OEDO[3-3] 侵攻のインバウンド
これは反論というより、質問なのですが──日本が非武装になった時、外敵が攻めてくるとしたら、どのような事態が起こるのでしょう。自衛隊が交戦するシミュレーションは、軍事専門家がさんざん分析されているでしょうけど、非武装の場合はまったく予想が立ちません。
そもそも近年においてその先例がありません。まずはきっかけです。防衛費を増額して周辺諸国との緊張を高めればどうなるかは想像に難くなく、参考となる先例もあります。今のウクライナです。NATOの東方拡大やウクライナの軍備増強がその原因だと言われます。プーチンを刺激し過ぎたのですね。
そうするとおかしな事になります。今回の日本の軍備増強を歓迎している国民はかなりの数に昇ります。増税には反対だけど、軍拡は支持するらしいです。街頭インタビューなどでも「ウクライナのようになりたくない」「国際情勢が不安定だから」と防衛費増額を容認する人が多くいますが、それって逆じゃないですか。
ウクライナの様になりたくないなら、軍縮です。ところが戦争好きな自民・維新・参政・保守は当然として、野党までもが軍拡を支持し始めました。かろうじて社民・共産が「ウクライナ侵攻による国民の不安に乗じて」と非難していますが、こちらはこちらで非難の仕方が逆。不安に乗じて横車を押すなら、軍縮です。
軍拡=侵攻される、軍縮=侵攻されない──こんな三段論法とも背理法とも言えない簡単な理論が理解できない政治家は放っておきましょう。議論を進めます。非武装時の開戦のきっかけです。これがもう皆目見当がつかない。かつてのヤンキーのように「目が合った」などと言って侵攻するのでしょうか。
独裁者側にとっても、侵攻のきっかけ、口実は必要です。ウクライナ侵攻の開始時は、あのロシアでさえ大規模な反戦運動がまき起こり、多くの貴重な人材が国外に流出しました。ゼレンスキーをナチスに仕立て上げる強力なプロパガンダとネット工作で、どうにか国民を束ねてきたのが現状です。
しかも「地球防衛隊」は短・長期的な平和活動と救助活動とで多大なる国際評価を集めます。メディア戦略で世界中にファンを作り、親日派を増やします。そんな国家をどんな口実で攻めることができるというのでしょうか。何か良いアイディアがあったら教えてください。正恩や近平に。
そして冒頭に戻って侵攻の実際です。どんな軍事活動が展開されるのでしょう。日本はぐるりを海に囲まれています。攻めてくるとなったら海岸からでしょうか。すると思い出されるのはノルマンディー上陸。知ってますよ。「プライベート・ライアン」の冒頭20分であの地獄は観ていますから。
総勢200万人の兵士、食事係だけでも5万人を要したという史上最大の作戦。連合軍15万人が、ドイツの砲弾を浴びながら強行突破。普段は平和なオマハビーチが血で染まり、遺体や手足が散乱した惨状は、ぜひ一見をお勧めします。こんな映画が存在しているのに、戦争をしたがる人がいるのが不思議でなりません。
それとも過去の日本を参考にした方が良ろしいでしょうか。沖縄上陸、前田高地の戦い。知ってますよ「ハクソー・リッジ」で観てますから。こちらの映画も凄惨さでは負けず劣らず、阿鼻叫喚の地獄絵図ですが、観ているうちに「地球防衛隊」の精神に目覚めてしまうことウケアイです。ぜひぜひご観覧を。
映画ではあっても、そんな軍と軍とが衝突する侵攻は想像がつくのです。大量の破壊と大量の殺人が繰り広げられます。しかし非武装の場合、迎え撃つ武器は何もないのです。海岸線に要塞を築いたり、塹壕を掘ることもありません。すると敵はどこから上陸してくるのでしょうか。やはり港からですかね。
今流行りの敵基地攻撃能力とやらで応戦が始まれば、こちらの基地も攻撃を受けるでしょう。飛び火して原子力発電所や国会議事堂なども被弾するかもしれません。日本全土に放射能が広がる上に、相手がローグネイションともなれば民間人──あなたの家やマンションに──砲弾の雨を降らせることも厭わないでしょう。
でも非武装だったら……。国土に余計な被害を与えて弱体化させる意味はありません。必然性もなく爆撃しても、占領後の再建や除染が面倒になるだけです。上陸の際も住民にまさかの歓迎はされないでしょうから、寂しくどこかの漁港から上陸することになるんでしょうね。ぞろぞろと列をなして。
戦時の混乱に乗じることができたら、市街地を爆撃し、家に火をつけ、廃墟から金品を強奪することも可能です。隠れていた住民を引きずり出して惨殺、レイプだってし放題──今回のロシア軍でも実際に報告されています。でも非武装だったら、そんな蛮行もできません。
前回否定した「鍵掛け理論」ぐらいは皆さん実行するでしょうし、向こうも一応は軍隊です。戦場の混乱がなければ、強奪やレイプのためにわざわざ戸口を爆破したりは出来ないでしょう。インフラもWiFiも生きているでしょうから、些細な戦争犯罪でもインスタのストーリーズやTikTokにUPされてしまいます。
そして最終的にはどこに向かうのでしょう。漁港から静まり返った住宅街や商店街を行軍し、市役所でも目指すんですかね。住民課の窓口に「占領に来ました」なんて申告するのでしょうか。それともやっぱり都庁や国会議事堂でしょうか。首相あたりを人質にとるのでしょうか。大いにやってもらって結構ですけど。
しかも数万もの兵で日帰りはないでしょう。どこに泊まるんですかね。アパホテルですか。少し贅沢に星野リゾートですか。それは「侵攻」とは呼べません。「インバウンド」です。慌てた一平くんが「姉さん、事件です!」なんて叫んじゃうかもしれません。非武装国家への侵攻はそのくらい不可能なのです。
※最後までお読み頂きありがとうございます。この「地球防衛隊」全体の構想は最初の投稿「OEDO[0-0]地球防衛隊法案──概論」にまとめています。それ以降の章は、この章も含めて、その詳細を小分けして説明する内容になっております。
第一部[1-1]〜[1-9]では「戦争観のアップデート」について。第二部[2-1]〜[2-9]では「地球防衛隊の活動と効用」について。第三部[3-1]〜[3-9]では「予想される反論への返答」について。第四部[4-1]〜[4-9]では「地球防衛隊に至る思想的背景」についてを綴って行く予定です。
敢えて辛辣に、挑発的に書いている箇所もありますが、真剣に日本の未来を危惧し、明るいものに変えたいとの願いで執筆に励んでいます。「スキ♡」「フォロー」や拡散のほど、お願いいたします。批判、反論のコメントも大歓迎です。