見出し画像

Yahoo知恵袋の「肉じゃが」のじゃがの質問について解説をしてみる


はじめに

本ブログは、以下に示すYahoo!知恵袋の謎の投稿について解説を施すものである。早速みてみよう。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11261222416

文字起こしもしておく。

「肉じゃが」のじゃがっていうのは、肉のことなのですか?

肉じゃがの"肉" というのは、豚肉や牛肉などの食肉のことですよね。
では、肉じゃがの"じゃが"っていうのは、じゃがいものことですよね。
となると、肉じゃがのじゃがっていうのは、肉のことになると思うのですが違いますか?

私の友人たちでは半々で意見がぶつかり合っています。

補足

皆様回答ありがとうございます!

すみません、豚肉・牛肉の地域性の違いはどちらでもよいですし、じゃがいもも当然含まれることは知っています。
聞きたいのは、じゃがいもも入っているので、肉じゃがのじゃがはじゃがいもの次は肉ですかと、という意味です。

わかりにくく申し訳ありません。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11261222416

解説

一般的な解釈

肉じゃがについて普通に考えると、肉とじゃがいもがメインの煮込み料理だ。「肉」と「じゃがいも」が入っているから「肉じゃが」という名前の料理ということになる。

そのため、冒頭に掲げた投稿者の質問を見ると私たちは混乱してしまう。

じゃがは普通に考えるとじゃがいもであり、肉ではない。

すなわち肉は肉だし、じゃがいもはじゃがいもだからだ。それらが主要コンテンツとして入っている料理が肉じゃがだからだ。

それでは、投稿者の言語認識に沿って問題をひもといていこう。


投稿者の解釈 前半部分

投稿者もまた、投稿内容の前半を見る限り私たちの認識に近いところを持っていることが確認できる。

あまり今までの解釈で注目されていない事柄だが、投稿では、"肉"とか、"じゃが"などと「""」で肉じゃがを区切っているところと、そうでない箇所とが混在していることが確認できる。

質問本文の2段落め3段落めが「""」で肉とじゃがとが区切られていることがわかるだろう。

ここでは投稿者は私たちと同じ認識にある。

すなわち肉じゃがの"肉"は豚肉や牛肉などの食肉であり、"じゃが"はじゃがいもである。「""」でコンテンツを峻別していれば、投稿者もまた私たちと同じ認識をできているということである。

ひるがえって考えると、私たちは肉じゃがを肉とじゃが(いも)にわけて認識しているとなる。


投稿者の解釈 後半部分

それでは問題の本丸である、「肉じゃがのじゃがっていうのは、肉のことになる」の箇所について考えてみよう。

結論的に述べると、おそらく投稿者は肉じゃがという単語について、「肉から構成されているじゃが」と認識しているのではないか。

図で説明するとこんな風になる。

私たちの認識
投稿者の認識

投稿者の発言に準ずると、肉じゃがのじゃがっていうのは、肉からできているから、肉のことになると思っているのだろう。

たとえば、「花冠(はなかんむり)」という言葉がある。あるいは「金メダル」と言う言葉で考えてもいいだろう。花でつくられた冠。金でつくられたメダル。二つの名詞が連続して一つの名詞を形づくるとき、前半の名詞が後半の名詞の物質形態を説明することは、ないわけではない。

ただし食べ物での事例はぐっと少ないようにも思う。「エビフライ」なんかはそうだろうか。エビからできているフライ。

やや脱線するが、「肉+なにか」の場合、大抵私たちの認識である「肉+じゃが」みたくなる。肉うどんとかだ。肉まんとかはちょっと微妙なところだ。

そして投稿者としては、肉じゃがのじゃがの箇所は言語的に肉から構成されている認識であるから、じゃがは肉なのである。花冠の冠が花からできているのと同様だ。

ここでの「じゃが」が私たちを最も混乱させるように思う。なぜなら「じゃが」は普通に考えるとじゃがいもだからだ。

おそらく投稿者は、この状態にあっては「肉」と「じゃが」で厳密に分けて考えていない。「肉じゃが」という一つの連続した「ナニカ」として認識している。そしてその「ナニカ」は肉からできている。つまり、肉じゃがの中にある肉といえば、肉の部分だ。それゆえ投稿者は、肉じゃがの肉の部分をことさらに「肉じゃが」と認識しているのではないか。

そのため「じゃが」の部分もまた「ナニカ」に一連するものであり、「ナニカ」は肉から構成されているのだから、「じゃが」もまた肉であると認識しているとは考えられないだろうか。

類例やこの認識の正しさの是非はともかくとして、少なくとも投稿者の認識としては、肉じゃがの料理の中に入っている肉の部分こそが「肉じゃが」と考えているのである。


投稿者の解釈 補足部分

縷々述べてきたことを、補足部分からも考えてみよう。投稿者は肉じゃがにじゃがいもが入っていることを当然認知している。そこを問題の争点としていない。

ここでは、これまで私が論じてきた「肉じゃが内部の肉の部分こそを肉じゃが(あるいは、じゃが)と認識している可能性」からこの問題について考察してみたい。

投稿者は「じゃがいも入っている」と、「も」とわざわざ書いてじゃがいもの認知に触れている。つまり投稿者の肉じゃが認識のなかにはじゃがいもは入っていないのである。

もちろんじゃがいもも入っているのであるが、筆者の肉じゃが認識ではあくまでも我々の知る肉じゃがのうち肉の部分を肉じゃがとしているため、じゃがいもは疎外されている。じゃがいもは分けて考えていて、その次は・・・とメインを探ったときに肉じゃがのじゃがとして肉を認識しているということになるのだろう。


おわりに 何が肉じゃがなのか?

肉じゃがの写真でもう一度振り返って本稿をまとめる。

私たちの知っている肉じゃが
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%82%89%E3%81%98%E3%82%83%E3%81%8C#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Braised_pork_and_potatoes_(3089327692).jpg
投稿者の考える肉じゃがの部分
引用同上

この認識が前提にあり、かつ投稿者の説明の順序と私たちの肉じゃが認識との乖離があり、極めて混乱をきたす投稿になってしまったのではないか。


いいなと思ったら応援しよう!