雪　#創作360字

私は意を決して雲から飛び降りる。

ひらひら、ひらひら。
はらはら、はらはら。

羽が舞い落ちるかのように大きく左右に振れながら、落ちていく。

この旅の終着点はどこにしようか。

地上に着くまでに決めなければいけない。

いくつもの雲を抜け、仲間を追い越し、羽で仰がれ、少しずつされど確実に地上に近づいていく。

まだ、この旅を終えたくはないな。

そんな気持ちとは裏腹に重力は私を柔らかく引く。

ふわふわと舞い続けていると、やがて無数の住宅や地上を歩く人々の姿が見えてくる。

終わるのは怖い。
けれど、少し疲れたかな。

木枯らしに煽られ、張り詰めた氷点下の空気で冷え切った心が体温を求めている。

私は心を決める。
どうかあなたの手のひらで溶かしてください。

私の形をよく見ていて。
その体温で終止符を打って。
さあ。

あなたにならこの旅の軌跡が見えるだろうから。

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#よづき