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死ぬために生きる「海の木馬」

そろそろ真面目に準備しなくちゃ。
わたくし、次の出演させて頂く作品です。
香南市市民参加型演劇、海の木馬に出演させてもらえるのです。
昨年は演出として参加した事業ですが、今年は役者。
本来のわたくしの、本領発揮です。
演じることを演じる場を頂けるのは、それはそれは幸せであります。

内容は
実際に起こった1945年8月16日の事件です。
香南市手結での事故に関わった人間達のドラマです。

1945年8月15日はよく知られた日です。
終戦記念日、敗戦の日、玉音放送が流れた日。
今年は確か昭和100年、1945年は昭和20年、昭和ってのは、戦争と復興と成長の時代です。
今から80年前まで、戦争をしていました。
兵隊は国民は、国のためと熱狂し殺し殺され傷つけ傷つけられ、暴力は思考も日常も侵蝕していたであろう日々があった。
僕の親族には、憲兵に暴行され30年も引きこもり心が狂ってしまったおばあちゃんがいました。
いつも少女のように笑い、男の人をひどく怖がっていた人ちです。
僕は20歳くらいまで、時々会っていて、なぜか僕の事は怖がらず好いてくれていた。
時々、お父さんと呼ばれたりしていた。
テレビの映像では戦争を見て怯えていたけど、それは爆撃だったり兵器の恐怖で、人間の乱暴というリアルな感覚はまるでなかった。
ただただ、そのおばあちゃんが時々怖かった。
子供の頃は怖かった。
子供の僕を老婆がお父さんと呼んでくるから。

そんな事もあって、戦争も怖かった。
毎日毎日、布団の中でこっそり、明日戦争がありませんように、お母さんとおばあちゃんおじいちゃんとおとうと、僕の大切な人が生きられますように、とお祈りした。
小学1年生から高校受験の日まで毎日続けた。

僕が生きてる時間に、僕が住む場所には戦争は起こっていないから祈りは通じたんだな。

そんな僕が、兵隊を演じる。
大東亜戦争、太平洋戦争の兵隊を演じるのは初めてだ。日本兵は初めてだ。
しかも実際に起こった事件。

まだ暫定稿だが、ぐるぐるする。
今、僕が国のために死ねと言われ死ねるか?
ニヤけてなんとか逃げる方法を考えるよ。
今、お前が死ねば家族が救えると言われ死ねるか?
いやいや家族ごめん、だけど絶対家族のためってなら、楽して痛くしないで殺してくれ。
飛行機とか運転できるのは、すご〜く楽しそうだけどさ、死ぬために訓練するなんて微妙だよ。
しかも震洋隊なんてさちっこいボートだよ運転も興味ないし、死ぬための訓練なんて嫌すぎ。
どんな心もちだよ、ご先祖さま。

わからない、ドラマは理解できるが、心の核がわからない。ザワザワする。

日本って国が僕を幸せになんかしてくれないし!

僕よ、子供の幸せを叶えるために、国のために死ねますか?
僕よ、仲間が決断したら、玉砕を祈って送れますか?

無理だ無理だ、心の核がわからない。
ただのドラマにしちゃダメですよ、だって、リアルなものなんだから。
若い頃、政治、思想にかぶれてた頃、いつか、特効を演じるべきだと浅はかに考えていた。
だけど、やっぱそれはドラマなんだよ、マスカキ野郎なんだよ。

どんな準備ができるのだろう。
暗闇をさ迷う。

誰かに会った時に、ちゃんと笑えるかな。

芝居の情報は稽古が始まったら、お伝えしていきますね、観て頂けたら、心の核を震わせるものを形にします、お楽しみに。

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