なぜ学習の躓きが生まれるのか?
2021年01月26日から
小中学生への学習支援で得た知見を基に
色々書き始めて111回目になりました。
また、2021年03月15日から
毎週連続投稿を始めて108回目です。
ワンワンワンの投稿という事で
少し「学習」について知見を交えた私見
「なぜ学習の躓きが生まれるのか?」を考察したいと思います。
普段私が小中学生の皆さんと交わるのは、
東京のNPO団体が開催している「学習支援」の場です。
そこは、行政からの委託で運営されているため、
「経済的貧困」からくる学習環境悪化を発生源とする生徒ばかりではなく
学校側から「学習の進行に問題を抱えており、
いわゆる落ちこぼれと判断できるような状況にある」と判断され
更に主に地方住民税の納付を基礎に「貧困である」とも承認される
生徒が集まってきます。
つまり、生徒に共通する問題点は「学習の進行に問題を抱える」
という点ですが、これも学校側の判断基準が曖昧なため、
主幹教育委員会により大きな差があり、
東京都区部だけとっても、
中学受験が当たり前の地域と、そうでない所では格差があります。
また、一応「他の学習支援や、学習塾・習い事に参加していない」
という条件がありますが、実効性がありません。
通っている学校は公立校・私立校があったり、
中高一貫校に通う生徒も混ざっており
それだけでも現実の家庭経済状況の格差が透けて見えてきます。
また、学習への理解度や現実の学力はかなり幅が広く、
特別支援が必要な生徒やグレーゾーンの生徒、
昨今では、難民申請中で母語が日本語でない生徒から
学校嫌いになって授業に出ていない生徒なども混じります。
こうした生徒間で共通する問題は
「何らかの形で学習の躓きを抱えている」点です。
では、どんな場面から学習の躓きが生まれるのでしょうか?
生徒に共通する、ある流れがあります。
①新学期や進学により、学習環境が変化した。
➁そのため、親しかった友達がいなくなった。
③クラスの中で話をする機会が減った。
④孤立した。
⑤学習の進み方が、今までより早くなった。
⑥それまでの「学習方法」では解らないことができた。
⑦でも、授業中に挙手をすると注目されるので、質問出来ない。
⑧授業が解らなくなり始めた。
⑨解らない授業を聞いていても、もっと解らない。
⑩そのうち、何が解らないのか、わからなくなってしまった。
⑪授業が面白くないので、学習が嫌いになった。
⑫嫌いな学習をする学校も嫌いになった。
⑬学校に行っても面白いことが一つもない。
⑭家で、ゲームとかネットをしていた方が楽しい。
⑮学校に行くのがイヤになった。
これ以外の要因もありますが、大体こうした中で
「学習の躓き」が生まれ、
「学習嫌い」「学校嫌い」「登校拒否」につながってゆきます。
教育側から見ると、
クラス替えは、多くの仲間と触れ合ってほしい善意からの方針だし、
進学による変化は、避けようがありません。
教室では多人数への一斉授業の形態なので個別指導は無理です。
そのため。クラス編成で、ある程度学習状況の平均化を試みます。
しかし、それでもクラス全体が均一な理解度になることは望めません。
理解度の平均値を元に授業計画を立てようとすると、
半分の生徒は理解できずに取り残されます。
解らない事を聞くという行為は、自発的な行為なので
教育側は「質問はないかな?」という働きがけ以上は踏み込めません。
教育の全体像は文部科学省告示「学習指導要領」で決定されており
初等・中等教育での教育課程の基準となっています。
使用する教科書も同様の基準に沿った内容です。
だから「何が悪いんだ!」という正論が生まれます。
生徒から見ると「解らない、つまらない」結果です。
「私たちが悪いんじゃない!教え方が解らない!」
と、これまた正論が生まれます。
一方、教育現場での共通指針の「教科書」を読んでみると、
これが「つまらない!」の一言です。
読み物としては、既に知識のある立場からの流れで書かれているので
「なるほど!そうか!」なんて興味をそそられません。
解説書としては、前後関係や、学習の現在位置が不明だったり
将来どう役に立つのかが、ナニも書かれていません。
総じて、教科書には「なぜ?どうして?」といった
生徒の興味を惹こうとする努力が見られません。
こんな学習環境で「学習の躓き」が生まれています。
同じことでも、少し立ち位置を変えると
以外に解決に至る道筋が見える気がしています。
学習支援の場で、私たちにできることは
生徒の疑問を見つけ「なぜ?」を育て
「どうして?」を生徒と一緒に考えること
そうやって、
一人一人の学習条件を少しでも引き上げることだと思って
毎回の「学習支援」に挑んでいます。
前回の書き込みでご紹介したノートの取り方は
実は生徒から教わった「学習情報処理」技術を展開したもので
これを見つけた生徒は、学区内でも難関校へ推薦枠で合格しました。
こうやって、私たちも生徒と一緒に成長しています。
保護者の皆さんや 子どもたちの学習に関与している方々へ
現在展開している「学習」手法では、生徒が楽しめません。
また「なぜ?どうして?」という疑問を持っても、
その行き先がありません。
更に「発見⇒驚き⇒解決⇒繋がりを見つける」
といった展開も望めません。
こうした現在の学習の問題点や弊害を極力低減し
「学習嫌い」や「登校拒否」を食い止め
「学習の躓き」を解きほぐす「解説」を与えられるのは
「学校学習」の枠外に存在する皆さんです。
一番生徒に近い存在で、関係性が成立している皆さんは、
生徒に対し、丁寧に「学習」の本質から、
「なぜ?」「どうして?」を解説できる立場にあります。
良い相談相手として、また善き話し相手として
近くで寄り添ってくださることを願っております。
奥歯の痛みに堪えてENYAを聴きながら。
19.APR.2023.ARAI