雨風
身体から聞こえると思った音は
吹き付ける雨粒だったんだね
悲しい歌がぐるぐるまわって
ちっとも気づかなかった
カーテンの隙間から外を見る
背中であなたが立ち上がった
振り返らなくてもわかる
唇をきつく結んで
荷物をまとめてる
あの日もどしゃぶりだった
互いに寄りかかって
静かに目を閉じていた
あなたの匂いが好きだよ
僕はいつも午後を待ってた
今日がくることを
僕はもう知っていた
でも今日の今日まで
なんて言えばいいのか
わからなかったんだ
どんな言葉を並べても
なにひとつしっくりこない
何に誓ったっていい
あなたの痛みを
僕は感じようとした
耳を澄ますと
遠くで食器の音がする
真夜中にはまだ遠い
僕はがっかりして
書いた詩を丸めて捨てた
雨が上がる
風はまだ強い
あなたが僕を忘れても
僕はずっとここにいる
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