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筋トレ

猫がまとわりついている
君が尋ねる


「今日がもし最期の日ならあなたは何をするの?」
「そうだな 筋トレかな。」
「トレーニングって明日のためにするのではないの?」
「僕はちがうな いつだって明日を信じていないもの。」
「だけど可能性は信じているんでしょ?」
「もし明日が来ちゃったらしかたないって感じ。」


「じゃあ最期の日だとはっきりわかっていたら?」
「それでも筋トレ。」
「もう!明日が来る可能性はゼロなのよ?」
「僕にとってはいつもゼロと変わらない。」
「明日がなくても体を鍛えるのね。」
「君だって明日がなくたって飯を食うだろう。」
「そうだけど。」


猫がまつわりついている
僕は言う


「この子だってきっとマーキングするだろう。」
「この子は明日なんて知らないわ。」
「僕もそうだよ。」
「ああ そうなのね。」
「うん。」


「じゃあ 明日も私がいると思う?」
「僕はいつも いないだろうと思ってる。」
「いるわよ 約束する。」
「明日の約束なんてしちゃダメだ。」


猫は離れて眠りにつく


「さびしいわ かなしいわね。」
「さびしくないなんて かなしくないなんて あるの?」


猫が目をあけてあくびをする
また眠る




#創作 #詩 #会話 #筋トレ #最期 #飯 #明日 #可能性 #さびしい #かなしい



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