信頼関係を創り出すためのたった一つの方法(戦国策)
上司と部下の関係性というものは、難しいものです。
フィクションの世界では、上司が部下に土下座させたり、頭ごなしに叱りつけたりもしていますが、(少なくとも私の知る限りでは)今どきそんなことをやると、上司の方がまずい立場になります。
そもそも、叱っても部下は恐れるばかりで、その問題(叱った原因)に対して上手く対処することができるようにはなりません。
一方で、優しく・褒めて伸ばそう、というのもまた違うもの。上司と部下が仲が良いのはいいですが、いつまで経っても独り立ちできない部下にしてしまっていると、結局困るのは上司自身です。
じゃあ、どうすればいいの!?と、日々私のような未熟な上司は悩んでいます。
勿論、特効薬がないのはわかっています。ただ、何か道標が欲しい。
そんな時に開いたSQ生きかたの知能指数で知ったキーワードが、”ラポール”というものです。
SQ生きかたの知能指数(ダニエル・コールマン)
この”ラポール”は、心理学の用語でお互いに信頼しあっている関係といった意味のようです。
その”ラポール”が築けていない関係(達成動機的)と、築けている関係(神話動機的)とは、次のように説明されていました。
「達成動機的」:相手を自分の目標達成に必要な道具としか観ていない関係。
「親和動機的」:相互に強い共感で結ばれた関係。相手の気持ちは自分にとって単に重要である以上に、自分を変える力を持つ
あー、確かに、「この人は、これができる人」の様に、能力でしか捉えていない部下とは、イマイチコミュニケーションが上手くいっていないなぁ・・・。と自省しました。
そんな理解をしていたときに、コンスレテーションで、以前読んだある本の一節を思い出しました。
自分が信頼されているということは、大きな動機づけとなる。逆にいえば、相手を信頼せずに献身を期待することはできない。
まさしく”ラポール”を形成することの重要性を述べた一文ですが、これは心理学の本ではありません。
ましてや、現代の本ではなく数千年前の思想を元に書かれた古代の本です。
戦国策
正直なところ、私も孫子や呉子を始めとする武経七書や、兵法三十六計などは訳本を読んだことがありましたが、戦国策についてはよく知りませんでした。
ただ、米国トランプ大統領のブレインとして、ピータ・ナヴァロと並んで有名な、マイケル・ピルズベリーが、China2049の中で、次のように述べていたことで、興味を持ちました。
学生たちは、戦国時代の教訓を教えられるが、それらの大半はこの「戦国策」から導き出されたものだ。
マイケル・ピルズベリーは、中国脅威論を唱えているため、中国を警戒するポイントとして、戦国策を論じていますが、上述したように”信頼関係”を構築するために必要なことの方が、私には印象的に残っていました。
更に、戦国策では優秀な人を集める手段としても、”信頼関係”によって実現できることを述べています。
相手に敬意を表し、その意見にじっと耳を傾ける。これならば、自分よりも十倍優れた人材が集まります。
相手と対等に振る舞う。これでは自分と似たりよったりの人間しか集まりません。
床几にもたれたまま、杖を握って横目で指図する。これでは小役人しか集まりません。
まさに最後の態度は、SQであった「達成動機的」でしか相手を見ていない人そのものです。
昔の思想が、現代に蘇って、尚新たな光を放つ
そんな面白さを体験しつつ、数千年前から言われていたことを、未だに実現できずに悩んでしまっている自分を見つめ直しています。
良い信頼関係を築くためにも、まずはこちらが相手を信頼してから。
こちらの信頼を如何にして相手に伝えていくか。
それをこれからのコミュニケーションで意識していきたいと思います。
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