30代に入ってからブレイクしたラッパーたち
ブログ引っ越しのご挨拶でも書きましたが、にんじゃりGang Bangを始めて今年で9年目になります。もうじき10年になるということに自分でも驚きです。
最近、自分よりも若い/自分より後に始めたライターの人と交流していると、「ライターの大先輩」のように言われることがあります。私はそんなに寄稿実績もありませんし(数少ない実績はポートフォリオを見ていただければ)、自分がライターなのかすらわかっていません。連載もなく、著書もなく、ただ一人でブログを更新し続けているだけです。私より後に始めた人の方が活躍しています(奥田翔、Yoshi、ヨシダアカネ・・・etc)。なので、毎回「そういう風に思われているんだ・・・」と困惑しています。
そんな長くやっているだけの私ですが、先日block.fmのADD. SOME RADIOに呼んでいただいてゲスト出演してきました。
そこでブログを始めたきっかけとして、学生の時にやっていたラジオの話をしました。「色々なアーティストにコンタクトを取ってコメントを貰ったりしていた」と話しましたが、そんな私が初めて自分でコンタクトを取ったアーティストが、新潟出身・東京在住のラッパーのLBです。長い間活動休止していましたが、昨年になって復帰しました。LBが先日発表した曲「NEVER TOO LATE(仮)」で「どうでも良い昔話」とラップしているのに、こんな昔話をするのも少し格好悪いと自分でも思うのですが、復帰はとても嬉しい出来事でした。
ヒップホップは若者の文化だと言われがちで、10~20代でブレイクするアーティストが目立ちます。「新世代」ないし「次世代」、「現役大学生」のような言葉と共に語られることも多いです。しかし、LBが「NEVER TOO LATE(仮)」で「33なっても未だドリーマー」とラップしている通り、音楽や何かをやることに年齢は関係ないと思います。アメリカのヒップホップでも、30代に入ってからブレイクを掴むアーティストは多くいます。
例えば、昨年に傑作アルバム「Black Habits」(先日デラックスエディションも)をリリースしたD Smokeは1985年生まれです。ソングライター/プロデューサーとして長く活動していましたが、なかなか表舞台には浮上せず2019年のオーディション番組「Rhythm + Flow」に出演するまであまり知られた存在ではありませんでした。
近年大活躍しているNYのコレクティヴ、Griseldaの中核ラッパーのWestside GunnとConway the Machineは1982年生まれ。Benny the Butcherは1984年生まれです。Griseldaの注目度が上がった2017年頃には全員が30代でした。
少し前なら、Danny BrownがFool's Gold入りしてブレイクのきっかけとなった作品「XXX」を発表したのが30歳の時。期待の新進ラッパーとして注目が集まる中リリースしたアルバム、「Old」の時点では32歳でした。
Yo GottiもDanny Brownと同じ1981年生まれです。2009年にはシングル「5 Star」をヒットさせましたが、メジャーデビューアルバム「Live from the Kitchen」をリリースしたのは2012年。31歳の時です。
2 Chainzも30代に入ってからブレイクしたラッパーです。かつてはラップデュオのPlayaz Circleで活動し、2007年にはシングル「Duffle Bag Boy」をヒットさせましたが、この時点で既に30歳。ソロデビューアルバム「Based on a T.R.U. Story」をリリースした2012年では35歳でした。
ラッパーではなくシンガーですが、1982年生まれのTy Dolla $ignもメジャー契約をしたのが2012年。古くはImmatureのメンバーとして少年時代から活動し、その後Sa-Ra Creative PartnersやBlack Milkのフックアップなどもありましたが、本格ブレイクはメジャー契約後に放った2013年のシングル「Paranoid」以降でした。
ほかにも2006年の1stアルバム「Port of Miami」の時点で30歳だったRick Rossなど、多くのアーティストが30代に入ってから成功を掴んでいます。ヒップホップから少し離れますが、ソウルシンガーのCharles Bradleyに至っては、1960年代から活動を始めてデビューアルバムをリリースしたのが2011年で62歳の時です。10~20代でブレイクするアーティストは確かに目立ちますが、それより上の世代の人にもその機会は訪れています。LBがラップしているように、まさに「NEVER TOO LATE」なわけです。
30代以降に成功を掴むアーティストの中には、自分のマナーを貫いて続けた結果たまたま時流が合ったアーティストもいます。また、ブレイクしていなくても、その活動が誰かに刺激を与えていることもあります。例えば、MozzyはラッパーのGP the Beastが叔父だったことからラップを始めました。私も長く続けていて辞めようと思ったことは何回もありましたが、なんとかここまで続けてこれました。それは「読んでくれる人がいるから頑張れる」のような格好良い理由ではなく、色々なアーティストのことを知っていくうちに自分の中に「とにかく続けること、やること自体が大切だ」という思いが芽生えたからです。遅いなんてないので、何かから離れた人も余裕や興味があればいつでも戻ってきてほしいですし、これから何かを始めようか考えている人もいつでも始めてほしいです。もちろん続けている人もそのまま。やっていきましょう。
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