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なぜMLBトップのあの投手は、 変化球の投げ方を敵の投手に教えてしまうのか?を考えていたら、noteを書くことになったクリエイターの話。


サンディエゴ・パドレスの背番号#11といえば、メジャーで唯一、11もの球種を投げ分ける、あの日本人メジャーリーガーのことだ。この大投手、変化球の握りからボールの軌道まで、YouTubeで惜しげもなく公開しているから驚いてしまう。

勝つことがすべてのプロの世界で、投手が手の内を明かしてしまうなんてこれまでの常識では考えられない。なぜ?技術を自分だけのものにせず、言語化して共有することで、すべての変化球を、すべての投手が投げられるようにする夢があるそうだ。利他の精神による「オープンシェア」が今、球界全体のレベルを底上げし、MLBをエキサイティングにしている。

あれ、ベースボール専門のnoteなの?と思われた方、すみません。僕の専門は、クリエイティブです。ソリューションアイデアの専門店街「ADK CREATIVE MALL」で、〈SOCIAL CONTEXT CREATIVE〉(ソーシャル・コンテクスト・クリエイティブ)という看板を掲げて店主をしている、小林智拡と申します。

僕はコピーライターとしてキャリアを積んできました。世の中に届く言葉を考えつづけて20数年。時代を観察しながら身につけたコピースキルを活かして、ブランドをとりまく社会課題を見すえた新文脈の〈SOCIAL CONTEXT CREATIVE〉を実践。企業価値を高めるお手伝いをしています。

どうしてMLBの話をしたかというと、球界の未来のために、変化球の極意をシェアする投手の話を聞いて、ビジネスの世界でも同じことが起きていると思ったからなんです。

自社の利益だけを追求する時代は、もう終わっていて。たとえば、コロナの早期終息に向けて、たくさんの企業が知的財産の無償開放をはじめていたり。社会全体、みんなの未来をよくするためにアクションしない企業は、生活者からも投資家からもソッポを向かれてしまう。

未来は、みんなで変えるもの。
いま世の中に、そんな風が吹きはじめている気がします。

“消費者”は消えた。
一人ひとりが、一票をもっている時代に。

「買う」という行動が、「どの企業に票を入れるか」に見えてきた。言うなれば、生活者一人ひとりが、投票権をもっている時代。これまでのような“買って終わり”の、「売る側」と「買う側」という関係ではなく。生活者と企業の絆ものがたりは、“買う前”からはじまっている。

生活者が“投票者”なら、企業は“立候補者”だ。
この世に生まれてきたどんな商品にも、存在意義や使命がある(はず!)。だからこそ企業は、どんな未来をめざしているのかビジョンを表明しなくてはならないし、なぜ、そのブランドが誕生したのか、そこに込めた深い愛を語るべきだと思う。近頃、企業が積極的にステートメントを打ち出すのも当然の流れかもしれない。

では、生活者の「共感=スキ」という一票を獲得するためには?

「CONTEXT=文脈」で商品価値が変わる。たとえば、あなたがいちばんカッコよく見える瞬間があるように。

商品にも、光り輝いて見える瞬間があります。
「文脈効果」という言葉をご存じですか?広告における「文脈効果」とは、顧客にとっての商品価値は、商品そのものだけでは決まらず、前後の状況や情報をふまえた見せ方によって変わってくること。

コンビニで買えば150円のコーラも、テンション爆アゲのテーマパークでなら500円でも払ってしまう…こんな経験ありますよね?これは、休日に家族や恋人と訪れた特別なイベント…という強力な文脈があるため。夏祭りの屋台の焼そばも、スポーツ観戦をしながらのビールも、そう。サイフのヒモがゆるむ瞬間に「文脈効果」あり、なのです。

これまで広告の文脈は、商品と「時間」「場所」「話者」との関係で変わると言われてきました。そして、もうひとつ。広告クリエイティブで有効な“新しい文脈”があるんです。

いま、世の中の「共感=スキ」を生むのは
「SOCIAL CONTEXT」

ズバリ言い切ってしまいましょう。いま広告クリエイティブでもっともブランドを輝かせる文脈効果は、「SOCIAL CONTEXT」です。トレンドである「SDGs」への関心の高まりも、理由のひとつ。生活者は社会課題に取り組んでいる企業を、きちんと見分けようとしています。

どうせシャツを買うなら、環境にやさしいオーガニックコットンを選びたい。どうせ魚を買うなら、海の資源をまもる活動に参加しているスーパーがいい。そう、広告を見るときだって、企業の社会貢献度に注目しているワケです。その企業は、自分と同じフィロソフィをもっているのか?自分と同じ未来をみつめているのか?

共感から生まれたサステナブルなアクションは、SNSのタイムラインにのって拡がってゆく。一人ひとりが「共感=スキ」を発信できるメディアをもっている時代に。「SOCIAL CONTEXT」を駆使したクリエイティブは、企業の印象を変える武器になるのです。

僕が担当した事例をひとつご紹介します。

NTTドコモ「世界初 # スマホ花火大会」

[フラッシュ前]

スマホ花火大会_掲出Before

[フラッシュ後]

スマホ花火大会_掲出After

ドコモさんの課題は、目に見えない通信インフラの存在価値を若い人たちに伝えることでした。一方、社会課題もありました。2017年は相次ぐ台風や大雨に見舞われて、全国で50以上の花火大会が中止に。夏の思い出づくりの機会が激減していたのです。

100万人規模の見物客で混み合う花火大会会場で、快適なネットワークを提供してきたドコモの使命に気づいてもらうためには?

「ドコモの課題」と「社会の課題」。2つの課題を解決するために開発したアイデアが、スマホでフラッシュ撮影をすると花火が打ち上がる印刷技術を採用した「世界初 # スマホ花火大会」。

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47都道府県の花火大会をスマホで体験できるドコモらしい巨大OOHで、混雑する花火大会会場でも、人と人、想いと想いをつなぐドコモを印象づけ、夏の思い出づくりを応援することができました。

ブランドの若返りにも「SOCIAL CONTEXT」が効く。

若い人のほうが、おじさんやおばさんよりも、社会貢献に関心があるよね、という話をよく聞きます。なぜでしょう?

(正解かわかりませんが)ひとつ言えるのは、アラフィフの僕よりも、ハタチの若者のほうが、これから地球で過ごす時間が長いということ。自分たちの将来のためにも、社会課題を解決させて安心な未来へ進みたい。若い人たちほど、社会課題が自分ゴトになっているんですね。

そう考えると〈SOCIAL CONTEXT CREATIVE〉には、若い人たちを動かすチカラがあるとも言える。活力を失いつつあるブランドも「SOCIAL CONTEXT」という光をあてることで、社会課題に興味がある若い人との絆を育むことができる。優秀な学生を引き込むリクルートにもチカラを発揮するはずです。

企業が、めざす未来に向かって加速する方法。

「社会貢献×ビジネス」では世界に遅れをとっている日本企業。課題解決のスピード化を図るために、僕が大切だと感じている視点は、企業と同じ未来をみつめる、ひとりでも多くの生活者を仲間にすること。

同じ想いが集まれば、課題解決のスピードは加速できる。

だからこそ、仲間を増やし、世の中の共感の総量を増やせる〈SOCIAL CONTEXT CREATIVE〉。企業価値を高める新文脈のクリエイティブで、みなさまのお役に立ちたいと考えています。

こんなときは〈SOCIAL CONTEXT CREATIVE〉へ。

□社会課題を視野に入れた納得性の高いクリエイティブにしたい
□SDGsをテーマにした企業広告をつくりたい
□生活者の賛同と行動をつくるメッセージを開発したい

当チームには、クリエイティブディレクター、アートディレクター、コピーライター、CMプランナーが在籍しています。一人ひとりが生活者の共感をつくるソーシャルな視点をもち、メッセージからていねいにクリエイティブを開発、ご提案しています。ぜひ、お声がけください。

この投稿は、僕が〈SOCIAL CONTEXT CREATIVE〉という看板を掲げてから心にとめてきたメモの、ある意味「オープンシェア」。あの投手のそれとはちがい、未来を大きく変えるほどのチカラはありませんが、広告ビジネスやクリエイティブのヒントになれたらうれしいです。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

ソリューションアイデアの専門店街「ADK CREATIVE MALL」には、さまざまな専門性をもつ課題解決のプロフェッショナルが、ほかにもたくさんいます。リレー形式でお届けする「ADKクリエイティブ・ノート」、ぜひ次回もお楽しみに!

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クリエイティブディレクター/コピーライター
小林 智拡 Tomohiro Kobayashi

CM・GRから、企業ブランディングや商品コンセプト開発まで、アイデアのある言葉を軸に制作。「企業課題×社会課題」を解決できるクリエイティブをめざす。東北芸術工科大学「コピーライティング」講師/TCC会員
〈AWARDS〉
TCC新人賞・ACC賞・広告電通賞・JAA広告賞・朝日広告賞・毎日広告デザイン賞・読売広告大賞・ビジネス広告大賞・日本雑誌広告賞・FCC賞など




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