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OEDO[2-2] ENEMY MINE

自衛隊をレスキュー隊に改編しよう──という案は極たまに見受けます。一方、平時から地雷撤去や森林火災で国際貢献に取り組む案は目にしたことがありません。まして「地球防衛隊」構想ほどに、日本のブランディング戦略やロビィ活動に主眼を置いた案は寡聞にして存じ上げません。

しかも狙うのはブランディングやロビィと言うほど生易しい宣伝活動ではありません。嫌がらせです。ロシア、北朝鮮、中国、韓国といった周辺諸国が古くダサい軍拡に力を入れている一方で、日本だけがスマートに軍備を捨て、自衛隊を国際貢献、人命救助の隊に改編するのです。

プーチン、近平、正恩は臍を噛むに違いありません。せっかくの軍備が意味を為さなくなるだけではなく、彼ら独裁者たちは支持基盤をも失います。自らに向けられた国民の不満を、日本への敵意として逸らすこともできず、彼ら自身も日本に賞賛を送らざるを得なくなるのです。

さぞ悔しがることでしょう。国民の生活を圧迫してまで煽っている危機感の矛先が、忽然と姿を消してしまうのです。辛うじて集めている支持も失います。愉快痛快、ざまぁ見ろ。そのためにこそ、緊急時の人命救助だけでなく、平時からの国際貢献が要(かなめ)となるのです。

まずは地雷撤去から。世界中にその埋蔵数5,000万とも1億とも推定される通称「悪魔の兵器」、地雷爆弾。加えて戦時中の不発弾やクラスター子弾も残っています。その正確な数も位置も把握できてない現状から、科学力を誇る我が「地球防衛隊」の活躍の場は始まります。

地雷は設置費用が300円〜3,000円と安い反面、撤去するには3〜10万円もかかる厄介な存在です。しかも地球上規模では、撤去より埋設スピードの方が上回り、現にウクライナではこの1年間で国土の30%に埋設されたと言われています。その分の撤去だけでも数十年を要すると試算されています。

戦火が沈静してからも被害を拡大する地雷。今でも20分に1度は世界のどこかで爆発し、人の命や手足を奪っています。被害者総数年間1万5千人。そのうちの半数が子どもです。命までは奪わず、負傷者を出して敵の戦力ダウンを狙う地雷(手当に人員を割かれるから)。まさに「悪魔の兵器」。

世界中の地雷を一掃するにはおよそ5兆円かかると言われます。またその埋設スピードから、現状の国際組織、NPO、NGO、ボランティア団体では永久に撤去不可能だとも言われています。しかし我が国の国防予算もちょうど5兆円(今年無理やりプラス3兆円増額されました)です。

緊急時の救助活動もありますから、その全額を地雷撤去に振り分けることはできません。また紛争が継続している地域の地雷を撤去することもしません。そんなことをすれば、例によってまた「日報」が紛失されたり、黒塗りされたりしかねません。

あくまでも紛争、戦争が鎮火した地域での活動に限定します。それでも国際的な貢献度は計り知れません。ウクライナではすでに100人以上の子どもが犠牲になり、戦争が終結した後も22万人の子どもたちが危険に脅かされると予想されています。その子たちを救うのです。

現在でも建築機械の「KOMATSU(小松製作所)」が、地雷撤去の工作機械を開発していますが、さらなる産業を巻き込みます。我が国のハイテク、ロボット技術を世界に誇る絶好の機会になります。そこはそれ、ブランディング、ロビィの宣伝活動ですから、潤沢に予算と人員を割いても良いでしょう。

現役自衛官25万人のうち数万人が任務にあたれば、非戦闘地域に限定しても、数年で全世界の地雷撤去が可能でしょう。肥沃な土地に埋設されていることが多い地雷ですから、農地を解放し、食料問題解決にも一役買います。ノーマンズランドに緑の穀草がたなびくのです。

そんなに長く待ってられない。その間の国防はどうするんだ──との声も聞こえて来そうですが、安心してください。日本ほどの大国が非武装、「地球防衛隊」構想を表明すれば、一気に世界の耳目を集めます。「今日から俺は!!」と宣言するだけで効果を発揮します。

自衛隊から「地球防衛隊」へ。いわゆるギャップ萌えのような効果です。昨日までの不良が「今日から僕はツッパリを止めて、大学を目指して勉強します! 僕は今日から東大を目指します。東大一直線!」と宣言するようなもの。卑怯者のようですが、それがたった一つの男の勲章となるのです。


※最後までお読み頂きありがとうございます。この「地球防衛隊」全体の構想は最初の投稿「OEDO[0-0]地球防衛隊法案──概論」にまとめています。それ以降の章は、この章も含めて、その詳細を小分けして説明する内容になっております。

第一部[1-1]〜[1-9]では「戦争観のアップデート」について。第二部[2-1]〜[2-9]では「地球防衛隊の活動と効用」について。第三部[3-1]〜[3-9]では「予想される反論への返答」について。第四部[4-1]〜[4-9]では「地球防衛隊に至る思想的背景」についてを綴って行く予定です。

敢えて辛辣に、挑発的に書いている箇所もありますが、真剣に日本の未来を危惧し、明るいものに変えて行きたいとの願いで執筆に励んでいます。「スキ♡」「フォロー」や拡散のほど、お願いいたします。

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