しぐれてお昼っていいな
ひやいね
ひやいひやい
しゃっこいしゃっこい
ちょっと似てる気がする。
細い農道を走る。
高知に着いた頃は衝撃的だったほっそーい農道もすっかり慣れてきた。
慣れてる時が一番危ないのだ、集中して山を登る。
土佐文旦の収穫。
急傾斜に小さな木が並び、文旦の果実が無数になっている。
斜面に足指をガシリとして、時には木に登り、パチパチハサミで文旦をちょんぎる。
あまーい香りがいい匂い。
人は初めて食べた食物は果実だと聞いた事がある。
たしかに、この匂い、食べようと思うよね。
胡桃とかと違うよね、すぐにガブリつけそうだ。
皮から食らいつき、皮の向こうの実の甘さにビックリしただろ、そしてこの匂いは隠せないから独り占めしないで、仲間に愛するものに、子に、近くの者に、旅の途中、出会うものに教えただろう。
争いがない時代だよ
しぐれると文旦は収穫しない。
濡れても収穫しない。
そう聞いた。
朝からの予定がしぐれてお昼。
いい響き。
なんとなく、夕飯を作って食べる気分になる。
柚子しょうゆまぜご飯を作る。
絞った柚子の味は米と一緒に炊かれた豚バラにいちばん香る。ニラはクタクタに溶け気味。
なるべく高知産のものを食べる。
聞こえた事は
ご飯をつくって食べよう
自分のためにちゃんと料理したのは久しぶりだ。
カレーも作りたいな。
キーマカレー作るの得意でーす。ヒャヒャ。
自分のためにゴージャスなカレー作っちゃおうかなぁ、それはいい事かもしれない。
かつて、愛した人が言った。
あなたはもう贅沢してもいいんだよ。
嬉しかったな。
そんな事を言ってくれる人がこの世界にいたのかと嬉しかった。
それで、焼肉食べるのが平気になった気がする。
今度は、自分で自分に言っちゃえよ。
俺はもっと贅沢してもいいって。
俺のために楽しく犠牲になれよって俺に言ってやれ。
それはそんな難しいことじゃないね。
なんかーわかってきたー気がーする〜
シラフの日が増えて、自分が聞こえてるよ、ヒャヒャ
今年の誕生日ははちゃめちゃ泥酔パーティーを開催します。