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#113【絵本】アンジュール ーある犬の物語

今日は文字のない絵本の世界へ📚
記録として感想を書いています。




今日の絵本

『アンジュール ーある犬の物語』
 
作/ガブリエル・バンサン
発行所/BL出版(1986年)





この絵本のテーマは・・・

著者が絵本で伝えたいことや絵本に込めたメッセージ。
私なりに感じたこの本のテーマは、

【やりきれない感情】



私が感じた事

オススメ本としてよく見聞きする本書は、ベルギー生まれの著者の作風でもあるらしい鉛筆デッサンによる絵本。

文字がなく絵だけ、しかも色みもない。
ある犬の一日がモノクロ57枚で綴られるストーリー。
このストーリーも衝撃的で読者を惹きこませます。


絵のあとに解説ともいうべき、もりひさし氏の言葉がありました。

ある日、犬は、野の道を疾走する車の窓から投げすてられる。にわか野良になった犬のその日の長いさすらいをたどって描く。
(中略)
犬は車をもとめて走り、あきらめ、野から浜辺へ、汀から道へ、地を嗅ぎながらうながれて歩き、佇み、はっとして頭をあげ、空にほえる。

『アンジュール』もりひさしさん解説より


鉛筆で描かれた表現はとても躍動的でいて繊細でした。
この絵本から、色んな思いが伝わります。

人間のエゴ
 →ペットを飼うことの責任感

犬に寄って引き起こされた出来事
 →持っていき場のない気持ち

淋しさ
絶望感
諦め
新たな出会い


切なく重く感じました。
怒り、悲しみ、寂しさなど、犬を通して読んでいる方の感情が揺さぶられます。

「ぽっと胸に灯がともったようにあたたまり、」というもりひさし氏の言葉からは、最後に犬に近づいてくる男の子が新しい飼い主となるような期待をしてしまうのですが…初めは笑顔だった男の子の表情が、犬に近づくにつれ私には曇ってみえるような気がしてなりません。

この絵本はどんなことを伝えているのでしょう。
鉛筆一本でやりきれない数々の感情を引き起こすという意味で、凄い絵本だなと思いました。


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