ギターのネックを交換してみる
ギターの寿命を考える上で一番重要なパーツはネックだと思う。電装系やチューナー、ブリッジなどのハードウェア類は、よほど特殊な独自パーツを使っていない限り最悪の場合リプレイスメントパーツでどうにでも対応できる。一方、反りすぎてしまってトラスロッドで補正できなくなってしまったネックや、スキャロップ加工etc.で木部に不可逆なダメージが施されてしまったネックに対しては、できることが限られてしまう。
ただし、取り外し可能なデタッチャブルタイプのネックに関してはリプレイスメント用のネックを使って「取り替える」という選択肢をとることも一応できる。現在修理している古いテレキャスタータイプのGrecoがちょうどデタッチャブルタイプで、ネックのコンディションが悪かったため初めてのネック交換を試してみることにした。
交換用のネックはFenderのようにメーカーが直接販売しているものもあるが、安価なノーブランドのネックも色々なところで流通している。AmazonやAlibaba、ヤフオクでも5000円〜10000円程度で購入することができる。
本当は届いた品物に問題があった場合の返品のことを考えるとAmazonで買いたかったのだが、なぜか21Fのメイプル指板のテレキャスタータイプのネックはAmazonに在庫が見つからず、やむをえずヤフオクで購入することにした。
段ボールに梱包されて送られてきた。段ボールの端は潰れているが、気にしない。
本当は21Fのネックが欲しかったのだが、届いたのは写真と異なりツバだしの22Fのネックだった…。
特に期待していなかったが、うっすらと杢が入っている。
塗装はマット。良く見ると微妙に場所によって塗装が薄く見た目や手触りが他と違うところがあるが、まあ許容範囲だ。
指板のエッジはわずかにRは付いているがかなり鋭め。丸めたいが、メイプル指板で塗装済みなので削るわけにいかない。フレットのエッジ処理は若干粗い。バリもあるので整える必要あり。
若干逆反りの状態で届いたのでトラスロッドで調整したのち、すり合わせを行った。ついでにフレットエッジの処理も行う。ナットの調整も行った。ナットの溝はかなり浅めだった。
フレットの処理が終わって、いよいよボディに組み込もうとすると微妙にネックポケットの幅が足りず入らない。ネック側を削るかボディ側を削るか悩んだが、ネック側を削ると塗装が剥がれてしまうのでボディ側を削って調整することにした。センター位置を考えると、少し大きめにボディを削り高田のだが強度的な不安があったことと、反対側に隙間ができてしまうという問題もあり、今回は適当なところで止めておいた。これに関してはおそらくボディ側の問題だろう。
位置がずれないようにクランプで固定してドリルでネジ穴を開ける。この作業が一番緊張したが、無事問題なく完了した。
元のネックについていたチューナーをそのまま取り付けようとしたが、どうも穴の間隔が違うようでチューナー同士が干渉してしまい取り付けられなかった。GOTOHのチューナーは問題なく取り付けることができたので、これも元のギターの問題かもしれない。
ちなみに最初は他のメーカーのチューナーを使おうとしていたのだが、上のポストにも書いた通り1, 2弦のロックの調子が悪く使いにくかったため、結局いつものGOTOH製のペグに交換することにした。予算の都合でロック式では無くなってしまったが、やはりGOTOH製は安定感がある。
弦を張って音を鳴らしてみたところ、1, 2弦に変な共振が発生したが、ストリングポストを追加したら無事共振は無くなった。
全て取り付けたところ。すり合わせとフレットエッジの処理をしたからか、今のところ演奏性はとてもよく思ったよりも大分快適だ。塗装が一部雑なところ以外は総じて満足だ。自分ですり合わせ、フレットの処理をする必要はあるが、この値段と労力でネックがダメになってしまったギターがこれだけ快適な状態に復活するのであれば、万歳だ。本当は21Fのネックが欲しかったけれども。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?