旅の行方

ここは列車を待つホームの上

列を作る人々はそれぞれがそれぞれの目的地を目指して

その迎えを待っている

表示された行き先と同じ切符を片手に握り絞めながら

じっとその時を待っている

沈黙の上に乗車の合図が鳴り響くと

彼らは迷いのない足取りで車両の中へと消えていく

気が付けばそんな後ろ姿を何度も何度も見送って

いつの間にか空となったポケットの中を弄りながら

失くした切符を探し求め続けていた

そんな待ちぼうけの人影は

真っ直ぐ前を見つめる列から外れてチラホラと

未来へと向かう背中を見送りながら

忘れた行き先のことを想っている

ここは列車を迎えるホームの上

未来へと続く架け橋に浮かんだ

行き先を見つけるための停留所

今もまた乗車の合図が正しい音で鳴り響く

先へと急ぐ人混みは車両の中へと流れ込み

忙しない足音を押し込める

その流れの中に待ちぼうけの影が一つ紛れて

ふらりと列へ溶けていく

そんな明日へと向かう背中を見送りながら

未だ動けずに立ち尽くす影は

それぞれがそれぞれの行き先を手繰るように

再び空のポケットの中を探り出す