🇱🇰神聖なる朝の清め
スリランカの旅を通じて好きだった光景がある。
それは掃除だ。
この旅は、ジェフリー・バワのホテルを巡ることが一つの目的だった。
バワ建築と言えば「境界なき建築」であり、「外」と「内」がない。
つまり外たる自然が内たる建築に侵入することを許す。
スコールが多く、海岸沿いは風もあるので、夜が明けると落ち葉が敷地内に散乱していることに気付く。
これはバワ建築の宿命なのだ。
そしてこの落ち葉を掃除するのがバワ建築で働くホテルスタッフの朝の日課なのであろう。
サロンを巻いた男たち(なぜか掃除しているスタッフはいつも男性しかいなかった)が無駄のない動きで箒を動かす。
さっさっさっ、という規則正しい音だけが早朝の澄んだ静寂に響く。
そうして散らかった建築が、ととのえられていく様は清々しい。
それは一種の瞑想のような行為にも思える。
その光景にたまらなく美しさを感じるのだ。
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