ナモナキ
美味い酒を飲む奴
屋上で日を浴びている
名もなき腕
名もなき足
名もなき首
名もなき腹
ああ
まるでまるで
瓦礫みたいじゃないか
名もなき人名もなき人人人人人
ナモナキヒトナモナキヒトナモナキヒト
果てしない暗黒が押し寄せる前
お前たちが見たこともないほど空は輝く
昼間はあの男の子とふざけ合って
スマートフォンの画面におさまった
パパがいたら怒られるかもね
何もないけど帰り道で花束を買った
髪を乾かすのに時間がかかって
眠いなか朝食の下準備を済ませた
明日はおばあさんに会いにいく日
土の匂いの手で撫でてくれたの
そうだ花を一輪持っていきましょう
目覚まし時計をかけて毛布にくるまる
寒いけどがまんするわ
窓の外が白く光る
まるで祭りの花火みたいだ
あっ
ああっ
瓦礫の雨が降る
名もなき腕
名もなき足
名もなき首
名もなき腹
名もなき人名もなき人人人人人
ナモナキヒトナモナキヒトナモナキヒト
今日もまた数えられる
いちじゅうひゃくせんまん
いくらでも数え続けられる
どこにいった
ものがたりはどこだ
ふたつとないものがたりは
美味い酒を飲む奴
屋上で日を浴びている
ナモナキヒトが降る
ナモナキヒトが降る
あなたの上にも降る
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