日本×デンマーク お仕事手帳
働く人のメンタリティの違い
日本とデンマークでの働き方の違い。どちらがいいというわけではないのですが、普段から面白いと思っていることを、自分の経験からまとめてみました。
上手くいかない時、責任はどこにあるのか。
私の日本の経験では、仕事がうまく回らないと、その原因を自分、同僚、チームの能力や頑張りの足りなさに求める風潮を感じながら仕事していました。それはそれで、自分やチームの目標、向上意識に繋がったり、とても具体的な改善事項の洗い出しに繋がったりしていました。一方、デンマークの職場での経験では、仕事がうまく回らないのは、基本的にその原因は仕事の環境が創り出しているもので、組織にあるという前提を感じながら仕事をしています。これは、働く人としての責任は、個人の能力や頑張りでなく、職場の環境やしくみのどこが良くなかったのか、解決法は何か、を考えていく事自体にあるという考え方です。とはいえ、これは理想の姿なので、組織の問題、課題のあぶりだしで終わってしまい、結局なんの解決に繋がらないことも多々あります。
どこにいても、問題が起こったときに集団レベルで、個人レベルの両方でなにができるか、の解決策まで落としていけることが大事だなと感じています。
休暇はご褒美でなく、真剣なライフイベント。
週37時間労働、6週間有給休暇のあるデンマーク。働き始めたときはこの自由な時間の多さに耳を疑いました。有給が長いせいか、休暇は立派なライフイベントの1つ。デンマークではこの休暇を職場でも重視させる文化を感じます。日本で仕事をしていると、お休みをいただく、とか、余暇、要するに休暇や休日は仕事で余った時間をつかう、メインは仕事、という姿勢が感じられます。デンマークの職場では、休暇は労働者の権利、自分の生活スタイル、人生の大切な時間といった考え方が強く、どこで誰とどんな風に何をして休暇を過ごしたか、職場でも悠々と語り、また語ることができることが求められます。毎年、真剣に、同僚や上司がどこに行って何をしたかを覚えておいたり、自分の体験も熱く語って会話をつなげることで、仕事での協同作業もスムースになったりします。
価値を結果におく日本、過程におくデンマーク。
日本の職場では常に定量的な結果を求められていました。とてもわかりやすくて、好きでしたが、その分、その過程で得られる価値に目を向けることはあまりなかった気がします。目を向けることはあっても、あくまでも結果の副産物、付加価値であって、それ自体は求められることは少なかったと感じています。デンマークの職場では、数字では測りきれない、質的な過程でなにを得るか、を求められることが多いと感じています。協同作業で得られる関係性の構築、一緒に仕事をすることで得られる信頼感、団結力、摩擦や衝突が起きたときの解決力や、新しく生まれる発想などなど仕事の過程の生産物を言葉にして、上司や同僚にフィードバックしていく事、これが求められています。どちらも仕事には大切だと常日頃、意識してはいるのですが、働いている組織に何を評価されるか、何の価値を求められている、かで、仕事のやり方も変わってくるので、面白いと感じています。