかもしれない。
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