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subaruphoto2002
ゆらり
ここに腰かけていると
家具になってしまいそうだ
だからお気に入りの曲を聴く
君がわからないと言った曲
僕はがっかりしたけれど
今でも好きな曲なんだ
座ったまま窓を開けて
すぐにイヤホンを外した
もう聴いていられない
黒い空で星が滲んでいる
ああもう無理なんだ
どこからか飛行機の音
そういえば君は
「あっ飛行機」って
いつも教えてくれた
誇らしげな指の先には
ありふれた飛行機の影
僕は「本当だ」って言うんだ
古くてちっぽけなスタンド
灯りの下を哀蚊が飛ぶ
おぼつかない行く先
そっちじゃない
そう言いかけて口を閉じた
もういいかもういいな
灯りを消す
暗闇で青空を想う
木のざわめき
乾いた空気
砂埃の匂い
頬に触る君の髪
もう一度だけ曲を聴く
最後までは無理だろう
わかってる
どこにも行けない
行く場所がない
もうすぐゆらりと落ちる
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