「自己肯定感」がキーワード。が「幸福度ランキング」54位の日本人に伝えたいこと
高校3年間を「世界一エコな学校」と言われるインドネシアの「Green School Bali」で過ごしたことを機に、環境活動家になったという露木しいなさん。
彼女は現在、全国の学校をまわっての講演活動や、肌と地球にやさしい化粧品の開発、InstagramやYouTube・Tiktokでの発信を通じて、環境課題と向き合っています。
そんな露木さんがくれたのは「まずは自己肯定感を上げましょう」という意外なアドバイスでした。
「自分の幸せと地球の幸せは、環境で繋がっているんです」
ーー露木さんは、環境を守るために1番必要なものは何だと思いますか?
露木さん:
「自己肯定感」だと思います。
自分を肯定できないと、「自分の行動が地球を変える」って信じられないでしょ。
ーーそれは…
露木さん:
環境活動家として実際に全国の学校を訪れて感じたのは、どの生徒さんも「自分の小さな行動なんて意味がない」と思っているということ。
私だって、「100%自分の行動が地球を変える」自信はないです。ただ、私は自然が好きで、自然を守りたくてやっているだけ。いわばこれは“自己満”なんですよ。
別に“自己満”でもいいことなのに、「自分なんて」と思い込むと何も動けなくなっちゃうから、まずは自己肯定感を大切にしてほしいですね。
ーーどうすれば、自己肯定感を育てられるのでしょうか?
露木さん:
わかりやすいのは「自分の幸福度を上げる行動」を取ることだと思います。
ーー「幸福度」?
露木さん:
2022年の「世界幸福度ランキング」では、日本は54位と、先進国のなかではすごく低い水準にありました。
こんなにも世の中が便利になって、生活が豊かになっているはずなのに幸福を感じられないのなら、自分にとっての「幸せ」を改めて見つめ直す必要があると思うんです。
ーー「幸せを見つめ直す」。具体的にどんなことをすればいいんですか?
露木さん:
今の自分が幸せになるために必要なことを考える…。わかりやすい方法のひとつとして、今の自分の所持品を見直すというのもオススメです。
いらないものを捨て、本当に必要なものだけに囲まれて暮らすことで、自分の価値観が浮き彫りになったり、自分にとっての幸せが見えてきます。
「ミニマリスト」は大量生産・大量消費のあり方を見つめ直したライフスタイルですが、昨今「ミニマリスト」を通じて、改めて自分の生き方について考える人が増えているんです。
露木さん:
自分にとっての幸せを見出せたら自己肯定感も上がり、初めて「自分も地球のために何かができるかもしれない」と思えてくる。自分の幸せと地球の幸せは繋がっているんです。
幸福度を上げるためにやることが、地球にいい影響を与えることもあれば、地球にいいことが、自分の幸福度を上げることもあります。
アプローチしやすいほうから挑戦してみたらいいんじゃないかな。
「確実に使い切れる」地球と自分にやさしい口紅を開発!
ーー実際に自分自身を満たしたあとは、どう行動に移していけばいいですか?
露木さん:
「自分の好きなこと・興味のあること」から始めることが、1番楽しく取り組めると思います。
コスメが好きなら、ビーガンコスメやリサイクル素材を使った化粧品などを買うことから始めるだけでもいい。
スポーツやファッション、エンタメなど、どんなジャンルでも必ず地球環境との関わりがあるので、自分の好きなことを通じて日々の小さな選択を社会貢献できる形に変えていってほしいな。
ーー「好きなことをベースに選択する」って取り組みやすいですね。露木さんはどんなことに興味があったんですか?
露木さん:
私には肌の弱い妹がいて、「無添加」「オーガニック」と書かれたものを使っても肌が荒れてしまう…ということがありました。
調べてみると、化粧品における「オーガニック」の定義はとても曖昧。どんな製品でも「無添加」「オーガニック」と謳えることがわかったんですよ。
それなら、妹のように肌が荒れやすい人のために、環境にも肌にも優しい化粧品を作ろうと考えたんです。
ーー素敵…!
露木さん:
そうして2018年に立ち上げた「Shiina Cosmetics(現在はSHIINA organic)」では、オーガニックの口紅を開発しています。
2023年5月1日に新しく発売する口紅は、日本初*、国際基準コスモスオーガニック認証を取得*¹し、ミニサイズかつ詰め替え可能にすることで、地球にやさしく、誰でも購入できる手頃な価格のものにしました。
日本初*: 挿し込み式リップの中で自社調べ。
取得*¹: 2023年4月取得完了予定
ーーたしかに、口紅って使いきれないまま捨ててしまうことがありますね。
露木さん:
そうなの!
廃棄化粧品をクレヨンや絵の具などにアップサイクルする取り組みを行っている、株式会社モーンガータが5000人に行った調査によると、化粧品を使い切れずに捨てる人はなんと86.3%もいたそうなんです。
露木さん:
トレンドの移り変わりが激しいコスメ界のなかでも、特に口紅の使用期限は1年と短い。衛生面を考えても、使用途中で捨てなくてはならないという負のループのなかにあります。
だからこそ、新発売の口紅は、通常の口紅に比べて1.5cmほど小さなパッケージにして、詰め替え可能なリフィルで販売することを決めました。
露木さん:
地球を変える小さな選択肢の1つとして「SHIINA organic」を皆さんに広めてもらえたら嬉しいです!
環境活動家として「持続可能な活動」を目指したい
ーー講演活動にSNS発信、化粧品事業と多岐に渡って活動する環境活動家の露木さんですが、今後の目標はありますか?
露木さん:
自分の事業や発信を、まわりにもいい影響を与えながら広げていくために、持続可能な活動のあり方を探っているところです。
これまでの環境活動家としての講演や活動は、自己資金のみでやってきましたが、もっと大きな行動を起こすためには活動資金が必要。
最近では、社会問題を楽しく学べる動画100本を無料で学生に届けるために、クラウドファンディングで支援していただくことに挑戦しました。
【社会問題を楽しく学べる】 動画100本を無料で学生に届けたい!For Good(フォーグッド)はソーシャルグッドなプロジェクトを通してよりよい社会を目指す、掲載手数料0円のクラウドファ
↑500万円もの資金が集まったのだそう
露木さん:
いただいた支援を無駄にせず、今後も応援しつづけてもらうためにも、環境を良くする事業でお金を稼ぎ、新しい雇用を生み出すことで、お金を循環させていきたいです。
ーーありがとうございます。最後に、地球を少しでも良くしたいと思っている方々へメッセージをお願いします!
露木さん:
環境課題という壁は大きいですが、一人ひとりの行動に意味があるんだと感じてもらいたい。
もし、「地球を変えられる」と100%信じられなかったとしても、地球のことを考えていること自体がすばらしいです。
(取材・執筆=目次ほたる(@kosyo0821)/編集=いしかわゆき(@milkprincess17)/(撮影=深谷亮介(@nrmshr))
高めよう 脱炭素指数!
CQは、カーボンニュートラル社会の実現に向け、一人ひとりがライフスタイルについて考え、行動を変えていくことを目指すプロジェクト。イベント協賛やグッズ展開などを企画しています。
最新情報はTwitterを通じて発信中です。ぜひフォローをよろしくお願いいたします!