読書感想文ってどうして書くんだろう?
前回(「水難事故を防ぐために大切なこと」)に引き続き「夏休み」を念頭に置いて、今回は「読書感想文」をテーマにしてみました。
1. 読書感想文は何のためにあるの?
誰しも一度は経験のある読書感想文。
いつもの読書なら、「おもしろかった!」だけでも立派な感想のはずですが…
「それ以上何を書けばいいの?」
そう途方にくれた人も多いのではないでしょうか。
もはや夏休みの定番とも言える宿題ですが、そもそも何のためにあるのか、言われてみれば気になりますよね。
現在も行われている「読書感想文コンクール」(全国学校図書館協議会)の始まりは1955年にまでさかのぼります。
まずはその全国学校図書館協議会が読書感想文をどのように捉えて説明しているのか、その点を確認してみましょう。
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【パンフレット】読書感想文Q&A (公益社団法人 全国学校図書館協議会)
http://www.dokusyokansoubun.jp/tool_box/q_and_a_2017.pdf
【HP】読書感想文Q&A (公益社団法人 全国学校図書館協議会)
http://www.dokusyokansoubun.jp/qa.html
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Q. 読書感想文は何のために書くの?
A. 書くことによって考えを深められるからです。読書感想文を書くことを通して思考の世界へ導かれ、著者が言いたかったことに思いをめぐらせたり、わからなかったことを解決したりできるのです。ですから読書感想文は「考える読書」ともいわれます。また、どんなに強く心を動かされても、時がたてばその記憶は薄れてしまいます。読書感想文は自分自身の記録です。読み返すことによって、いつでも「感動した自分」に出会うことができるのです。
Q. なぜ本を読むことが大切なのかな?
A. 一冊の本が、人生を変えてしまうことがあります。本の中で旅をしたり恋をしたり、冒険をしたり……。人は本の中でいろいろなことを体験できます。登場人物と自分の生き方や考え方を比べて、共感したり反発したりします。また、本を使って、疑問に思ったことを解決するために調べることもできます。本を読んで新しいことを知ると、びっくりしたりうれしくなったりします。本は、人の心を成長させてくれ、いろいろなことを教えてくれる友だちです。
ここでは、
①本は人の心を成長させ、いろいろなことを教えてくれるものである
という考え方が前提にあった上で、
②本を読むだけではなくその感想を書くことによって、より深く考えることができるようになる
といったことが書かれています。
読書経験の質をより深くするための読書感想文。
大人になってもずっと読書をし続けることを考えれば、そのための大事なステップになることでしょう。
ただ、とにかく書くのが難しい!!
学校で書き方を懇切丁寧に指導してくれるわけでもない。
書き慣れている日記ともまたちょっと違う。
何書いていいかわからないから親が手伝わないといけない。
かといってどう手伝っていいのかもむずかしい。
いよいよ困りました!となってしまうわけです。
2. 少しでも書きやすくするためのコツ
そこで、読書感想文が少しでも書きやすくなるためにどのようなコツがあるのか、いろいろと役に立ちそうな情報を集めてみました。それぞれ部分的に引用しますが、元の記事もすごく面白いので、お時間のある方はそちらも見てみてくださいね!
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【HP】読書感想文Q&A (公益社団法人 全国学校図書館協議会)
http://www.dokusyokansoubun.jp/qa.html
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Q. 何をどう書けばいいか、全く分かりません。
A. 本を読んで自分がどこに感動したのか、なぜ感動したのかを考えましょう。そしてもう一度本を読んでみましょう。自分の生き方や経験と本の世界とを照らし合わせると、いろいろなことが見えてきます。感じたこと、思ったこと、連想したことなどを忘れないうちに全部メモしておきましょう。そうしたら、順番を入れ替えたり内容を補ったりして、どう書けば自分の心の動きにぴったりするか、それがうまく人に伝わるかを考えましょう。先生や家の人と相談してみるのもいいでしょう。そうするうちに何をどう書けばいいのか、自分が一番言いたいことは何なのかがはっきりしてきます。書き終わった時には、それまでとはどこか少し違った自分になっていることに気づくはずです。
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読書感想文〜読書感想文が書きやすくなるコツ〜 (浜学園 教育情報)
https://hamagakuen.tips/2055/
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①ただ読むのではもったいない!~印をつける
(…)
印象的な場面に付箋メモをペタペタ貼りながら読んでみましょう。
(…)
悲しいならブルー、嬉しいならピンクといった具合に色分けするのも面白いです。付箋メモに「不思議」「びっくり」などと書き込んでもいいですね。
(…)
そして、再度メモや印をつけた場面を読み直して、感想文のイメージをふくらませましょう。
②構成のキモ~ブロック作り
いきなり書き始める前に、文章の骨組みを決めます。
ここで先ほど貼った付箋が役に立ちます。
本に貼った付箋メモを参考にしながらブロックを作っていくのです。
ブロックとは、小さめの紙にある場面についての感想を書く・・・・・・そのくり返しで、何枚かの紙に分けてメモをとったものです。
・その本を選んだ理由
・簡単なあらすじやあらましの紹介
・心に残った場面
・読んでから変わった考え
・読者の自分が感じた、作者が伝えたい思い
なども加えると、メモが増やせます。
これらのメモを文章のブロックとして使います。
字数が足りなければ後で書き加えることも可能です。
では、用意したブロックを使って、これから書く順番を考えてみましょう。
複数の紙に、一場面ずつメモしたり感想を書いたりしてあるので、格段に考えやすいはずです。
カードのようにブロックの紙をいろいろ並びかえて納得のいく順番で段落をまとめていきましょう。
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こうすれば読書感想文が書ける / 今すぐ使える穴埋めシートと構成パターン 読書猿Classic
https://readingmonkey.blog.fc2.com/blog-entry-512.html
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読書前と読書後の自分を「比較」する。実際は「比較」したかのようにでっちあげる。
以下の項目について、読書前と読書後の欄を埋めていこう。
本を読みきってから表をつくるのではなく、あらかじめ表は用意しておいて、それを埋めるために拾い読みする。
繰り返すが、この表の内容はフィクションであり、実在の自分とは関係ないことはいうまでもない。
大げさに変化したことにした方が何にせよ書きやすいので、ない変化をでっちあげ、わずかな変化を誇張する。
以下の変化項目のそれぞれについて、きっかけ(に使えそうな箇所)を課題図書の本文から拾っておく。
(読書感想文の大まかな構成)
基礎情報(課題図書のタイトル、著者、物語の状況設定)の説明→この本を読むまでは___と思っていた。
→実際に読んでみて考えが変わった。
→特に心動かされたのは___のところである。
→そこで***(登場人物)は____と考えて___する。その結果___になる。
→この箇所を読んで____と考えるようになった。
→今後も____について考えていきたい
→(あるいは)___するようになった。今後も___という行動を続けていきたい)
→(おしまい)
ここまでで総じて言えることは次の2点かと思います。
①読みながら感じたこと考えたことを全てメモに取ること
②メモを組み合わせて全体の構成を考えること
もし子どもが何をどうやってメモしていいか分からないのであれば、メモする観点を教える(すごいと思ったことは何色、知らなかったことは何色、など…)、メモする道具を整える(ポストイットなど…)、ことなどで手伝うことが出来そうですね。
少し話はそれますが、「メモ」は「メモリー(memory)」と語源が一緒で、「記憶」や「思い出すこと」などを意味します。
読み終えた後に残されるたくさんの記憶は、感想文を書き始める大事な後押しになるのではないでしょうか。
3. 本との関わり方を考える
ここまで、読書感想文の意義と書くためのコツとを見てきました。
とはいえ、です。
読書感想文という宿題をこなすために別に好きでもないことを強制されて、そのことで読書が嫌いになってしまうのでは本末転倒ですよね。
本を読むことが苦痛になるのではなく、今後も本を楽しんで読めるようになってほしい。
例えばこちら、東京都の福生市にある図書館の館長さんがこのようなことを話しています。
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福生市立図書館様 1. 楽しい読書を子どもたちに(図書館ポータル 公共/学校図書館連携事例)
https://cloud-app-support.fjas.fujitsu.com/no1report/13_218_fussa_lib_1.html
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「十把一絡げで、子どもたちに「何かを得るための読書」を強いてばかりでは、本嫌いになってしまうだろう。「何かを得るための読書」を勧めるということはもちろん大切だが、そこへ進むための最初のステップとして「本を読むことの楽しさ」を子どもたちに知ってほしい。子どもが読書に対して親しみを持ち、読むという楽しさを知れば、「何かを得るための読書」へ繋げられると考える。」
「何かを得るための読書」が出来るようになるために、まずは「本を読むことの楽しさ」を知ってほしい。
読書感想文を通して得ることのできる価値もありますが、根本にある「楽しく本を読める」という軸を見失わないように。
どのように本と関われば楽しく読むことができるのか、そしてその上でどうすればより価値のある読書経験ができるようになるのか。
まずは大人も改めて自分自身の読書のあり方を振り返りながら、子どもの読書感想文についても考えていきたいですね。
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