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【レポート】CRの人事制度に関するパネルセッションの内容をダイジェストでご紹介!

2024年5月30日に、Beyond Next Venturesの主催で、「評価制度導入3年目、シリーズBのコネクテッドロボティクスに聞く!グローバル組織で個人の成長に寄与する評価制度とは?」というテーマでパネルセッションが開催され、コネクテッドロボティクスの取締役佐藤が登壇いたしました。

当日はモデレーターであるBeyond Next Venturesの三國さん、ハイマネジャーの代表取締役CEOの森さん、コネクテッドロボティクスの佐藤の3人による対談形式で行われました。その内容をダイジェストでご紹介します。

1.コネクテッドロボティクス(CR)の概要

コネクテッドロボティクスは、最先端の技術を駆使して「食産業をロボティクスで革新する」をミッションとするディープテックベンチャー企業です。ディープテック系のベンチャーではまだまだ人事制度が整っていないところも多い印象ですが、CRでは社員の成長を重視し、人事評価を丁寧に行っていることを採用のピッチデックにも入れています。
それは、創業まもない時期に代表の沢登が「人」で苦労したこともあって、人事評価制度を早期から導入することで、社員のモチベーションを高め、個々の成長を促進することができる。評価制度の構築が会社の成長と社員の定着に不可欠であると、早い段階から考えていたことにも起因しています。
CRでは随時人事制度の見直しをしていて、現状はHimanagerを活用しながらOKRという人事制度を中心に運用しています。

2. OKRとMBOの違い

OKR(Objectives and Key Results)とMBO(Management by Objectives)は目標管理の人事制度のフレームワークですが、アプローチが異なります。従来CRで用いていたMBOはより伝統的で、個々の目標と企業全体の戦略を一致させることに重きを置いて定期的な評価を行うということをしていました。現在、CRではOKRを導入しており、OKRは達成すべき野心的な目標と、それを達成するための具体的な成果を定義し、柔軟かつ頻繁に評価・調整するのが特徴となっています。

3. CRがOKRを導入した背景と理由

CRがOKRを導入した理由の一つは、社員のエンゲージメントと行動力を向上させるためでした。会社が大きくなりにつれ、大企業人材も増えてきたことから、人事について色々悩んでいた時に、Googleやインテルなどいわゆる成功しているメガベンチャーの事例を参考にしたいなと考えるようになりました。過去の職場で経験したMBOの限界を感じ始めていたので、よりダイナミックでアクションにフォーカスしたOKRの方が適しているんじゃないか。CRでもこのフレームワークが合うんじゃないかとOKRの本をとにかく沢山読み、徹底的に調べ始めました。

4. 実際の運用と課題

OKRの運用において最も難しいのは、その柔軟性と透明性を保つことです。社員がOKRを理解し、自発的に行動するためには、継続的な教育とコミュニケーションが必要です。そのためマネージャーに対してOKRの書籍を必読書として理解を深めさせることから始めました。OKRは評価と報酬と切り離して運用するという基本概念があります。これが評価の一貫性を保つ上で難しい点となっています。
また評価の透明性と説明責任は、どのフレームワークを使用するにしても重要です。CRでは何を公開すべきか、非公開とすべきかはかなり細やかに議論しました。OKRは全社員に公開ですが、評価や報酬等は非公開です。最近グレードもひっそりと公にしましたがこれも時間をかけて擦り合わせていった結果です。
実際に以前の会社で、評価の基準が曖昧であるために社員のモチベーションが低下するという問題を経験していたので、OKRを導入することで、目標設定と評価基準を明確にし、社員が自分の役割と期待される成果を理解しやすることが大切だと考えて、人事制度を整備していきました。

5.人事制度の設計と運用について

①評価制度の基本構造について
コネクテッドロボティクスの評価制度は、透明性と公平性を重視しています。透明性を保つためにもHiManagerが必要不可欠だったとも言えます。
評価の基準を明確にして、社員が自身の目標に対してどの程度達成できたかを客観的に評価する仕組みを整えました。

・定量評価と定性評価の併用:人事評価では3つの項目で評価をしています。インパクトやアウトカムといった数値で測定できる定量評価と、バリューの体現という観点でリーダーシップやチームワークなどの定性的な側面の両方で評価しています。

  • 定期的な評価サイクル:評価は半年に1回。ただし中間評価も含めて四半期ごとに行われますが、それ以外でも週次のOKRセッションを行うことで、短期的な目標達成度を把握しやすくすることと、迅速なフィードバックによって改善を促すようにしています。その結果はHiManagerに記載していくことでログを残すという工夫をしています。

②OKRの導入
OKR(Objectives and Key Results)は、コネクテッドロボティクスの評価制度の中心的な要素となっています。OKRは社員が明確な目標を設定し、それに向かって具体的な結果を出すためのフレームワークです。OKRを適切に運用するためにHiManagerというツールを活用しています。

  • Objective:目標設定:社員は自身の役割と会社のビジョンに基づいて目標を設定します。目標は具体的かつ挑戦的であることが求められます。その言葉の書き方は全社会議でも代表が事例を挙げるように、ワクワクする文言を書くことが推奨されています。

全社会議で目標設定について説明された方針
  • 進捗管理:各目標には達成のためのキーリザルト(KR)が設定され、進捗が定期的にレビューされます。これにより、社員は自分の進捗状況をリアルタイムで把握でき、必要に応じてアクションを修正することができます。

  • 透明性:OKRはHiManagerを通じて社内で共有され、誰がどのような目標を設定しているかが全社員に公開されています。ツリー構造でOKRが見えることよってチーム全体の目標が統一され、協力しやすくなります。

③One on Oneミーティングについて
コネクテッドロボティクスでは、上司と部下の定期的なOne on Oneミーティングが評価制度の一環として用いられています。上司と部下が直接対話し、現在の業務状況や目標達成度について話し合います。またフィードバックを通じて改善点を伝えたりしています。One on Oneは社員のモチベーションを高め、個別の支援を行うための重要な機会となっています。取締役は全社員とOne on Oneをするのですが、会社の全体像を把握する上でも大事な機会だと思っています。

役員同士のOne on Oneもお勧め。
コネクテッドロボティクスでは、役員同士のOne on Oneも重要だと思っています。隔週で行っているのですが経営陣の考えや戦略を共有し、組織全体の方向性を一致させるための重要な機会となっています。そのメリットは下記のような内容です。

  • 戦略の共有:役員同士が定期的に対話することで、会社の戦略やビジョンを共有し、全員が同じ方向に向かって動くことができる。

  • 意思決定の迅速化:経営陣のコミュニケーションを密にすることで、迅速な意思決定が可能になる。

  • 信頼関係の構築:経営陣の間で信頼関係を築くための重要な機会となる。
    これらが整うとちゃんと会社が回るきっかけになります。経営陣のOne on One を活用することをベンチャーの経営陣にお勧めしたいです。

6,成功事例と課題

コネクテッドロボティクスでは、このような人事評価制度とOne on Oneの導入により、以下のような具体的な成功事例があると考えています。

  • 社員のエンゲージメント向上:透明性の高い評価制度と定期的なフィードバックにより、社員のエンゲージメントが向上したと感じています。

  • 目標達成率の向上:OKRの導入により社員の目標達成率が大幅に向上した。まず社員が自ら考えて動けるようになったという点を感じています。

  • 離職率の低下:公正な評価と充実したフィードバックにより、社員の満足度が高まり、離職率が低下した。
    一方で、評価制度の運用においていくつかの課題も残っています。

  • フィードバックの質:フィードバックの質を維持するためには、マネージャーである評価者のトレーニングが不可欠。

  • 評価のバイアス:評価者の主観が評価に影響しないよう、客観的な評価基準の整備や目線合わせの場が必要になってきます。

  • 時間の確保:CRではOne on Oneやフィードバックを真摯に、丁寧に行っているので、かなり時間がかかっているなと感じています。

質疑応答

最後に、質疑応答のセッションが行われました。人事制度の設計や運用に関するもの、OKRやOne on Oneの具体的な実施方法、グレードの設定、評価基準の設定方法など、具体的な観点での質問が寄せられました。

7.今後の展望

コネクテッドロボティクスの評価制度は、社員の成長を支援し、会社全体のパフォーマンスを向上させるために重要な役割を果たしているとかんがえています。
特に、OKRの導入や役員同士のOne on Oneは、組織全体の目標達成に大きく寄与しています。人事制度は一旦作ったらそれで終わりではなく、定期的に制度の改善をしていく必要もありますし、One on Oneを効果的に継続していくことで、社員一人一人の成長をサポートしたいと考えています。
これによって、社員のモチベーションとパフォーマンスが向上し、会社全体の成功に繋がるのではないかと考えています。