鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
あまりマークしてなかったけど、評判も良く、知り合いの映画好きにもお勧めされたので、レンタルで視聴してみた一作。
結論。普通。
まず前提として話しとくと、私は水木しげるはめちゃくちゃ好きです。漫画とかも初期の貸本時代のものも含めてかなり読んでるし、水木しげるロードにも何回も行ったことあるし、挙げ句の果てには大学時代の授業で水木しげるをテーマに発表したこともある。それくらい思い入れがあるし、あと個人的に水木作品の映像化で最高傑作だと思っている『墓場鬼太郎』(2008)の印象が強すぎて、そのせいでこの作品に対する期待値のハードルが爆上がりしていた。
だから見終わった後に思った感想としては、まあ良くも悪くも普通のテレビアニメの映画版だな、という印象で終わった。確かにいくつか良かった点もある。まず、鬼太郎が誕生する少し前という時代設定を選んだ点。原作の墓場鬼太郎でも鬼太郎が誕生する経緯は描かれているものの、(昭和の漫画なので)非常にざっくりとしか設定が作られておらず、疑問点も確かにいくつも浮かぶ。例えば、なぜそもそも幽霊族の血液が市場に流れ込んでいるのか、とか、なぜ水木は赤ん坊の鬼太郎を見捨てなかったのか、などだ。なるほど、この映画を観た後だとそのあたりの疑問点もすっきり解消できるようになっている。
あともう一つ良かった点としては、田舎の因習という、ホラーや妖怪映画では定番の題材をテーマにしたことだ。私自身思い返した限りでは、意外にも鬼太郎や水木作品ではこの手の題材を取り上げたことがなかったように思えたので、そこは画期的というか、単純によく思いついたな、と思った。てかめっちゃ犬神家っぽかった。ご当主様の登場シーンとか、まんまスケキヨじゃん。登場人物の惨殺のされ方とかも金田一シリーズっぽかったし、たぶんかなり意識してるな、これ。
この辺は評価できた点なんだけど、それ以外特段ピンと来るものもなく、(『総員玉砕せよ』のシーンとか出てきたけど、何十回も原作を読んできた身としては、そのまんますぎて正直萎えた)、まあ普通のアニメ映画だよな、という感想しか思い浮かばず。しかし、小さい子供向けにしてはトラウマになりそうなシーンもあるし、かといって水木ファン的には物足りないし、一体誰向けに作ったんだ、この映画?