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9月入学とその功罪

「休校で失われた学生生活を取り戻したい!」

そのような学生・生徒の思いから始まった「9月入学」の議論が、現在大きな広がりを見せています。
4月29日には全国知事会でもこの問題がとりあげられ、各知事からさまざまな意見が表明されました。

また、4月30日には東京都公式動画チャンネルの「東京動画」において、吉村大阪府知事と小池東京都知事の考えも発信されました。

(11:02より9月入学に関する吉村知事と小池都知事の考え)

今回のしゅーいちでは、今まさに議論の真っ最中である「9月入学のメリット、デメリット」について考えていきたいと思います。

9月入学のメリット


(1)学力保障

新型コロナウイルスの影響で本来4月から学ぶべき内容が十分学習できていない状況にある。9月からのスタートに切り替えれば、改めて最初からしっかり学ぶことができ、遅れを補うことができる。


(2)国際標準に近づく

海外では秋入学制度の学校が多い。日本も同様になれば海外の学校への接続がしやすくなり、留学などグローバルな学びが充実できる可能性がある。


(3)失われた学生生活を取り戻せる

始業が半年間遅れることによって、友だちとの時間を多く過ごすことができる。また、高校最後の行事や大会を開催できる可能性が高くなる。

※こちらの記事には受験を控える高校3年生の焦りの声が掲載されています。

9月入学のデメリット


(1)入試

7月や8月など夏の時期に、高校入試や大学入試を行う必要性があるが、十分に対応できるのか。すでに通常どおりの入試スケジュールで、受験の準備を進めている生徒や学校などは混乱が予測される。


(2)家庭の負担増、採用時期見直し

学生は社会人になるのが半年分遅くなるので、家庭では子どもを扶養する期間が長くなり、その分負担が増す可能性がある。企業も、今の一括した春の採用時期を見直さなければならない。


(3)幼児教育との接続は

幼稚園の入園や卒園も半年ずらすのか、検討しなければならない。幼稚園教育の内容は、学習指導要領で定められているが、幼児期の発達や年齢に応じたものに見直すことができるのか。保育園の場合、今よりも小学校入学までの半年分、子どもを預かる体制や予算を確保しなければならない。


(4)切れ目のない教育は可能か

今の教育は、幼稚園から大学まで、ギャップが生じないよう、切れ目のない仕組みになっている。1つ変えようとすると、すべての学校、教育段階に影響が出る。


(5)学校の運営

私立の場合は、授業料の支払いで経営が成り立っているが、9月入学になると、支払いが後ろ倒しになり経営が危うくなる学校も出てくるのではないか。国公立や私立ともに学校への補償も検討が必要。

※実際に9月入学が行われた際の一年間のリスクシミュレーションがこちらの記事に書いてあります。

※日本教育学会が9月入学に対して発表した声明がこちらのリンクから確認できます。


おわりに


9月入学には関しては、政治家、専門家のみならず、学生・生徒からも様々な意見が発信されています。今年度だけでなく、来年度、再来年度までを視野に入れた慎重な議論が求められると思いますので、これからの動向に注視していきましょう。

また、まずは9月入学検討よりも優先されるべき、今年度の受験生や就活生の不安への対応、そしてオンライン授業での学びの質の保証についてスピーディーに対応していただきたいと思います。

皆さんは9月入学についてどのようにお考えですか?

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