OEDO[2-7] 防衛隊のハードパワー
「地球防衛隊」の攻撃も佳境に入りました。憲法9条を遵守して武力を放棄するだけではありません。地雷撤去や災害救助で世界に貢献するだけでもありません。国家防衛の観点から言えば一番の力の入れ所。それは何によりも「カッコイイ部隊」を作ることに尽きます。
9.11同時多発テロ事件が発生した2001年の12月、アメリカのクリスマス商戦から消防車が姿を消しました。子どもたちに大人気で品切れになったのです。その他ファイヤーファイターズ(消防士)のフィギュアから変形ロボまで、様々なおもちゃが商品化され、飛ぶように売れたということが報道されていました。
今ではグラウンド・ゼロと呼ばれるワールドトレードセンターで、命を懸けて戦った消防士、救急救命士たち。彼らの英雄的な活躍はTV、映画と様々なドラマになって文字通り全米中を泣かせました。そして、子どもたちにとっては憧れのヒーローとなったのです。
同じように命を賭して戦うアメリカ軍人たち。イラク侵攻後も、シリア侵攻後も彼らが同じようなヒーローになったという話は聞こえてきません。映画の題材になったりもしましたが、「ハート・ロッカー」「アメリカンスナイパー」「ブラックホーク・ダウン」──戦争のダークサイドを描き出した暗いものばかりです。あのアメリカでさえ戦争がオワコン化しつつあることを実感します。
これからのコンテンツはレスキューです。スマートでカッコイイ消防士や救命士が脚光を浴びる時代です。ですから制服も格好良く、装備や車両、航空機、船舶も格好良くなければいけません。日本だけでなく「地球」全体を守る「防衛隊」ですから、世界に通用するデザインでなければいけません。
世界に通用──そう、今でもかろうじて世界に通用するのが日本のアニメコンテンツです。この得意分野と国家防衛とを融合させない手はありません。日本のアニメは出渕裕氏を始めとする優秀なメカニカルデザイナー、高田明美氏を代表とする素晴らしいキャラデザイナーを擁しています。
「地球防衛隊」は軍隊ではありませんから、隊服も装備も地味な迷彩やアースカラーに徹する必要はありません。レスキューですから堂々とカッコ良さを追求できます。当稿の「概論」では「科学特捜隊」化や「攻殻機動隊」化を提案しましたが、個人的に隊服のデザインは、「特車二課」の「中年には酷な服」を希望します。
さらに「概論」ではF-15Jを「ヴァリアブルファイター」に、イージス艦を「サウザンドサニー号」に改造し、各地に「お台場ガンダム」や「NERV」を建立することも提案しました。けど、個人的な好みで言うとやはり「イングラム」になるんですが──個人の趣味を押し付けるのはよくありませんね。
ガンダムが良いのか、エヴァが良いのか、それともイングラムが良いのか。その選択は、やはり国権の最高機関である国会で徹底的に審議し尽くすのが良いでしょう。失言問題や居眠りで浪費されるより、よほど白熱し、充実した議論となるはずです。国民の注目も集まり、若者の投票率も上がるかもしれません。
サウジアラビアの首都リヤドでは、すでに33.7mの「UFOロボ グレンダイザー」像が屹立しています。ギネスにも登録されました。日本各地のガンダム像が20m前後ですから、圧巻のデカさです。でも、比べる相手が違いますね。真に比べるべき相手は、世界中あちこちに建てられているという慰安婦像です。
「撤去しろ・しない」で揉める慰安婦像。そもそも誰が注目しますか? ギネスに載りますか? 普段そこらで石像や銅像が立っていても、その文字に目を通したりしませんよね。「なんかあるな〜」程度で素通りです。そんな銅像に文句を言う方が逆効果。要らぬ注目を集め、日本人の印象も悪くなります。
せっかく日本のアニメは大人気なんですからもったいない。フィリピンでは「ボルテスV」が大人気で、マルコス独裁政権を倒す原動力になりました。シリアでは「アストロジンガー」、イタリアでは「鋼鉄ジーグ」──リアルロボット系よりもスーパーロボット系の方が海外人気は高いようです。
それならば国会で審議すべきは、ガンダムが良いのか、エヴァが良いのかではなく、マジンガーZ、グレートマジンガー、ゲッターロボ、コンバトラーV、ライディーン、ダンガードA、ガ・キーン、ガイキング、ダイターン3、ザンボット3、ダルタニアス、イングラムのどれが良いかでしょう。
決議が通ったら喧嘩なんかしてないで、1mそこらの慰安婦像のお隣に仲良くドーンと40mのイングラム像を建ててあげましょう(設定は8mですが)。ギネスを更新し、メディアにも取り上げられ、遠方からの観光客も多数引き寄せられます。慰安婦像もついでに見てもらえます。
お隣の国の人たちも大喜び。両国の友好の証にもなって一石二鳥。後藤隊長も「故障であります。お言葉ですが、なにせ故障中ですので、万一倒れるようなことがありますと、テレビを通じて全国に警備部の恥を晒すことになりますが、それでもやります?」──なんて言い訳をしないで済むでしょう。
※最後までお読み頂きありがとうございます。この「地球防衛隊」全体の構想は最初の投稿「OEDO[0-0]地球防衛隊法案──概論」にまとめています。それ以降の章は、この章も含めて、その詳細を小分けして説明する内容になっております。
第一部[1-1]〜[1-9]では「戦争観のアップデート」について。第二部[2-1]〜[2-9]では「地球防衛隊の活動と効用」について。第三部[3-1]〜[3-9]では「予想される反論への返答」について。第四部[4-1]〜[4-9]では「地球防衛隊に至る思想的背景」についてを綴って行く予定です。
敢えて辛辣に、挑発的に書いている箇所もありますが、真剣に日本の未来を危惧し、明るいものに変えたいとの願いで執筆に励んでいます。「スキ♡」「フォロー」や拡散のほど、お願いいたします。批判、反論のコメントも大歓迎です。