見出し画像

rTMS治療 前半戦 - 伴侶となる病院探し

はじめまして、椿です。

元来noteに記事を書くような性分ではないのですが、
鬱を治すためにr-tms治療を受け、自分に起こった変化が非常に面白かったので、

休職中で有り余った時間を活用して、rtms治療に辿りつく過程でわかったことや治療経過をブログっぽく共有しようと思い立ちました。

私について

こちらで自己紹介しています。

そもそも: rTMSとは

r-tmsって何?という方以外は飛ばしていただいて構いません

r-tms 治療中のイメージ

鬱病改善のメカニズムについては、完全には解明されていないそうですが、臨床的に効果は実証されており、r-tmsが大脳皮質を活性化することで、認知機能が改善し、扁桃体の暴走(=ネガティブな感情の暴走)抑えられるそうです。

治療の方法は、日本精神神経学会の紹介に次のようにあります。

反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)は、磁気により脳の神経細胞を刺激し、うつ病の症状を緩和させる治療法です。

 その原理は、頭部にあてたトリートメントコイルから磁場を発生させ、それに伴って生じる誘導電流が脳の神経細胞を刺激し、その結果、脳の活動が改善し、症状が緩和すると考えられています

 rTMS療法の適応は、抗うつ薬による薬物療法の効果がみられない成人のうつ病患者さんです。日本でも、一部の医療機関でrTMS療法を保険診療として受けることができます。

 rTMS療法を受ける際には、図のように椅子に腰かけ、左前頭前野(左前額)にトリートメントコイルを固定し、(中略) 治療を行います。

出典: 公益社団法人 日本精神神経学会 「鬼頭伸輔先生に「反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)」を訊く」

より詳しい解説は下記が参考になります。

専門書籍でより詳しく勉強したい方には、こちらの書籍が分かりやすくおすすめです


私が受けているr-tms治療の概要

私は「代々木こころのラボクリニック」という医療機関に、自費診療で週3〜4回通院しています。

私は激務の中こころを病み、重症一歩手前の鬱病と診断されました。

そのため休職し、2ヶ月ほど仕事から遠ざかり
生活習慣の改善や運動習慣を取り入れるなどの行動療法を行いました。

その結果、中程度の鬱病のレベルまで回復しました 

が、回復の速さが遅いという診断をされてしまいました。

そのため、より医学的な治療を受けて早急に鬱病を治したいと思い、こちらのクリニックを受診しました。

こちらのクリニックでは初診で30分程度の丁寧なカウンセリングがあり、トリンテリックスという日本では最も新しい抗うつ薬による薬物治療と、r-tmsによる大脳皮質の活性化を同時並行で行うことで、

相乗効果でなるべく早く鬱病を治療し復職できるようにしよう
、ということになりました。

私はそれまでゆうメンタルクリニックに通っていて、薬を頑なに拒んでいたのですが、こちらのクリニックで薬の作用機序や副作用について、また依存性の有無について丁寧に説明してもらえたので、薬の服薬に踏み切ることにしました。

なぜ自費診療を選択したか

私は自由時間がとれる休職期間に入院はしたくなかったのと、復職に向けてなるべく早く治療を終えたかったので、自費診療で通院するスタイルと相性が良かったです。

r-tmsは保険治療ですと入院が前提となり、1回40分のセッションを毎日、3〜6週間ほどかけて30回受けないといけないのですが、
こちらのクリニックにはより新しい機械があるので、自費診療にはなりますが、一回5分のセッションを一日2回受けて、30回のセッションを最短15日で終えることができます。

また、こちらであれば自費であっても入院の保険治療とそこまで値段が変わらなかったのも、自費で受ける決め手となりました。


病院を選んだ経緯

下記3点を重視しました。

  1. 医師

  2. 費用

  3. 通院のしやすさ (家からの所要時間・予約の取りやすさ)


医師

病院を選んだ理由その1は、専門性の高い医師が在籍されていることです。

こちらのクリニックでは、r-tmsを希望する患者には野田先生という方が主治医につきます。

野田先生は先ほど紹介した書籍の執筆者でもあり、
r-tms関連の研究論文も多く出されています。

NHKクローズアップ現代の野田先生

r-tmsは自費診療の場合、どのような治療のやり方を採用するかについて医師の裁量が大きくなります。

本場アメリカのr-tmsは、高額な治療費を自腹で支払えるセレブ向けの治療として普及しており、ビジネス目的のクリニックも多いそうで、

日本でもそのようなビジネススタイルを引き継いだ病院が多くあるそうです。

こうした病院は、10年ほど前の古い機械を使い続けて高額な医療費を請求し、儲けている傾向があるそうです。

そのため、
医師の名前で検索し、臨床研究を元にした論文を発表しているか、最新の治療法に精通しているか、あらかじめ確認するのがおすすめです


価格

次の大きな決め手は価格です。

r-tmsはまだ相場感が確立されておらず、同じ実施内容でも医療機関によって金額設定が大きく異なります

海外の相場をそのまま輸入した価格では数十万、日本の水準に合わせた価格で十万円台が相場なのかなと思います。

参考までに、私の家から30分圏内で通えるクリニックのr-tms治療費について、同じ効果の治療法・回数で横比較した際の結果は次のようになりました。
(金額順: 2024年2月時点)

  • 品川メンタルクリニック:30回 71万円

  • ブレインクリニック新宿:32回 61万円

  • 東京TMS マインドフルネスクリニック:30回 30万円

  • 新宿代々木こころのラボクリニック:30回 15万円

  • 東京横浜TMSクリニック:30回14万円

私自身も調べる中で勉強になったのですが、

病院を選ぶ際は、家から通える範囲の病院をリストアップして、金額を比較することをお勧めします。

ホームページに金額の記載のない病院は、予約するという提で電話をして聞いてしまうことをおすすめします。(高額なことが多いと思います)

クリニックによっては、脳や性格についての高額な自費検査を実施し、(ADHDの傾向があるなどと言って)その結果に基づいてr-tmsの必要性を説得し、その場で高額な医療ローンを組ませるようなやり口をするそうです。

自費診療でのr-tmsは決してお手ごろ価格ではないので、同じ内容で、できるだけ良心的な価格クリニックを探すことをおすすめします。

※ちなみに、rtmsのセッション一回あたりの時間が3分のところから40分のところまで幅があるのですが、これは導入している機械が新しいほど時間が短くなるそうです。上記では鬱病の適用に対して同じ目的のセッションを一回として算入しています。

r-tmsの治療費になぜこれだけ幅があるかについては、こちらの記事にも詳しく記載があります。

また高額なr-tms治療については、共同通信から注意喚起の記事が出ています


通院のしやすさ (家からの所要時間・予約の取りやすさ)

自費診療ですと、治療効果を高めるため、週三回以上を目安に自宅から通院することになります。

高頻度で通うことになるので、休職中のたださえだるく重たい体を、なんとか酷使して病院に向かわせなければなりません。

そのため、モチベーションを保つためにもできるだけ通いやすい、遅刻しにくい病院を選ぶことが大切かと思います。

また休職中は会社の経費で通勤費などを落とせない方も多いと思います。できるだけ通勤費のかからない病院を選んだ方が気が楽です。

また予約の取りやすさは非常に重要だと思います。
予約が取りにくいと、せっかく効果の高い治療でも間が空いてしまい、効果が定着しないためです。

私は15回チケットを事前に購入して、1日に二回セッションを受けて、十回先までr-tmsセッションの予約をしてしまうことにより通院頻度を高く保っています。

参考) rTMS治療において信頼性の高い病院

r-tmsを適正価格で提供している、もしくは医師の専門性がある程度保証されている病院は、こちらの記事で紹介されています


治療経過

ここからは治療の実施による体感の変化をブログ形式でご紹介します。

※筆者は現在通院中ですので、絶賛更新中です。どうか温かい目で更新を見守ってください

注意点
1. r-tms治療による変化はあくまで私の体感・主観です。自分自身に起こった変化の捉え方は人により個人差があると思います

2. r-tmsの副作用や効果の発現にも個人差があるそうです。あくまで全員に同じことが同じ程度起こるわけではありません

3. あくまで鬱病に対するr-tms治療について記載しています。
コロナ後遺症や認知機能障害などの疾患に対するr-tms治療については記載しておりません

初日

初日には検査があります。セッションの初回、15回目、30回目のタイミングで検査を受けて、rtmsの効果がきちん出ているか確認します。

検査は30分ほどで、気分が落ち込むことがあるか、や、寝れているか、について心理士さんに細かく質問されました。

これが終わるとr-tmsのセットアップが行われます。
セットアップでは、磁気を当てる位置を決めた帽子作り、および患者ごとに適切な磁気の強度の測定が行われます。

帽子というのはこんな感じです笑 (NHKから画像を拝借しました)

r-tmsを受ける様子

頭に帽子を被せられて、頭のサイズを測定されます。
その数値をパソコンにカタカタと入力して、コイルを当てる左前頭前野の位置を確定します。

こうして帽子に印がついたら、次は磁気強度の調整が行われます。

頭の左側頭部に誘導電流を流され、それに反応する手の動き方を見て、磁気の強度が調節されていきます。
こうしてセットアップが完了しました。

次は初回のr-tmsセッションです。

一定の間隔を空けて、左のおでこに「バチバチバチバチ」という刺激が流されます。
最初は驚きましたが、徐々に慣れてあっという間に5分が終わりました。
初回だったので、目標の80%程度の強度の磁気で実施されました。

30分の休憩時間の後にもう一度5分のセッションを実施し、その日の治療が終わりました。

効果はその日中にてきめんに現れました。

初回のセッションをお昼に受けたのですが、その日の夕方に「なんだが世界が明るい」と感じました。

不思議なもので、普段歩いている道から見える景色が普段よりも繊細に美しく見えました。これも認知機能の向上の一種なのでしょうか。(??)

空ってこんなに綺麗だったかしら、と
写真を撮りました
気分が良くて、
寄り道してドーナツを買ってしまいました

家に帰ると、これまでの悩みは一体なんだったんだろう、というくらい前向きな気分になって、本を一冊読んでしまいました。
次の日の朝は起きたら掃除を始めたくなるくらい前向きな気分でした。
不思議なものです

治療一週間目

治療一週間目。三回通院し、計六回のセッションを終えました。

4回目のセッションからは目標の90%の強度にあげたので、実施後に少し迷走神経反射のような弱い吐き気とふわふわする感覚がありましたが、3時間ほどで治りました。

初回の治療では、治療前との差からものすごく気分が改善したように感じたのですが、
その後の治療は効果を継続させている感覚で、受ける前と受けた後で特段大きな気分の変化はありません。

それでも気分の落ち込みがなくなったことにより、生活にさまざまな変化が生まれました。

一つは突発的なストレスに対して腹を立てたり、イライラしなくなりました。

これまで自分の期待を裏切るような事態があると、
内心腹を立てて、言葉がキツくなったり、
その後イライラが持続して、最終的には後悔して、、と負の感情に飲み込まれてしまうことが多かったのですが、

ここ最近は、イライラのきっかけになるような出来事があっても、頭で考えて受け止めて、そこまでイライラせず、引き摺らないようになりました。

例えば、とあるサービス会社に連絡して対応があまり良くなかったことがあったのですが、
これまでの私であれば「若い女性だから舐められたのかな」などと悲観してクヨクヨしていたのですが、
今回は「この人たちはきっとパートか派遣で、サービスに誠心誠意尽くすモチベーションをがないのだろう」と頭で考えて割り切ることができました。

このように頭で考えられることで、扁桃体の暴走が抑えられている気がする、、(気がしているだけ)と、r-tmsの効果なのかな、と考えて少し嬉しくなりました。

二つ目は、これまで気が重くてできなかったことが少しづつできるようになりました

これまで仕事で使うために英会話を受けようとして、レッスンの予約はするけれども、パソコンの前に座ると吐き気がして結局受けられない、、ということを繰り返していたのですが、
なんと昨日、英会話を受けることができたのです。

なんのストレスもなく、楽しく、とはいかず、やはり多少のストレスを感じながらでしたが、ストレスに飲み込まれることなく、2時間の英会話のレッスンを終えることができました。
これは嬉しかったです

さらに、これはおまけですが、
自分がr-tmsの治療を受けるにあたって、治療費や病院探し、治療体験についての体系的な情報が少ないと感じたので、
ブログを書いて、今後鬱病の治療に取り組む人のために私の知っている情報を届けようと思い立ちました。

このブログをかけているのもr-tmsの効果のおかげです。

六回目の治療の後、かつて通っていた
大学のキャンパスの池を散策しました
民藝館にも立ち寄りました

治療二週間目

治療八回目が終了しました。
r-tmsの刺激にも慣れてきたので、目標の100%のレベルまで磁気の強度を上げました。

磁気を上げてみるとやはり刺激が強く、
脳の奥まで磁気が到達している感じの痛みがあります。

それでも痛みはセッション中の一時的なもので、5分間はあっという間に終わり、ルンルンで病院の外に出て来ました。

最近の新しい楽しみは、セッションとセッションの間の30分休憩です。

近くの新宿ルミネのカフェに行ってみたり…
ルミネthe よしもと 新宿の当日券がないか漁ってみたり…

今日は奮発してブルーボトルのワッフルを食べました

rtmsを受けて良かったと感じることもあります。

最近は、少し自信のない分野に挑戦する気力が湧きやすくなったと感じています。

例えば、とっつきにくいと感じていた専門性の高い本を読めたりですとか、
これまでなんとなく必要な時以外避けていた英文での解説やニュースなどを読んでみたりするなど

ストレスへの対応力があがっただけではなくて、
自分にとって必要だと感じることにトライする意欲も増したような気がしています。

これからも、副作用と仲良くしながら治療を続けていきたいです。


治療の後半戦の経過はこちらの記事で紹介しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?